延岡学園高等学校は、2026年4月新設の「情報テックリート科」において、国の就学支援金や奨学給付金などの公的支援と、エンダウメント投資的な取り組みによる給付型奨学金を組み合わせることで、入学から卒業までの3年間、保護者の実質的な経済負担をゼロとする計画を発表した。経済状況に関わらず、すべての生徒が経済的な心配なく学びに集中できる教育環境を実現する。

情報テックリート科は、深刻なサイバーセキュリティ人材不足という社会課題に対応するため、即戦力となるセキュリティ人材を高校段階から育成する学科。プログラミング、データ分析、サイバーセキュリティの基礎から、AIツールやクラウドサービスの活用まで、実践的なIT教育を行う。特に「ホワイトハッカー」の育成に力を入れ、サイバー攻撃から企業や組織のシステムを守る技術者の養成を推進する。
さらに、同校は北浜キャピタルパートナーズおよびSUN Digital Transformationと共同で、2029年度までに延岡市内にSOC(Security Operation Center/セキュリティ運用監視センター)拠点を開設する考え。卒業生は、このSOC事業をはじめとするセキュリティの最前線で、高校卒業後すぐに即戦力として活躍できる道が開かれる。
同校は、2026年4月入学生から、3年間の保護者の実質的な経済負担をゼロとすることを決定した。この実現を可能にするのが、国の就学支援金や奨学給付金などの公的支援と、エンダウメント投資的な取り組みによる給付型奨学金の組み合わせだ。
エンダウメント投資とは、大学などの教育機関が寄付金を基金として集め、その資産を長期運用し、運用益を教育・研究活動に活用する投資手法。ハーバード大学などで活用される資金運用モデルであり、安定した収益をもとに学びの質向上や教育環境の充実を図る仕組みだ。
今回、同校では、前田健晴氏(北浜キャピタルパートナーズ創業者・会長・CEO)が個人として運用を企画し、その運用益を同校に寄付する形式で、このエンダウメント投資的な取り組みをスタートする。前田氏は資金支援だけでなく、株式トレードや金融工学の講師としても教壇に立ち、生徒たちに実践的な金融知識と資産運用の力を直接伝える。
授業料や施設設備費等の校納金は保護者に対して請求されるが、国の就学支援金や奨学給付金などの公的支援と、給付型奨学金を組み合わせることで全額をカバーし、保護者の実質的な負担をゼロにする。保護者は就学支援金制度への申請が必要となる。
同校では、4月の開設に向けてカリキュラムの最終調整、SOC実習環境の整備、企業向け共同演習プログラムの設計を進めており、2027年度以降には、情報テックリート科の卒業生が実際にSOC業務に従事する体制を整備予定。5年間で情報テックリート科から約700人の卒業生を輩出し、そのうち約350人がSOC業務に従事することを想定しているという。
※保護者負担実質ゼロの対象:授業料、入学金、制服代、施設拡充費、施設設備費、後援会費、生徒会費、環境費、ICT推進費、教科書代、教材費、スクールバス代、諸納金