鹿児島情報高校で今年度、マルチメディア科3年生(デザイン基礎受講者)を対象としたクリエイティブ実践講義が開講した。講座を担当するのは福岡を拠点とするデザイン会社のMEIALUA。
本取り組みは、現代の情報社会やAI時代に必要とされる「問いを立てる力」や、デザインの根拠を言語化し、発信する力を育む実践教育として位置づけられており、地方からでもクリエイティブ職をリアルな進路として選べる環境づくりを目指している。
ディスカッションや制作に取り組む生徒らの様子
AIの普及や、急速に進化するデジタルツールの登場により、デザインや映像、イラストなどの表現活動は、かつてよりもずっと身近なものになったが、実際に社会で働く中で必要になる経験を、高校生のうちに体験できる機会は地方では限られている。進学や就職の選択肢が限られる中で、「興味はあるけれど、どう動いていいかわからなかった」「都市圏での学生生活や就職に不安があった」「もっと早く、仕事の現場に触れておきたかった」
といった声も、卒業生から教員のもとに届いていたという。
こうした切実な声を受け止めた教員が、“高校の学びでできること”を改めて問い直し、今回の取り組みに至った。本講義では、生徒たちがリアルなクリエイティブの現場や、そこに至るまでの思考プロセスに触れることで、進路の“その先”にある「職業としてのクリエイティブ」を具体的にイメージできるよう設計されている。
MEIALUAのアーティストによる講義の様子
講義では「デザインの前提を疑い、問いを立てる力」を重視し、以下のようなテーマに取り組んでいる。
講座を担当するMEIALUAは、今回の取り組みを通じて、高校・地域・生徒それぞれにとって“価値が循環する関係性”をつくることを目指している。今後は、進路決定後も視野を広げるような講義内容を設計するほか、以下のような取り組みについても学校や地域と検討を重ねながら可能性を広げたいとしている。