横浜市教育委員会は今年度、医療的ケア児向け通学支援事業において、両備システムズが開発する「ケアキャビネット(多職種連携情報共有システム)」を導入した。
同市は医療的ケア児支援の領域において全国に先駆けて取り組んでいる。さらなる支援拡大のためには、教育委員会・支援学校と複数の送迎事業者間での安全な情報共有と複雑な日程調整が課題となっており、今回、既存運用を活かした情報共有の仕組みの導入を決定。これまでの紙やメールでの共有に代わり、多職種連携情報共有システム等を通じて、送迎日程や送迎実績等の内容について教育委員会・支援学校・送迎事業者でシームレスに共有することができるようになる。

医療的ケアを日常的に必要とする児童生徒は全国的に増加しています。しかし、従来のスクールバスでは医療的ケアへの対応が困難なケースが多く、▽保護者の送迎負担の増大と就労への影響▽支援学校・送迎事業者間における情報共有不足と安全面の懸念▽関係者間で行われる日程調整(マッチング)の煩雑化――といった課題が存在している。また、2021年施行の医療的ケア児支援法により、自治体は医療的ケア児が家族の付き添いに頼らず通学できる環境整備を行うことが責務となり、仕組みの整備は急務となっていた。
横浜市は、医療的ケア児の通学支援については、2019年度から福祉車両による通学支援事業を開始しており、第4期アクションプランで肢体不自由特別支援学校6校に向けた50台の支援車両導入を目標に掲げるなど、全国に先駆けて先進的な制度整備を積極的に進めている。さらなる特別支援学校への支援充実のためには送迎事業者の増加が必至となっており、スムーズで安全安心な情報共有と、複数の送迎事業者との日程調整の両方を効率化する必要があった。
こうした課題の解決に向け、医療・地域包括ケアの分野で培った多職種連携のノウハウを持つ両備システムズは、既存運用を踏まえた柔軟に連携できるシステムを提案。市は、情報共有の安全性の担保や日程調整の効率化といった課題を一体的に解決できる点を評価、今回の採用に至った。

通学支援事業における多職種連携モデルのイメージ
医療的ケア児の通学支援において、対象児の送迎にかかわる情報の共有や作業等を一体的に改善する取り組みは全国でも少なく、先進都市である横浜市がモデルを構築・導入することで、同様の課題をもつ他自治体への波及効果が期待される。

ケアキャビネットの画面イメージ
今回の横浜市のケースでは、関係者間の情報伝達の負担を軽減するため、複数関係者間の情報共有に適した「多職種連携情報共有システム(ケアキャビネット)」と、予約管理に適した「WEB予約システム(eへるす+予約)」を組み合わせたシステムを構築した。
ケアキャビネットは、医療情報ガイドライン準拠のクラウド型システムで、医療的ケア児の送迎にかかわる情報を一元管理できる。写真・PDF・Excelなど多様な情報を時系列で共有可能で、権限設定により必要な人に必要な情報だけを共有することも可能。