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教育ICT

高専の魅力とは? 現役高専生・高専卒生が報告

2025年8月12日

「高専生が語る高専のリアル!~挑戦と学びの最前線を知る高専オンラインオープンキャンパス」が中学生等を対象に7月26日開催され、高等専門学校(以下、高専)所属の学生及び卒業生が高専の学びについて報告した。主催はナレッジスター。同社では高専に特化した受験支援や無料勉強相談などを行っている。

 

“高専DCON”に憧れて入学

沼津高専1年 鈴木大騎さん

1962年、高専1期校として開校した沼津高専。鈴木さんはプログラミングや創造設計、AIについて学びたいと考え制御情報工学科を受験。入学後は、高専生の起業を支援する高専DCON(ディープラーニングコンテスト)参加に憧れてコンテスト同好会に入部した。

沼津高専には「アトリエ」と呼ばれるラボがあり、4K画像を表示できるディスプレイ、3Dプリンター、ドローン、高性能PCなど年々新しい機器が導入されているという。これらの環境を自由に利用できる点も同校の魅力だ。

同好会入部をきっかけに高専スタートアップである(株)ひばりの社長から声がかかり、生成AIの第一人者でありDCON実行委員会委員長でもある東京大学の松尾豊教授の研究室を訪問。

MBTI診断で「起業家」に適正があると診断されたこともあり、起業は「アイデアと行動で社会課題を解決し新しい価値を生み出すこと、課題発見から始まるもの」という思いを新たに起業を目指している。

仲間と共に挑戦できる環境

長岡高専2年 千葉幹太さん

電気電子システム工学科に所属している千葉さんは電算機部部長も務める。小学校3年からMinecraftを始め、プログラミングは小学校6年から独学で学んだ。中学校3年でゲームのプレイ時間を管理するアプリを開発し、長岡プログラミングコンテスト(小中学生対象)に応募して最優秀を獲得した。

起業して産業を変えたいという夢を小学生の頃からもっており、中学校2年次、総合的な学習の時間で将来を考えた際にインターネット検索で高専を知った。大学進学は考えていなかったが、高専では準学士を取得できる点、起業に結びつきやすい点を魅力に感じて志望。当時の高専模試はC判定だったが、夏から高専専門塾に入学して真剣に学び、一般受験で合格した。

入学後は高専プロコンやマイクラカップ、プログラミング甲子園、Hack U KOSENほか様々な大会に、高専仲間と共に出場している。

「高専は全力で伸びのびとチャレンジできる場所。長岡高専は、挑戦を後押しする環境にある。高専では様々な技術について語り合える仲間がいる。全国レベルの大会に出場するとその輪はさらに広がる。高専生限定のコンテストも多い。ものづくりは楽しく、それが仲間と一緒ならもっと楽しい」と話した。

女子学生プロジェクトに参加

奈良高専1年 森下小春さん

学校見学を経てプログラミングについて早期から詳しく学びたいと考え、内申が重視される女子エンジニアリーダー養成枠で情報工学科を受験し入学。本枠は第二希望まで出願でき、調査書と面接のみで受験が可能だ。面接ではリーダーとはどんな人かについて聞かれることが多いという。進路決定の際、両親から「なぜ高専なのか」と聞かれ、高専の説明会に連れて行き説明したそうだ。

高専にはコンテストなど公募も多く、皆積極的に参加。女子学生によるプロジェクトもあり、森下さんも参加している。

学校見学会は102526日に、高専祭は1189日に開催予定。

本科・専攻科から大学院へ

九州大学大学院 古賀紀后さん

現在、九州大学大学院の総合理工学府・材料理工学専攻修士1年に在籍している古賀さんは久留米工業高等専門学校・物質工学専攻材料工学コースの卒業生だ。高専本科から専攻科に進学し7年間を久留米高専で過ごした。本科卒業は短大卒業相当、専攻科卒業は大学相当だ。

「高専は16歳から専門的な内容を学び研究ができるため学びの意欲がある人に向いている」と話す。

高専進学のきっかけは中学校2年次、父親に勧められた体験入学だ。制服がない、ヘアカラーもピアスも自由など一般的な高等学校よりも自由度が高い面に不安を感じたものの、先輩が楽しんで好きなことを学ぶ様子に進学意欲を固めた。

入学した材料システム工学科は1年次から実験や実習が多い。上の学年に進むと実験方法や解析方法、テーマを決めて自分で研究を進めることができ、大変だが納得がいくまで究めることができて楽しいと話す。

材料系の実験を競う高専マテリアルコンテスト(通称マテコン)にも出場。2023年度から久留米高専主催で開始したもので材料=マテリアルに着目したコンテストだ。この第2回で最優秀賞を受賞した。

専攻科卒業後は九州大学大学院総合理工学府に進学。同学には高専推薦枠があり、希望研究室への研究発表と口頭試問で受験できる。入試では志望動機や研究内容のほか、専攻科進学のデメリットについて聞かれたそうだ。高専で長年研究しているため学部卒よりもアドバンテージがあると感じている。

「大学院では研究設備が充実しており、研究への意欲が高い。高専の授業内容では文献の探し方やデータベースの使い方が役立った」と語る。

また、九州・沖縄地区の9高専と教育内容の高度化を図る連携教育プログラム「九大工学部・九州沖縄9高専連携プログラム」が2021年度から始まっており、九州大学融合基礎工学科の学位を専攻科の学位と同時に取得することができるそうだ。

920日には福岡県内国立3高専合同学校説明会が、1123日には高専祭が開催される。

高専の数学は問題解決の手段

東京工業高専2年 梶原幸希さん

家族が鉄道会社で電気設備を管理していたことから、電気工学科を志望。現在2年に所属する梶原さんは「高専の数学」について「中学までの数学とはまったく異なる」と話す。電気工学で学ぶ数学の面白さに目覚め、数学同好会に所属している。

数学とは「公理」「定義」「定理」で構成されるもの。公理(否定できない不変的な決まり)や定義(ある言葉がどのような概念意味を指すかを示す)を論理的に解釈した結果、定理が導かれる。例えば「三角形は定義、三平方の定理は定理」である。

中学数学は算数に近く、一般的な公立高校の数学は受験をゴールとする数学となっている場合が多いが、高専の数学は問題解決のための数学であり大学の工学部で取り組む数学と同等の力を身につけることが目的であるという。

起こり得る自然現象を記述するためのものが数学であり、製品設計や開発の際には計測や誤差修正のために数学を利用する必要がある。熱エネルギーから物を動かす動作を変換し、例えば車のエンジンやエアコン、冷蔵庫などのエネルギー変換の計算に利用されると説明。

「言葉もベクトルとして演算できる。さまざまな数学に出会えるので楽しみにしてほしい」と話した。

教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年8月11日号

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