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教育ICT

学習指導要領改訂の最新動向と教育DX~武藤久慶・文部科学省初中局教育課程課長

2026年3月16日

教育DX推進フォーラム2025が3月6、7日に都内で開催され、昨年度を上回る教育関係者が参集。武藤久慶・文部科学省初等中等教育局教育課程課長の基調講演「学習指導要領改訂の最新動向と教育DX」も満席であった。武藤氏は次期学習指導要領のポイントと円滑な実施に向けて説明した。主催は一社・日本教育情報化振興会。

教育DX推進フォーラム2025で教育DXによる多層型支援について語る文部科学省初等中等教育局教課育程課長の武藤久慶氏

デジタル学習基盤を土台に段階的に多様な支援を実現する

■次期学習指導要領 検討の背景

9月25日に公表された次期学習指導要領の論点整理では、3つの視点「深い学びの実装」「多様性の包摂」「実現可能性の確保」を基盤とし、現在および未来に起こり得る課題を整理してこれらに対応できる人材育成に向けて検討している。

課題の第一は人口減少である。日本は人口減少社会に急速に向かっており、一人ひとりが多様な力でパワーアップする必要がある。また、核家族世帯9割、さらに学校も小規模化している今、多様な他者と協働する機会を設ける必要がある。

次に、グローバル化である。現在の小中学生が社会に出ていく2040年代は、生産年齢人口の一割が外国人であると予測されている。分野や業界をまたぐ提携も進み、一層の多様化が進む。デジタル基盤という環境下で協働して進めるスキルが必要になる。

急速なデジタル化も進み、AIロボット等を使いこなす人材育成も急務である。AI同士の共同とヒューマンチェックで作られるプログラムも増えている。AIを始めとする技術の変化や進化の加速に伴い、既存の知識技能の価値も下がっていく。

さらに人生100年時代の到来も予測されている。生涯にわたり学び続け、自ら舵取りできる力の育成に本気にならなければならない時代である。

AIを消費するのではなく、人としての意思や情熱をもって、課題を発見しAIを用いて解決したり創造したりできるようなカリキュラムとする方向性で議論が進んでいる。

■教育DXで多層型支援

小中高校生の不登校は約40万人に上り、授業が簡単すぎると感じている層は1割以上、難しすぎると考えている層は3割以上で、中間層に焦点を当てた授業は限界である。

不登校もしくは不登校傾向層を対象にした調査では、自分の学習ペースに合った手助けがあれば通学を継続しやすいという結果も出ている。教育DXは保健室登校や自宅からのアクセスを可能とするなどこれらの課題の解決に利用できる。デジタルなくしてインクルーシブは実現しないと考えている。

具体的にはICTを利用した多層型支援だ。

GIGA端末やクラウド環境、ネットワークなど国や自治体の環境整備を土台とし、第一層としてはこの環境を、生涯や環境を問わず全員が利用できるようにする。単元計画を事前に開示したり、教材に自由にアクセスできるようにしたり、いつでも悩みを相談できるようにするなどだ。

第二層は小集団に対するプラスアルファの支援での活用だ。私用端末の許可や行動記録ツールなど必要なアプリの整備などがそれにあたる。

第三層として、データ利活用を実現し、個別アセスメントの指導と支援を想定している。

それぞれの自治体で、今どこに注力しているのかを判断して次のステップを目指してほしい。

■学びの方略を身につける

日本の子供は、学力は高いが学習方略において弱みがある。例えば学年が上がるほど、長期休校時に自ら学び続ける自信がない児童生徒が多い。これらを解決するには自己調整学習などを進める力を高める認知心理学や学習科学の手法を、どう学校現場に実装できるかが鍵ではないかと考えている。例えばアクティブリコール(覚えたい内容を学習後に‘思い出す’練習)やデュアルコーディング(言語<文章・音声>+視覚<図・表・イラスト>)で理解や記憶を深める)、AARサイクル(行動後のふり返り)などの古くからある知見だ。

■探究を強化する意義を理解する

探究的な学びに積極的な子ほど、学ぶ意欲が高い傾向がある。そこで各教科と探究が地続きとなるようなカリキュラム構造とする方向で議論が進んでいる。大学全入時代に突入した今、学びの動機付けを一層強める必要があり、自分の「好き」を伸ばすことはAI活用が進むほど必須になる。

■情報活用能力を抜本的に向上

デジタルVSリアルの二項対立など不毛な議論をしばしば見かけるがGIGA端末などのデジタル環境を利用しながら力をつけていくためには、手段として使いこなせるほど使い慣れることが必要。これまで、情報技術や情報活用力の育成は、小学校において明確な位置付けがなく、探究的な学びとの連動も明確ではなかった。

これを解消するために情報活用能力の育成を抜本的に見直し、総合的な学習の時間に「探究活動」と「情報の領域」を設け、情報の領域を探究活動の基盤と位置つける。情報の領域ではさらに、情報技術を身に付ける「情報ブロック」と、それを活用して探究の手法を身につける「探究ユニット」を設ける。

■読解力がないと「丸写し」になる

最近の新しい動向にブラウザAI要約の急速な浸透がある。

ある論文によると、調べ学習において、対話型生成AIとブラウザAI要約の場合、「丸写し」がより生じやすいのはブラウザAI要約であった。調べ学習においてAIがまとめたものの丸写しが危惧されているが、AIが生成した内容を理解できなければ、丸写しするしかない。AIを使いこなすためには、AIが出力した言葉を理解する力が必須。丸写しは生成AIがあるからではなく、読解力がないから生じる。

情報=知識ではない。複数の情報を紐づけて価値づけや判断に伴うものが知識である。教科書も情報の一つである。

一方で、教科書を読めない子供も増えている。教科書の読解指導は、情報活用能力育成のためにこれまで以上に重視すべきだろう。読解に必要なことは言葉=情報から絵を描いたりイメージをもてたりすることである。これを意識的に指導していく必要があるだろう。

個に応じた学習過程の充実を図る案を提示

12月15日の教育課程部会総則・評価特別部会において提示された「個に応じた学習過程の充実」等に盛り込む要素(案)が、次期学習指導要領を検討する各教科の部会で共有されている。

その一つが「自己調整学習のサイクルや、それを促進する要素等に関する研究上の知見」の整理だ。自己調整学習の効果を高める方略として「動機付け方略」「学習方略」「メタ認知的方略」の3つを示し、方略の指導については「直接的な指導」「間接的な指導」「学習環境設定の工夫」の3つを提示して解説。

学習方略の例として、分散学習や検索練習、交互配置(インターリーブ)、精緻化、具体化、二重符号化(デュアルコーディング)として整理。すべての教科における自己調整学習での支援方法として提示した(図参照)。さらに自己調整学習について「初歩段階」と「上達段階」に整理し、どの段階に達しているのかを考える目途を示している。

文部科学省が資料「個に応じた学習過程の充実について」で示した「認知心理学の知見に基づく効果的な学習方略の例」

 

資料=https://www.mext.go.jp/content/20251215-mxt_kyoiku01-000046335-02.pdf

 

教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年3月16日号掲載

 

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