「卒業したくない」、「(地域が)フレンドリーで治安が良い」──今年3月、板橋区立新河岸小学校を卒業していく6年生児童たちに学校や地域の好きな点を聞いたその返事だ。同校は区内でも最小の小規模校ながら、地域の特色を生かした取組が活発で成果は学力にも反映されている。地域の企業・商店等で構成する「新河岸小応援団」から、昨年「しんがしシャツ」が全児童に寄贈され学校行事等で愛用されている。

金子校長(左)と「しんがしシャツ」を着た4人の今春卒業生
東京・板橋区立新河岸小学校(金子陽子校長)は1977年開校、半世紀近い歴史がある。学区内に多くの団地と工場を抱え児童数1000人前後を数えた時期もあったが、急速な少子高齢化のため年々減少。今春迎えた新1年生は10人で、全校91人(4月13日現在)となった。
各学年最大25人前後の単学級だが、男女含め仲が良い。昨年寄贈されたTシャツは当時の6年生が在校生のために、提案されたいくつかの図案の中から投票で決定したもの。前面には大きく「SHINGASHI」と書かれたロゴと、校章でもあるシラサギをあしらった。背面は応援団の中心スポンサー企業のロゴ・マークが配置されている。昨年の運動会では児童全員が着用するなど学校内外のイベントでも使用。今後は毎年6年児童からデザイン案を募集、更新しながら全児童に配布する予定だという。
「地域には企業・工場やその関連商店等が多く、学区は広いにもかかわらず家庭数が少ないため様々な活動で保護者の負担が大きい。小規模校だからこそ、地域が積極的に学校を盛り立ててくださるのは貴重」だと金子校長は感謝する。

学校を応援するコミュニティ委員会、PTAメンバー
しんがしシャツを寄贈した「新河岸小応援団」は、三和シヤッター工業など地域の工場等が構成する「新河岸工業会」を中核に町内会等の地域をあげた取組。同工業会は毎年、同校児童の社会科見学(工場見学)等での受け入れや「新河岸ミュージカル」の上演に協力。活動はすべて学区域の徒歩圏内で完結できるなど、小規模校のメリットが生かされている。
地域と連携した小規模校の特長をいかした実践の継続で、2025年度全国学力・学習状況調査結果は国語(正答率70%:全国平均67%)、算数(71%:58%)、理科(72%:57%)いずれも全国を大きく上まわった。
昨年6月からは10月公演の参加型ミュージカル「新河岸ミュージカル」の参加児童が体育館で朝練を開始。コロナ禍で活動を中止していた「新河岸キッズバンド」は地域からの要請をうけ、10月の「髙島平まつり」に出演するため朝練を再開。いずれも地域のボランティアの協力で実施できたもの。さらに10月からは地域との連携で、家庭科室で朝のこども食堂「新河岸あさごはん」が新たに毎週金曜日、登校時間30分前に開店。遅刻が減り朝からの授業に集中するようになったという。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年4月27日号掲載