順天堂大学と広尾学園は、2023年度に高大連携協定を締結し、医学教育と研究の新たな接続モデルの構築に取り組んでいる。その取り組みの一環として、今年度より、広尾学園高校の生徒を順天堂大学の基礎医学講座に“研究者”として受け入れる特別プログラム「JU★STAR(Juntendo University Scientific Training in Advanced Research)」(ディレクター:医学教育研究室 小川尊資先任准教授)が始動した。
JU★STARは、順天堂大学と高等学校が連携し、意欲ある高校生に本格的な基礎医学研究への参加機会を提供する特別プログラム。
本プログラムは、同学が展開する基礎研究医養成のための教育構想の一環として設計されており、単なる職業体験ではなく、将来のアカデミアを担う人材の早期発掘と育成を目的としている。大学研究室というプロフェッショナルな環境に高校生が実際に加わることで、知的好奇心を刺激し、「研究とは何か」を実践を通して深く理解する機会を提供する。
また、大学教員との密な対話や実験への関与を通じて、将来の進路選択に対する視野を広げると同時に、日本の基礎医学研究力を長期的に支える若手人材の裾野拡大にもつながる試みとなっている。
高校生は、単なる見学ではなく、実験、データ解析、考察、論文化に至るまで、研究の全過程に関わることができ、成果次第では、学会発表や論文執筆も。将来、同学の医学部に進学した場合には、研究活動を継続して取り組むこともできる。
6月に順天堂大学で開催された説明会には広尾学園高校の生徒42人が参加し、その後19人が応募した。選考は課題小論文と面談によって行われ、最終的に4人が選抜された。
選抜された生徒は、同学医学部基礎医学講座に配属され、研究室の一員として継続的に研究活動に参加。受け入れ講座は、解剖学・生体構造科学講座および生化学第二講座の2講座で、解剖学・生体構造科学講座には井村璃杏奈さんと武内友里さんが、生化学第二講座には山縣香奈さんと小野恵理さんが配属された。それぞれ細胞の立体構造解析や老化のメカニズム解明といった先端基礎研究に取り組む。研究成果は順次、学会や論文という形でのアウトプットも検討されている。
JU★STARは、今後他の基礎医学講座への拡大を予定しており、さらに多くの高校と連携を進めながら、全国規模での展開を視野に入れている。高校生を大学研究室に迎え入れるこの取り組みは、従来の高大連携教育をさらに一歩進めた「探究型・参加型」の新しいモデルとして注目され、医師・研究者の早期育成に向けた新たな試みとして日本の医学界に貢献することを目指している。