トーベン・クールマン/作
金原瑞人/訳
ブロンズ新社
277㍉×213㍉ 120頁
2970円
野ネズミの女性発明家が、多くの苦境を乗り越え飛行機による世界一周の大冒険に挑む。20世紀前半、世界で初めて大西洋単独横断飛行を成し遂げた女性パイロットで、女性の権利向上に尽力した実在の人物、アメリア・エアハートから着想を得て描くファンタジー。
野菜畑の下で暮らす野ネズミの女性発明家は、ある日‘大きなネコ’が描かれた切手を目にし、外の世界に関心を抱く。やがて、かつて飛行機で大西洋横断を果たしたパイロットネズミと出会い、飛行機による世界一周旅行を決意する。
著者は、地下に住む野ネズミたちのコミュニティの中で空飛ぶ野ネズミが白い目で見られてしまうことと、100年以上前に活躍したアメリアの生き様を重ね合わせ、ユーモアと尊敬を込めて描いた。野ネズミが周りを振り切って飛行機で飛び立つシーンは、自分を貫くことの尊さ、といった著者からの熱いメッセージが伝わってくる。
世界35言語・62超の国で翻訳出版されている「ネズミの冒険」シリーズ第5作目。今年でシリーズ10周年を迎えた。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年6月16日号掲載