東京・墨田区両国の東京都江戸東京博物館は2022年から休館していたが、3月31日、約4年ぶりにリニューアルオープンする。今回、江戸東京博物館リニューアル記念特別展「大江戸礼賛」を4月25日(水)から5月24日(日)まで開催。再開館後、初の特別展となる本展では出品作品全点を江戸東京博物館コレクションで構成。選りすぐりの逸品と初出品資料を軸に都市「大江戸」の魅力に迫る。

徳川家康が幕府を開き、やがて政治の中心となっていった江戸。多くの武士が江戸に居住し、江戸城を中心に武家屋敷が立ち並ぶ「武士の都」が形成されていった。また、武士のみならず、江戸には商人や職人をはじめとした、様々な人々が集い、18世紀初頭には人口100万人を擁する大都市になったとされる。浮世絵などの出版物は人気の力士や歌舞伎役者、遊女の姿など、そこに集う人々やその熱気を絵に込めて広まり、さらなる人気や流行をもたらした。
「火事と喧嘩は江戸の華」で知られるように、江戸には火事がつきものだったが、火消は武家屋敷を管轄する武家火消と町屋敷を管轄する町火消とに大別され、火事場では各組が功績をめぐって張り合うこともあった。他方で、趣味や学問を介した文化人たちの交流によって、数々の文学や芸術作品が生み出された。武士の都として発展し、独自の文化を開花させた江戸。「大江戸礼賛」では、この地に暮らした人々と、それぞれが誇りとした「大江戸」の姿に迫るとともに、人と人との交わりこそが繁栄の秘訣であったことを紐解く。
江戸東京博物館のリニューアルに伴い、約4年ぶりの開催となる特別展では、武士の都でありながら多彩な町人文化を生んだ百万都市・江戸の魅力を、①甲冑や婚礼道具などの武家文化、②相撲・歌舞伎・吉原と浮世絵などの町人文化、③武家火消と町火消、④多彩な文芸活動の4つのトピックスで紹介する。
本展では甲冑・屏風・婚礼道具・浮世絵・火消道具など、江戸東京博物館が所蔵する約35万点の収蔵品のなかからおよそ160件を展示。江戸東京博物館所蔵の逸品とともに、収蔵後初披露となる資料も多数出品して展覧会を盛り上げる。年代や歴史に関する知識を問わず、多くの人が楽しめる展覧会で、江戸の賑わいを体感できる展示空間を作り上げる。また、本展は再開館を記念して小・中・高校生の観覧料が無料となる。
<展示構成>
古来、関東の平野は「武蔵野」と呼ばれ、都から遠く離れた東国を象徴する歌枕の一つだった。俗謡に「武蔵野は月の入るべき山もなし 草より出でて草にこそ入れ」とあるように、見渡す限りのすすき野原に月が昇り、沈んでいくという、茫漠とした荒野の風景が広がる場所として人々に認識されていた。本章では、江戸誕生以前からこの地に対して抱かれていたイメージを、江戸東京博物館所蔵の「武蔵野図屏風」を通じて紹介する。
徳川家康が江戸に入り、幕府を開いて以来、江戸は武士の都として繁栄した。本章では、都市景観を伝える絵画資料をはじめ、泰平の世において実戦の武器から武家の権威を象徴する道具へと役割を変えた武具、そして江戸城内での生活を彩った婚礼調度などの奥道具を展示。これらを通して、武士の都としての江戸の様相を紐解く。

萌黄匂威腹巻具足 明珍宗周/作 安政3年(1856) 東京都江戸東京博物館蔵
18世紀中頃、町人が経済的な影響力を持つようになると、彼らが主導する文化や娯楽が花開いた。当時の様子を記した『江戸繁昌記』には、江戸の繁華の代表が相撲・歌舞伎・吉原であると記されている。江戸の熱気を発信した浮世絵や版本などの出版物は、さらなる人気や流行を生み出し、町人文化の繁栄を支えた。

相撲取組図 渓斎英泉/画 文政7年(1824)頃 東京都江戸東京博物館蔵
「火事と喧嘩は江戸の華」と言われたように、江戸の町づくりや人々の暮らしと切っても切り離せなかった火災。江戸の防火は江戸城や武家屋敷の消防にあたる武家火消(大名火消・定火消)と、町屋敷を管轄する町火消が担っていた。本章では、火消が身に着けた装束や消火に用いた道具などを通して、江戸消防の様子と火災に立ち向かった人々のエネルギーを浮き彫りにする。

刺子長半纏 龍虎図 江戸時代末期 東京都江戸東京博物館蔵
当時の文化人たちは、趣味や学問を介して活発に交流した。本章では、狂歌ブームや蘭学への関心など、交遊の中から生まれた文学・芸術作品を取り上げる。また、その交遊の様相を、それぞれの直筆書状などを通して紹介。人と人との交わりが、いかにして江戸の豊かな文化を育んでいったかを明らかにする。

平賀源内書簡(部分) 平賀源内/筆 安永4-8年(1775-79)頃 東京都江戸東京博物館蔵
政治・経済・文化のすべてにおいて成長を遂げた江戸。そこに暮らす人々は、自らの町を「花のお江戸」と誇り、江戸に生まれ育ったことを「江戸っ子」として自慢する気質を育んでいった。世界に誇る大都市へと発展した江戸の賑わいと、それを支えた人々の誇りを紹介して本展のしめくくりとする。

東都両国ばし夏景色 橋本貞秀/画 安政6年(1859) 東京都江戸東京博物館蔵
<開催概要>
展覧会名:江戸東京博物館リニューアル記念特別展「大江戸礼賛」
Special Exhibition “In Praise of Great Edo”
会期:2026年4月25日(土)~5月24日(日)
開館時間:午前9時30分~午後5時30分(土曜日は午後7時30分まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜日(5月4日は開館)、5月7日(木)
主催:東京都江戸東京博物館(公益財団法人東京都歴史文化財団)
観覧料:一般1300円(1200円)、大学生・専門学校生1040円(940円)、
65歳以上650円(550円) 、高校生以下無料
※()内は前売料金
※前売券販売期間は2026年4月1日(水)~4月24日(金)
※4月25日(土)からは当日料金で販売
※チケットの販売は江戸東京博物館のみで行われる。
会場:東京都江戸東京博物館 1階特別展示室