WEAVEは12月16日、広島県を始めとする産学官の取組「ひろしまAI部」と協働で、県内高校生・教員を対象にオンラインで実施した「はじめての生成AI体験イベント」の実施レポートを公開した。
今年7月に実施した本イベントは、生成AI(ChatGPTなど)の基礎的な使い方と注意点を、高校生・教職員が体験を通じて学ぶことを目的に実施。高校生・教員約30人が参加し、文化祭や修学旅行の企画アイデアづくり、学習内容を4コマ漫画にするワーク、セキュリティ講座などに取り組んだ。

冒頭の基礎講座では、AIの歴史とともに「生成AIとは何か」をわかりやすく解説。ルール通りに動く従来のAIとの違いを示し、“誰でも使えることが革命”である点を伝えた。さらに、仕事での文書作成やデータ分析、生活での旅行プランや料理レシピ提案など、身近な活用シーンを紹介。参加者は「自分ごと」として活用をイメージできる導入となった。

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続いてのワークでは、ChatGPTに相談しながら企画アイデアを考える演習を行った。高校生は文化祭の模擬店や出し物、教員は修学旅行のレクリエーションをテーマに設定。まずは個人でAIにアイデアを出させ、その後グループで共有し合った。
次のワークでは、テスト勉強や授業内容を題材に、ChatGPTに相談しながら4コマ漫画を作成した。高校生は歴史や社会などの学習内容を、教員は授業の解説を漫画に整理。AIを活用することで、知識をわかりやすく表現する新しい方法に挑戦した。
グループで成果を共有すると、「漫画にすると内容が頭に残りやすい」「説明が人に伝えやすい」といった声が上がり、勉強の理解や発表力にもつながるワークとなった。

世界史の理解に4コマ漫画を使っている様子
最後に実施したのは、生成AIを安全に活用するためのセキュリティ講座。入力してよい情報と避けるべき情報を具体例で紹介し、実名・連絡先・社内情報などの取り扱いに注意が必要であることを解説した。また、学校生活アンケートを題材にしたケーススタディでは、「個人名を削除し自由記述のみを入力する」という適切な方法を検討。参加者は実際に判断しながら「なるほど、こうすれば安心できる」と納得の表情が見られた。
生成AIを安全に使うための具体的なセキュリティ設定について学べる機会はまだ少なく、「こうした学びは貴重だ」「安心して触れられるようになった」といった声が多く聞かれた。便利さとリスクの両面を理解することで、参加者にとって実践的な一歩となるプログラムとなった。

セキュリティについて網羅的に解説
終盤には「AIを勉強や仕事でどう活かせるか」をテーマにアイデア出しを行った。普段の業務や学校生活の中で「時間がかかっていること」や「繰り返し作業」を洗い出し、それをAIで自動化できないかを考えるワークだ。高校生からは「課題レポートの下書きに使えそう」「文化祭の準備で効率化できる部分がある」といった声が出され、AIを自分の生活や学びに直結させる発想が広がった。
イベント終了後のアンケートでは「わかりやすく楽しかった」「すぐに使ってみたい」といった声が多く寄せられた。実際に手を動かしながら学んだことで、生成AIを身近に感じことができたようだ。
今回のイベントで講師を務めたWEAVE代表取締役の久保直樹氏は次のようにコメントしている。
「生成AIは、ただ知識として学ぶだけでは現場で使えるようになりません。生徒も教員も、実際に触ってみることで「安全に使える感覚」が初めて育ちます。今回のイベントでは、その第一歩を共に踏み出すことができました。今後も学校・自治体の皆さまと連携し、『現場で本当に使えるAIリテラシー』を広げていきたいと考えています」。