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図書館

学校図書館を築く自治体の挑戦(2) 荒川区-2

2016年11月7日
連載

荒川区の学校図書館支援室は、区内の全小・中学校の学校図書館活用をサポートしている。各学校との密な連携が、現場のニーズに応えると同時に、教育委員会の方針を浸透させる鍵となっている。教育委員会指導室・佐々木希久子統括指導主事に聞いた。

学校図書館支援室が区内全小・中学校サポート

全小・中学校に同じ環境を整備

司書教諭や学校司書の研修会
司書教諭や学校司書の研修会が頻繁に行われている

荒川区が学校司書を区内の全小・中学校に常駐配置したのは平成21年。同時に、学校図書館支援室も設置した。

「学校司書は『一人職』であるため、学校の中でどのように活動し、教員と連携を図れば良いのか、サポートする必要があった」と、教育委員会指導室・佐々木希久子統括指導主事は語る。

同区の学校図書館支援室(以下、支援室)は教育委員会に属し、学校の管理職経験のある室長と、教員経験があるスーパーバイザー(SLS)の2人体制。「学校を支援するということは、〝一職員〟として教育に携わるということ。公共図書館とは求められることも異なるため、学校を知っている人が必要」。

佐々木統括指導主事と学校図書館支援室長、SLSは、ほぼ毎朝打ち合わせを実施し、意思疎通を図る。支援室長は年に1回以上各学校を訪問。SLSは必要に応じて学校を訪問し、授業の支援や学校図書館の運営についてなどアドバイスする。現場の声も教育委員会に伝わりやすい仕組みだ。

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研修会なども充実。司書教諭(学校図書館担当教員)、学校司書を対象とした研修会が、それぞれ年6~7回(合同研修会も含む)あり、別途新任の学校司書向けに年7~8回実施している。「学校司書連絡会」も年3回ある。区内の小・中学校34校を4つの地区に分け、各地区で学校司書と区立図書館の担当者で情報交換する。

佐々木希久子統括指導主事
佐々木希久子
統括指導主事

学校司書の配置当初は、学校図書館を活用した授業は各学校に浸透していなかった。しかし支援室のサポートと研修会などが奏功し、現在は区内のどの小・中学校でも同じように学校図書館を活用できるようになった。

レファレンス力を高め学びの質の向上目指す

司書教諭や学校図書館担当教員でなければできないのは、「コーディネーター」の役割。各教員の年間計画の中で、学校図書館を使った授業ができる単元やテーマについて、アドバイスや事例を示す。

一方で学校司書はハード面の整理や、ニーズに応じた図書資料の準備、公立図書館などとのやりとりに加え、最近ではレファレンスの向上も重視する。「単に1つのテーマの図書資料を集めるだけでなく、調べたいことを十分にサポートし、想像もしていなかった本で子供の目を開く、といったレファレンスの技術は、訓練しなければ身に付かないもの」。

今年の司書教諭・学校司書の合同研修会のテーマは「探究的学習活動の推進」「特別支援教育における学校図書館の役割」。以前と比べ、最近は授業の質の向上に結び付くテーマにシフトしてきたという。「授業で子供に身に付けたい力を教員と学校司書が共有し、共に学びの導き手になってほしい」と語る。(11月7日号へ続く)

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