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日本の子供の精神的幸福度は38か国中37位 ユニセフ「レポートカード16」で「子どもたちの幸福度ランキング」を発表

2020年9月9日

「子どもたちの幸福度ランキング」は、日本の子供は「身体的健康」は高いが、「精神的幸福度」は低いという結果になった。これは公益財団法人日本ユニセフ協会が、日本を含む先進国の子供たちの状況を調査した最新報告書「レポートカード16」から明らかとなった。


■「精神的幸福度」「身体的幸福」「スキル」で幸福度をランキング

9月3()に「レポートカード16」の結果が発表され、日本に関する結果を中心に解説が行われた。「レポートカード16」のテーマは「子どもたちの幸福度」で、このテーマを取り上げたのは2013年の「レポートカード11」以来となる。「精神的幸福度」、「身体的健康」、「スキル」(学力及び社会的スキル)の3つの側面から、各国の子供の幸福度をランキングしていった。

 


■著しく低い日本の子供の「精神的幸福度」

日本の「子どもたちの幸福度ランキング」は、総合でみると調査対象国38か国中20位となっている。しかし、レポートの執筆者の1人であるアナ・グロマダ氏によると、日本の順位には、かなり特殊な傾向が見られるという。幸福度を調べる3つの側面のうち、「身体的健康」は38か国中1位だが、「精神的幸福度」は38か国中37位という極端な結果となった。


■「生活の満足度」と「若者の自殺率」に見られる日本の問題

「精神的幸福度」の内容を細かく見てみると、「生活の満足度」では「生活に満足している」と回答した子供の割合は非常に低く62%となっている。また、「若者の自殺率」は日本は10万人あたり7.5人となっており「精神的幸福度」を大きく引き下げている。


■日本は子供の健康が保障された国に

「身体的健康」が1位となった要因は、514歳の子供の死亡率は1000人あたり0.73人で、医療の発達により乳幼児の死亡率が極めて低くなっている。病気だけでなく戦争や事故で亡くなる子供の割合も低く、子供にとって安全なシステムが整っている国となる。また、過体重または肥満の子供の割合は14.4%で、すべての先進国で肥満が増えている中、この数値は優れた結果と言える。

 


■学力は高いが社会的スキルは低い日本の子供

「スキル」は38か国中27位だが、その内容を見てみると、「学力」はPISAテストの読解力・数学的分野で基礎的習熟度に達している15歳の生徒の割合は72.9%。ランキングでは38か国中5位で上位となっている。一方、社会的スキルでは「すぐに友達ができる」と答えた15歳の割合は69.1%で38か国中37位となるなど、ここでも両極端に分かれる結果となっている。

 


■インターネットが子供に与えるマイナス面は低い

新型コロナウイルス感染症に関連して、子供のインターネットの利用時間が増える傾向にある。しかし、調査結果を見ると、インターネットが子供に与える精神的な影響は低いと言える。インターネットの利用時間が子供に与える影響を、いじめが与える影響と比較すると4分の1となる。このことから、ほとんどの子供にとって、インターネット利用時間は、子供の幸福度にマイナスの影響を与えていないことが分かる。


■いじめは長期的に大きな影響を与える

1か月間に複数のいじめを受けたことがある」という子供は13%。いじめは子供の時だけの問題でなく、生涯にわたって長期的に影響を与えることが多い。また、頻繁にいじめにあっている子供の方が、生活満足度は低い結果になっている。

 


【ユネスコからの5つの提言】

今回の調査を受けて、ユニセフは次の5つを提言する。

1.所得格差と貧困を減らすための確固たる行動を取る

2.子供のためのメンタルヘルスのサービスに関する深刻な格差を是正する

3.仕事と家庭のバランスを改善するため、子育て支援策を拡充する

4.予防可能な病気から子供を守るための策を強化する

5.新型コロナウイルス感染症関連の政策を改善し、子供の幸福度を支える予算を確保する

 


<尾木直樹氏 コメント>

今回の「レポートカード16」の発表を受け、日本の分析結果を見た教育評論家で法政大学名誉教授の尾木直樹氏は次のようにコメントする。

「日本の場合、教育政策上の問題が調査結果に大きく影響を与えている。日本は15歳で高校を受験し、偏差値で学校を振り分けられるが、そこで子供の自己肯定感が引き下げられる。日本の一斉主義による教育は、他者との競争の中で幸福感が育ちにくい現状にある。また、いじめにあっている子供は精神的幸福度が低くなるが、いじめは大人になっても、その人の社会的関係などに多大な影響を及ぼすという調査結果が出ている。子供にとって学校は安全で、安心できる居場所であるべき。そのため最優先課題として、いじめ問題を解決する必要がある」



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