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図書館

6年生の「総合的な学習」で地域の魅力を発信する~群馬県甘楽町立福島小学校

2024年4月22日
春の学校図書館特集

各学校がそれぞれ特色あるテーマで取り組む「総合的な学習の時間」。群馬県甘楽町立福島小学校では、6年生が‘地域の魅力’を大きなテーマに据え、毎年さまざまな主題について探究し、地域へ広く発信している。GIGAスクール構想による1人1台端末の導入によって、より多様な取組につながっている。「春の学校図書館特集」では、同校の取組から、学校図書館を拠点に探究活動の幅を広げるヒントを探る。

甘楽町立福島小学校(新井綱人校長)の6年生の「総合的な学習の時間」の課題は、例年「福島地区の良さを発信しよう」としている。2023年度の6年生は「福島地区の良さ」の中でも同校が日本で最初の「栄養給食」を始めたことを取り上げることになった。
食生活改善のため栄養を重視した「栄養給食」は、1932年12月に、福島尋常小学校(現在の福島小学校)で始まった。医師の齋藤寿雄氏の尽力によるものだ。

■「栄養給食」発祥に着目

「学校給食の碑」は全高1.9m

1学期はまず同校の敷地内にある「学校給食の碑」と、齋藤寿雄氏について調べることから学習をスタートした。学校の蔵書から『郷土の偉人 齋藤寿雄』(市川みどり/著 あさを社)、『私たちの甘楽町』(甘楽町教育委員会 制作)を参考にしたほか、さらに甘楽町立図書館から当時の資料『学校給食の実際』(群馬県北甘楽郡福島尋常小学校)の複写も取り寄せた。町指定重要文化財である石碑の文章も読み込む。

また6年生の活動に興味を持った他学年の教員により、齋藤氏が生きた江戸時代~昭和初期の日本についてのレクチャーも行われた。

地域資料を活用

次に栄養給食の認知度等を調べるためアンケート調査を実施。対象は同校の1~5年生と保護者に加え、町内の小幡小学校と新屋小学校の6年生、町内小学校の教職員、計約320人。他校には児童が電話で協力を依頼した。児童と教職員にはロイロノートを、保護者にはGoogleフォームを利用。保護者は約9割が回答した。

調査から明らかになったのは、福島小学校以外の人は、あまり栄養給食や齋藤氏について知らないこと。栄養給食発祥の学校であること、斎藤氏の功績を多くの人に知って欲しい、という6年生児童の思いが生まれた。その傍らで担任と司書教諭は話し合い、児童が何をどのように発信できるかを検討していた。

児童はKWLシート等の思考ツールも活用し「何がしたいか」を考える。実現するかは別として、まずはやってみたいことを挙げてみよう--群馬テレビでPRする、パンフレットを作るなど様々なアイデアが生まれ、楽しいことができそう、という児童の意欲を引き出していった。

新聞、ポスター、パンフレット、絵本・紙芝居、動画、キャラクターの考案とキーホルダーやプラバン制作。甘楽町指定文化財となっている石碑の案内版作成を要望する企画書を町に提出する、などに取り組んだ。

行事の多い2学期を挟み、3学期には‘やってみたいこと’を元に、プロジェクトチームが本格的に動き出した。6年生31人がチームに分かれ、1人1台端末も威力を発揮した。ポスターやパンフレット、動画等は「Canva(キャンバ)」、また「KOMA KOMA(コマコマ)×日文」を活用した写真動画も出来上がり、それぞれQRコードも作成した。

完成したパンフレットなどは、多くの人に手に取ってもらえるよう、甘楽町立図書館や道の駅甘楽、町役場などに設置されたほか、ポスターの掲示や、プラバンのキーホルダーも無料配布した。

パンフレット

完成した児童の作品。拡大版のポスターも作成され、甘楽町立図書館などに掲示されるほか、パンフレットも各所に設置される。児童が考えたオリジナルキャラクターも

■6年間の積み重ねで多様な活動が可能に

担任の新井有希子教諭によると、卒業を控えた学年として多忙でありながらも、「決して不可能ではない活動だった」という。

手で書くこともデジタルでの表現も、低学年のうちから繰り返し行うことで、表出することが苦にならなくなる。著作権についての校内研修も行われ、調べ学習の際には担任が児童に「出典をきちんと書きましょう」と常に声をかけるなど、基礎的な情報活用スキルを身につけられるよう意識してきた。

1人1台端末が導入された際には、当時の担任が情報教育担当だったこともあり、端末の扱い方や情報モラルなど正しい使い方を指導。進級後もスムーズに1人1台端末を使った学習活動ができ、多様な発信の方法も身につけていった。新井教諭は「青木司書教諭が系統立てた指導方法について各教員をその都度サポートしている」と話し、今回の栄養給食に関する取組について、「小学校6年間を通した学習の1つ1つの積み重ねがあったからこそできた」と振り返った。

