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教育ICT

つながるネットワーク環境に向けてインターネットブレイクアウトを検討

2021年3月1日

1人1台PCの円滑な活用に必要なのがインターネット回線だ。文部科学省では学習系ネットワークを直接インターネットに接続する方式に改める際、2020年度3次補正により補助を行っている(学校施設環境改善交付金の内数。公立小中高等学校・特別支援学校 補助率1/3)。集約接続方式を採用する教育委員会において、学校から直接、特定のインターネットやクラウドサービスにアクセスできるようにする技術を「ローカルブレイクアウト(またはインターネットブレイクアウト)」という。ローカルブレイクアウトの運用について、キートンコンサルティングの松浦龍基氏に聞いた。

■677自治体でネットワーク増強予定

文部科学省の調査によると、2020年10月の時点で、学校回線を集約してインターネット接続している教育委員会は921自治体(51・3%)。このうち794設置者が1Gbps未満であり、1人1台PCの円滑な活用に向けてインターネットの増強が必要であると予測されている。現状、増強予定の自治体は677(74・7%)。インターネット増強を行う際、集約接続方式から「学校からの直接接続」への変更を決定している設置者は調査時点で161設置者であった。

■相模原市教育委員会
今年度中に整備終了

相模原市教育委員会(小学校75校・中学校40校)では、SD―WAN(ソフトウェア定義型広域ネットワーク)という新しいタイプのWANで全校のネットワークを構築する。そのうち、89校はインターネットブレイクアウトを2021年3月末までに実現する。既に工事が終わった学校では、児童生徒は各自のPCから学習系ネットワークとしてGSuiteに直接アクセス。円滑に接続できているという。なお本仕組みの構築を支援したネットワンシステムズは、2月、相模原市と連携協定を締結。DX推進に向けた最新の技術動向に関する知見や、情報通信技術に長けた人材支援等が目的だ。同社は相模原市役所のネットワーク環境構築を長年にわたり支援・構築している。

■一元管理できるSD―WAN

SD―WANとはどのような仕組みか。

従来型のWANは、それぞれの拠点に設置したネットワーク機器の個別管理が必要で、拠点が増えるほど管理負荷も増える。一方、SD―WANは、WAN全体で一元的な運用管理や制御が簡単にできる。また、新たな拠点をWANに接続する際にもSD―WANの場合は初期設定をリモートで実行でき、かつ現地スタッフがLANケーブルを挿すだけで設定は完了し、システム管理者が学校等に足を運ぶ必要がない(ゼロタッチプロビジョニング)。各学校に設置するのはSD―WAN対応ルータのみであり、別途UTM(統合セキュリティ対策)を設置しなくても一定のセキュリティレベルで運用できる。

SD―WANを使ったローカルブレイクアウトの運用では、アプリケーションや接続先ごとに「データセンターのゲートウェイを経由させるもの」「各拠点からインターネットへの直接アクセスを認めるもの」に分類してアクセス方法を設定する。例えばMicrosoft365等、特定のアプリケーションのみブレイクアウトを設定し、それ以外のブレイクアウトしない通信については、センター経由で行う。一般企業でもクラウドの業務利用が激増しており、Microsoft365等の利用を直接インターネット経由にするブレイクアウト構成SD―WAN導入が増えつつある。松浦氏によると「1~2人の担当者が100校程度のルータを設定変更する場合、リモートで効率的に対応できたとしても、数日~1週間程度は必要。一方、SD―WANだとボタン1つで1時間から数時間程度で完了する」という。

■必須ではない①

しかしSD―WANは、文部科学省「学習系ネットワークにおける通信環境の円滑化」の交付を受けるための必須要件ではない。「各学校から直接インターネットへ接続する方式」であれば良いため、例えば従来の集約接続方式を一部変更して「IP―VPN回線(クローズな回線)とインターネット回線をそれぞれ1本ずつ引き、データセンターにつながる通信とインターネットに直接つながる通信を回線レベルで物理的に分け、エッジルータで通信全体を制御する」方式などでインターネットブレイクアウトと類似の構成を作り出す方法もある。一元管理やゼロタッチプロビジョニングはできないが、学校規模によっては一元管理が不要な場合もある。SD―WAN導入と比較するとコストがかからない点はメリットだ。

■必須ではない②

文部科学省の補助対象にはならないが、インターネットブレイクアウトを選択しない、という自治体もある。

奈良市では集約型でネットワークを構築。市役所や消防署など13拠点に、各5~10校程度が接続し、かつ各拠点に設置するメディアコンバータを高性能なものに更新してスピードを確保。1人あたり1Mbps・平均的な学校で500人とすると1拠点で必要な帯域が500Mbpsになることから、1Gbpsの帯域保証であれば全員が同時接続しても問題なくつながると考えて構築している。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年3月1日号掲載

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