鹿児島工業高等専門学校にこのほど、国土交通省九州地方整備局志布志港湾事務所より「消波ブロック模型実験装置」が土木教育の質の向上に貢献したとして感謝状が贈呈された。この感謝状は、4月29日に開催された「志布志お釈迦まつり」で、志布志港湾事務所が出展した際に同校学生チームが開発した「消波ブロック模型実験装置」を貸与し、大人から子供まで多くの参加者に好評を得たことによるもの。本実験装置は、志布志港(鹿児島県志布志市)の港湾施設の重要性を広く周知する上で、大きく貢献したと評価された。
「消波ブロック模型実験装置」は、沿岸域に設置されている消波ブロックの効果を体験的に学べる実験装置。児島高専が推進するSTEAM教育の一環として、防災をテーマに開発された教育ツールだ。
学生チームは講義の一環で、防災意識を高めるための教育ツールを開発することを目的に、防災に寄与する身近な土木構造物を検討していたところ、偶然目にしたイベント用に作製されたミニチュア消波ブロックに着想を得て、「その効果を示す実験装置を作製したら面白いかもしれない」というアイデアが生まれた。そこで、実際に消波ブロックが設置されている現場を見学し、設計コンサルタントから設計の概要を学んだ上で装置の作製を開始した。
教育ツールとしての利便性を最優先し、「持ち運びしやすさ」と「身近な材料での作製」をテーマに材料の選定や部品の寸法設計を進めた。実験装置の容器には市販の衣装ケースが使用され、造波板はコンクリートパネルから切り出されたものに丸棒2本を差し込む形状が採用されている。防潮堤部分は3Dプリンタで作製され、この防潮堤を含む沿岸道路部分の高さ調整にはA4サイズのプラスチックバスケットを活用した。また、消波ブロックは3Dプリンタで作製した型枠を使用し、モルタルを流し込むことで約30個が作製された。
消波ブロック模型実験装置
代表学生の吉川玲さん(建設工学専攻2年)は、受賞の喜びを次のように話す。
「講義の一環で作製した模型が注目を集め、イベントへのご招待や模型貸し出しの問い合わせなど、たくさんの反響があり、教育ツールとして利用されるという目標を達成することができました。材料の選定や造波装置、防潮堤の作製に試行錯誤を重ねてきたので、模型が評価されたことで私達の努力が報われ、とても嬉しく思っています。 学生生活の集大成となる今年は、万博への出展も決まりました。この貴重な経験に感謝し、世界中の人々の防災意識向上に寄与するとともに、鹿児島高専の魅力を広くPRできるよう尽力したいと思います」