全国公立小中学校事務職員研究会(以下、全事研)は第57回全国公立小中学校事務研究大会(滋賀大会)を現地参集とオンラインによるハイブリッドで7月31日~8月1日開催する。
年次別課題は「学びの環境整備」、大会テーマは「学びの環境整備を創造する学校事務」~三方よしで 学校まるごと ウェルビーイング~。
6月末時点で約1400人の事務職員が会場、約300人がオンラインで参加申込をしている。前田雄仁会長に全事研の取組と本大会について聞いた。
全国公立小中学校事務職員研究会・前田雄仁会長
今年度は、学校事務のビジョン実現に向けた次の3つの方策について、評価指標及び成果指標に基づいて進捗管理をしながら活動を進めてきました。
支部の役員で構成した特別委員会も立ち上げ、これらの方策について討議を進めており、第57回全国研究大会(滋賀大会)総会において答申が報告されます。
持続可能な組織の在り方や研究会活動の訴求を通した会員増の方策、大会運営の基盤強化について答申される予定で、本会の改善の方向性を整理した「ブルーバードプラン」に基づく改革と並行しながら、これからの学校・学校事務・事務職員・共同学校事務室の目指す姿の実現に向けて取り組んでいるところです。
また、昨年度から、全事研業務に対する助言をいただくアドバイザリーボードを設置しています。
委員は文部科学省や学校長会、教頭会、研究者や教育委員会を始めとする方々で構成。本ボード設置により様々な立場の方に事務職員の役割を伝え、ご期待頂くことで、事務職員も力を発揮することができると考えています。
現在は事務職員の人材育成指標モデル案について協議いただいているところです。本モデル案により各地区における事務職員のより有効な活用と人材育成に役立つことを目指しています。
より体系的な研修の確立や、より多くの大学等で学校事務職員の養成課程が設置されることにつながればという思いもあります。
今年度より、文部科学省「コミュニティ・スクール及び地域学校協働活動に係る協力団体等リスト」に全事研も連なることとなり、力を入れて取り組んでいます。
協力要請事項である①団体内への関連情報の周知、②教育委員会・学校等から要請がある場合の対応、③教育委員会・学校等へのアプローチを中心に活動しています。
調査による現状と課題の把握、学校事務実践事例の横展開、社会教育士の称号取得支援などにより、事務職員の専門性を高め、地域協働への参画を教育委員会等にも働きかけていきます。
第10次研究中期計画では、学校が抱える課題を年次別課題「学びの環境整備」とし、その解決に向かう学校・学校事務の在り方を考え、教育行政職員としての専門性を発揮して校務運営に参画し、学校のマネジメントを推進する事務職員の姿を追求しています。
学習環境の整備はいつの時代も重要ですが今、理想とされる学習の形は大きな変革を迎えています。
学習者がそれぞれの興味や特性に応じて主体的に学ぶことが重要視され、教員は、学習者の学びを支援する伴走者としての役割が求められるようになりました。
同様に学びの環境についても学習者の学びに適した形が望まれています。環境は人の考え方や価値観を変える可能性をもっています。
この学びの環境を整備する経営資源に関わっているのが事務職員です。教材を購入したり、施設・設備を整えたりするための予算や、授業や登下校ほか様々な機会において子供の学びを支援してくださる地域の方々など、学びの環境整備のための数多くの資源に関わっています。
学びの環境整備は事務職員にとって、本会のミッションである「子どもの豊かな育ちを支援する」営みとして、最も直接的な支援といえるかもしれません。
事務職員の誰もがリソース・マネジメントをすることができる環境にいるからこそ、私たちがイニシアティブをとって学びの環境整備を行うことは、全国の子供の豊かな学びへとつながります。事務職員の専門性を生かすことが、より質の高い学びの環境の創造につながると考えます。
学びの環境整備を通して、未来の創り手を育み、ウェルビーイングを実現する事務職員の機能や役割について、碧(あお)く広がる琵琶湖のほとりで熱い討議を交わし、未来を創る子供の学びの環境を創造する事務職員の姿を描きましょう。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年7月21日号