
王一瓊/著
大阪大学出版会
A5判 336頁
5940円
言語的マイノリティの生徒が急増する日本では、その課題として日本語能力の不足に目を向けがちだ。教師・生徒のインタビューとともに多言語教育の実践を示す。
中国、ベトナム、ネパールなどにルーツを持つ言語的マイノリティの生徒を受け入れる大阪のある公立高校では、該当する母語の生徒がたとえ一人でも「ベトナム語」「ネパール語」などの授業を開設する。また、日本語能力が十分ではない生徒に向けた「取り出し授業」を設置。日本語能力テストによって「原授業」に復帰できる仕組みだ。母語を尊重し、手厚い支援を行っている。
本書では、アメリカの調査からマイノリティ生徒の孤立や教師とのすれ違いを示し、支援システムや言語アセスメントシステムの構築、居場所づくりなども具体的に提案。欧米を中心に発展した多言語教育、言語的マイノリティ研究に対し、日本語社会の特徴、社会的意義を取り入れる。
多様性を認め合う「共生社会」に向けた有益な研究。日本語ができれば全てが解決できるわけではない。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年3月16日号掲載