■1人1台端末活用で「読む」「表現する」「発信する」

1年生が作成した作品。学校の1年間のようすは手書きのものもCanvaで作成したものもある。 下は「おすすめの本」

福島小学校では、さまざまな形での読書推進活動を行っている。全学年で取り組むものも多い(∥左表参照)。同校の図書部は、学校図書館長である校長、青木いず美司書教諭、国語主任、学校司書、学校支援員で構成。学校司書は月に3回来校し、授業支援で関わる。図書の受入や貸し出しといった業務は学校支援員が担っている。2022年度からは、司書教諭の活動時間が週1時間確保され、青木司書教諭は1年生を担任しつつ、1年生が下校後の6時間目に他の学年の指導にあたる。6年生の「総合的な学習の時間」の授業にも携われるようになった。

■コロナ下から始まった学校図書館のICT活用

青木司書教諭

青木司書教諭は「コロナ下で本格的にICT活用に向き合った」と話す。臨時休校の中で何をすれば良いのか、1人1台端末を学校図書館と絡めてどのような取組ができるか考えるようになった。

休校期間中は、甘楽町立図書館から1000冊の貸出を受け、学校図書館の図書と合わせて、児童1人に5冊ずつ入れた「本の福袋」を提供。このような紙の本による読書推進活動と並行して、ICT活用も徐々に行うようになっていった。

学校図書館には児童がリクエストした本も並ぶ

今回の探究学習に取り組んだ6年生は、3年生の時コロナ下による分散登校を経験した。その際、青木司書教諭と、当時の担任が協力し、教室内での密を避け、児童の半数はPC室でポプラディアネットを、半数は学校図書館で紙の百科事典ポプラディアを使用、次の時間は児童が教室を交代し、紙とデジタルの両方で調べ方を学んだ。

2020年後半にはカーリルによる蔵書検索、2021年度には電子書籍サービスYommoka!も導入した。

Canvaは2023年度から利用を始めた。ブラウザ上で使えるグラフィックツールで、イラストやテンプレート素材が豊富。ポスターなどのほか、動画も作成でき、1年生でも簡単に操作ができる。他にも「パドレット」や「桃太郎電鉄 教育版」などさまざまなデジタル教材やアプリを積極的に活用するようになった。

■児童の表現の幅を広げて

青木司書教諭は「1年生が入学後、初めて1人1台端末を手にして起動させるところから始まり、3学期が終わる頃にはCanvaで作品を作れるようになる」と語る。実際、1年生はこの1年で色々なことができるようになった。生活科ではアサガオの写真を撮影して観察する。読みたい本が学校図書館にあるかどうか検索する。紙でも電子書籍でも本を読む。絵を描く時は、手書きかデジタルか、自分が描きたい方法を選択できるようになった。「1年生で十分にICTを活用することで、それ以降の学習活動の幅がぐっと広がる」。

3月には新1年生に向けて、小学校の1年間の行事の紹介や「おすすめの本」を、手書きやCanvaで作成した。4月、校内を飾る作品の数々が、新1年生を迎えている。

<1年間の主なコンクール参加と読書活動>
◆全国SLA「日本絵本賞 ポップ交流サイト」…全校で参加。2023年度は「言葉に着目して」取り組んだ学年も
◆「こどもの本総選挙」…全校で参加。1人1台端末で1年生からWeb投票
◆博報堂教育財団「お気に入りの一冊をあなたへ 読書推せん文コンクール」…全校で参加。7月に授業で担任・司書教諭・学校司書が作文指導する。相手意識を持って文章を書くことができる
◆「青少年読書感想文全国コンクール」「マンガ感想文コンクール」「映画感想文コンクール」…希望者が参加。作文指導を行う
◆「読書感想画中央コンクール」…1年生と4年生の希望者が参加。図工と連携
◇卒業ブックトーク…6年生が、1~5年生それぞれに、様々なテーマを決めて3冊を選んで実施
◇新1年生に向けて…4月に入学予定の子供たちが学校見学に来た際に、1年生が2人1組で紙の本の読み聞かせをするほか、Yomokka!の体験もしてもらう
◇「2023年の1冊」…全校児童が、この1年で面白かった本を紹介する。CanvaでA4用紙1枚に、書名、作者名、出版社名、一言感想を掲載。校内に掲示する
◇Yomokka!の活用…ランキング機能を活用し児童・教員がそれぞれ毎月のベスト3を投稿。お互いに見せ合うことで読書意欲につながっている

春の学校図書館特集

教育家庭新聞 新学期特別号 2024年4月15日号掲載

 

 


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