
大竹稽/編著
釆澤良晃ほか/共著
時潮社
四六判 240頁
2750円
能の演目である『鉢の木』は、佐野市と鎌倉市が主要な舞台の物語で、由来となる名台詞「いざ鎌倉」が有名だ。能の「ワキ」として登場する旅の修行者は、実は鎌倉の最高権力者北条時頼であり、諸国の事情を知るために僧の姿に身を窶していたのだった。
戦や疫病の流行といった過酷な時代に時頼は率先して「臨済禅」の修養に励んだという。やがて禅の精神は広まり、全国に定着した。
本書はこの『鉢の木』の物語を通して、子育てや生き方などについて考える禅寺の和尚7人と編者による対談集。各章のタイトルは、第1章「逆境」第2章「不便」、第3章「貧しさ」等々、ネガティブなものが多いが、”ネガティブを否定せず、そのままひっくり返して即ポジティブにする”という禅の精神性を、対談の軽快なやりとりを通して発信する。
現代の「逆境」をどう捉えるのか、「憤り」とは、「不安」とは。和尚たち自身のエピソードで親近感も湧く。各章終わりの「子どもを見守る人たちへ」等は、保護者や教員へのメッセージも。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年4月27日号掲載