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教育ICT

セルラーモデルで教員の業務負担減<東京都立町田高等学校・小原格指導教諭>

2019年9月10日
第7回私立公立高等学校IT活用セミナー・東京

7月26日、弊社主催で「第7回私立公立高等学校IT活用セミナー」を東京都内で開催。関東地区の高等学校におけるICT環境と活用について報告した。

全校生徒1人1台 2020年度までに達成

東京都立町田高等学校・小原格指導教諭

東京都立町田高等学校・小原格指導教諭

東京都内の全都立高校にはタブレットPCと無線アクセスポイント、スクリーン等をセットにしたワゴンが整備されている。都では次回更新時の整備内容見直しに向けて、現在、全生徒1人1台活用の検証を行っている。この動きに先駆けて都立町田高校は、2018年度から新入生に対して1人1台のタブレット端末の導入をスタート。2019年度には2年生まで、2020年度には全校生徒1人1台の環境が実現する計画だ。小原格指導教諭はその理由と経緯を語った。

1人1台整備で業務負担減らす

都に先駆けて1人1台環境整備に踏み切ったのは、ICT活用で教員の業務量を減らすためだ。学校長の後押しもあり、2018年度の新入生から導入が始まった。

教員はこれまで、多くの調査や小テストの実施・返却などに追われていたが、教育用クラウド「Classi」のアンケート機能ほかを活用することで生徒全員に配信・返却などが迅速にできるようになった。グループ内の生徒にメッセージを送ることで、紙の印刷配布は大幅減。夏期講習の受付も、アプリのアンケート機能で申し込むことができるようにした。

生徒個人のスマートフォンを授業に活用することも考えたが、ゲームやSNSの誘惑もある。スマホを持っていない生徒もいる。また、持っていても、授業活用の際には個人の容量契約や使用量がバラバラで、安定した活用は難しい。結果、教育で使う端末とプライベートで使う端末は分けて使うべきであると考えた。
ApplePencilで活用が一層進む

導入したのはiPadのセルラーモデル(SIMカード付)だ。

理由はいくつかある。

まず、画面の大きさを重視した。入力する際は十分な大きさの画面が必要だ。動画を視聴する際にも、動画表示だけで画面いっぱいにならないような大きさが必要であると考えた。

操作性も重要だ。授業で活用するにあたり、操作方法を教えることに時間を要しないほうが望ましい。本校では生徒の約半数がiPhoneを利用しているため、iPadを使うのに抵抗がない生徒が多かった。生徒同士で教え合うこともできる。

公立学校の場合、限られたスタッフで対応するため、Windowsアップデートに時間が取られないなどメンテナンスが容易であることも求められる。そこでタブレット端末は生徒が持ち帰って充電・管理することとした。LTE端末なので自宅でも活用できる。また、LTE端末を選択することで生徒全員がストレスなくインターネットにつながる環境を、工事なしですぐに提供できる。

MDM(モバイル端末管理)も導入。2019年度から自動でキッティングできるようにし、管理の手間がかからないようにした。

購入は保護者負担だ。学校で生徒全員分を一括契約。3年リース契約で、生徒の学年積立金で支払われる。

そこで保護者に対しては、町田高校は制服がないので、制服代と電子辞書代を合わせた程度の料金で購入できると説明。端末破損に備え、保険にも加入した。

タイピングのスキル育成に向けてキーボードも導入。

ICTサポーターとは年40回の契約を結んでおり、タブレット端末導入時における生徒のサポート、故障した際の対応に加え、教員への講習や相談も行っている。

2019年度は導入端末がバージョンアップし、ApplePencilも付属。これにより生徒活用が一層進んだ。

生徒はApplePencilでどんどんメモをとり、それをデータ化したり再整理したりそのまま保存したりしており、タブレット端末をノート代わりに活用している。

導入2年目ということで、体育祭実行委員会は昨年度のプログラムやデータを共有しつつ、来年度も活用できるよう蓄積している。

ダンス部は動画サイトで振り付けをチェックし、自分たちのダンスを撮影して分析。宿泊防災訓練では、地図・防災アプリを活用し、非常時にどのような行動を取るべきかを確認している。

PC室で行う情報科の授業では、PCの画面を見ながら、タブレット端末を開いてメモをとるなどPCとタブレット端末を使い分けている。

委員会や部活動でもタブレット端末で、グループ機能を活用している。

授業や委員会、部活動で活用進む

タブレット端末の全生徒整備により、生徒は、調査探究活動において自由に写真や動画を活用できるようになった。グループ内のデータ共有でも活用。授業のふり返りはほぼ毎時間のように行っている。

「JAPAN e-Portfolio」でも活用。eポートフォリオの最初の入力作業は、皆で一斉に実施。自分で行うように言っても、できない生徒が出てくるためだ。さらにJe-P委員がフォローしている。

辞書アプリ「DONGRI」も予想以上に活用している。これは英和・和英・国語・漢和・古語・百科事典のセットで、生徒は放課後にDONGRIを使って自習している。

全教員・全生徒のタブレット端末導入により、授業での活用方法など、教員同士でシェアして使うようにもなり、生徒・教員ともにICTに強くなったと感じている。

2020年度は全校生徒にタブレット端末が行き渡るので、1000台導入を見越して、次の体制づくりを検討しているところだ。【講師】東京都立町田高等学校・小原格指導教諭

【第7回私立公立高等学校IT活用セミナー・東京:2019年7月26日】

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年9月9日号掲載

 

  1. 東京都立町田高等学校・小原格指導教諭
  2. 鹿島学園高等学校情報管理部・谷口俊郎教諭
  3. 二松学舎大学付属柏中学校・高等学校・阿部百合教諭
  4. 神奈川大学附属中・高等学校・小林道夫副校長


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