観世能楽堂の運営を担う観世能楽会は、海外からの来場者向け対応の強化を目的に、ikuraが提供する多言語AIエージェント「AIインバウンド担当」を導入した。24時間リアルタイムで問い合わせに応じる体制を整え、訪日外国人の利便性を高めるとともに、伝統芸能である能楽の魅力を世界へ広く発信する。

観世能楽会が拠点とする二十五世観世左近記念 観世能楽堂は、年間約2000万人が訪れる複合商業施設「GINZA SIX」の地下3階にある。同施設の来館者のうち約半数の1000万人は訪日外国人観光客が占めており、海外からの来訪者との接点拡大が課題となっていた。
能楽などの伝統芸能では、演目内容や鑑賞作法、チケット購入方法など、初めて観賞する外国人が事前に把握したい情報が多岐にわたる。観世能楽会は多言語AIの導入により、来訪前の疑問を迅速に解消し、スムーズな来場体験の提供を目指す。
今回採用された「AIインバウンド担当」は、AIと月間30億人以上の利用者を抱えるメッセージアプリ「WhatsApp」やInstagramのDMを連携させた多言語接客・予約プラットフォームだ。
旅行者が日常的に使うメッセージツール上で、AIが問い合わせ対応やアクセス案内、チケット予約、決済、キャンセル対応などを一貫して自動処理する。言語や時間の壁を取り払い、事業者の人手不足を補いながら円滑なコミュニケーションを実現する。
8月15日から8月19日まで開催する体験型イベント「夏祭り能楽堂」から本ツールの本格運用を始める。同イベントは能面体験やワークショップを通じ、初心者や子供にも能楽の魅力を伝える企画だ。
観世能楽会は今回のAI導入を長期的な多言語顧客接点の柱と位置付け、海外の人々が能楽への理解を深める機会を増やすことで、文化発信の基盤をより強固にしていく。