「子どもの睡眠調査」(博報堂教育財団こども研究所)によると、平日の平均睡眠時間は推奨目安を下回り小学生で8時間56分、中学生で7時間57分だった。「朝、起きられない」「授業に集中できない」など、生活にも影響する子供が増えている。教員や養護教諭を対象に講演会「子どもの『睡眠』と『発達』」が3月7日行われた(共催:ノーベルファーマ㈱、㈱メディパルホールディングス、後援:公財・日本学校保健会)。

成田氏
成田氏は「子育ての基本は大人が眠ることから~眠る親ほど子は育つ」をテーマに、大人にも着目して子供の睡眠を整えるための基本的な考え方を説明した。
睡眠にはパターンがあり、一晩のうちに深いノンレム睡眠とレム睡眠を2回ほど繰り返した後、浅いノンレム睡眠とレム睡眠を2回ほど繰り返して覚醒する。最も深いノンレム睡眠時は、脳下垂体から成長ホルモンが放出され、子供のからだは作られる。

親は子供の生活リズムが整っているかを気にするが、親の方が不規則な生活を送っていることが多い。
不登校の子供がいる家庭の生活リズムを測定すると、子供の睡眠時間は8~9時間で十分だった一方、父親は深夜0時に就寝して朝5時に起床するなど睡眠時間は5時間、深い眠りも1時間しかとれていない。保護者の睡眠時間が不規則だと子供にも悪影響を及ぼす。親が理想的な睡眠をとっていると自然に子供もついてくるという。生活改善のポイントは早起きから。いつもより15分だけ早起きし、慣れてきたらさらに15分早起きをする。この生活パターンを家族全員で行うようアドバイスした。

小保内氏
小保内氏は「子どもの睡眠習慣指導のハウツー~『朝、起きられない』の予防と対策」をテーマに、正しい生活習慣の指導法を紹介した。
教員が子供を見て異変を察知するきっかけは、「元気がない」「遅刻や欠席が増えた」「保健室の利用が増えている」などで、背景に生活リズムの乱れが考えられる。異常に気づいたら、睡眠の様子を聞くことを勧めている。
子供の睡眠状態を確認するため小保内氏はノーベルファーマ社の睡眠日誌を活用。1~2日の記録だけでは生活リズムがつかめないので、約2週間にわたって睡眠の状況を記録させる。眠りに就いた大体の時間、昼寝や食事の時刻も記録するが、特に入浴や夕食の時刻などは睡眠時刻に影響するので忘れずに記録させる。
睡眠障害で病院を訪れる子供の多くが、「社会生活を送れる時間帯に生活リズムを戻すこと」、「頭痛などの不定愁訴を改善すること」を望んでいる。そのため睡眠日誌で睡眠障害の原因を明らかにし、治療を受けることでなりたい理想の状態を確認。それを目標にして規則正しい生活を送らせる。
生活リズムが乱れると就寝時刻が遅くなり、自律神経調節が攪乱され目覚めた時に体調がすぐれなくなる。また、不規則な生活だと日光に当たらなくなるため、抑うつ的になる傾向にある。朝の光が目を通して視交叉上核を刺激することでセロトニンが脳内に放出される。セロトニンは15~16時間後には松果体に作用し、メラトニンが放出されて眠気を催す。
起きる時刻を決めると、眠る時間も決まってくる。理想的なのは昼間ではなく夜間にまとまった睡眠をとることで、自律神経の調節を促し、快活な生活が送れるようになる。
こうした指導を養護教諭が行い、それでも改善が見られない場合、学校医やかかりつけ医に相談するよう勧めている。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年4月27日号掲載