公財・スプリックス教育財団は11月25日、児童養護施設を対象に実施した学力・進学実態調査の調査結果を公表した。
調査は、基礎学力に焦点を当て、学力における基礎学力の重要性認識や基礎学力の定着状況の把握を主目的に、今年7月から8月にかけてオンラインで実施。33の児童養護施設より回答を得た。回答者は各児童養護施設職員 (施設長、児童指導員、自立支援担当職員、保育士等)。
「1. 読み書き・計算・英単語といった基礎学力が定着しているか」「2. 定期テストで平均点より上の点数をとれているか」「3. 学校の授業についていけているか」という観点から、在籍者の学力実態を各施設に尋ねたところ、以下の通りとなり、学力の実態 について 多くの施設において、基礎学力をはじめとする学力が十分定着していない子供が多いという結果になった。
児童養護施設に在籍する子供の学力実態において、基礎学力が特に重要視されているものの、十分定着していない実態が確認された。学力不足として考えられる原因としては、以下のようなものがあげられている。このことから同財団は、基礎学力の低い子供が多い原因に学習意欲不足や勉強嫌いの子供が多いことが原因と考えられると分析している。
33施設における、2024年度の高校進学率は、98.2%となっており、一方、2024年度の高等教育への進学率(大学、短大、専門学校)は、31.7%、就職率が59.8%だった。一般的な高等教育機関への進学率は80%を超え、就職率が20%未満である状況と比較すると、児童養護施設の在籍者が高校卒業後に就職する割合が高いことが分かる。 また、学力向上のための対策としてICTの活用は7割と進んでいるものの、実際は「宿題を一緒にする」ことが学力向上の対策として9割とあがっており、ICT活用による学習充実感については、十分得られているとは言えない状況となっている。
調査結果から、多くの施設において、基礎学力をはじめとする学力が十分定着していない子供が多く、施設でのICT導入が7割と進んでいるにもかかわらず、「勉強嫌い」や「学習意欲の低い状況」がその原因であることがわかった。そのため、ICT活用による学習の充実実感は高くない結果となっている。
この結果を受けて同財団は、在籍者の「勉強嫌い」や「学習意欲の低い状況」へ取り組める環境整備の必要性を指摘している。また、ICT機器による学習の充実実感を得ている施設もることから、そうした施設ではどのような活用がされているかなど、「現状の中でICTをいかに有効に活用していけるか」というソフト面の検討が必要であり、職員の負担軽減につなげていく視点も重要だとしている。
調査の詳細はこちらで確認できる。