教職員のメンタルヘルス問題が社会的な関心を集めるなか、各自治体・教育委員会ではストレスチェックや相談窓口の設置など、さまざまな対策が講じられている。しかし一方で、施策が現場の教職員にどの程度届いているか、対策の有効性が実感されているかという観点では、依然として課題が残っているのが実情だ。
アドバンテッジリスクマネジメントグループのMediplatは、教職員100人/行政の教職員メンタルヘルス担当者103人を対象に、教職員のメンタルヘルスに関する比較調査を実施、その結果を公開した。


教職員の62.0%が過去1年以内にメンタル不調を経験しており、そのうち22.0%は業務に支障が出るレベルと回答。

行政担当者の75.8%が「メンタルヘルス問題は深刻」と回答しており、教職員側の65.0%を10.8ポイント上回る。行政側としても課題として強く認識していることがうかがえる。

教職員側は「保護者対応のストレス」が70.8%と1位となるが、行政側の回答は11.8ポイント低くなる。行政側では「業務量の多さ・長時間労働」がもっとも多く挙げられている。

行政側では「非常にそう思う」が34.0%、「ややそう思う」が27.2%の合計61.2%となる一方、教職員側では「非常にそう思う」が12.0%、「ややそう思う」が24.0%の合計36.0%となり、両者間で25.2ポイントの差が生じた。

行政側は「管轄地域では、教職員がメンタルの悩みを相談しやすい環境が整っていると思うか」について、「非常にそう思う」が23.3%、「ややそう思う」が26.2%となる一方、教職員側では「非常にそう思う」が7.0%、「ややそう思う」が25.0%となり、17.5ポイントの差が生じた。

相談をためらう要因の1位は、教職員側・行政側ともに「相談しても解決につながらないと思うこと」となり、教職員側、行政側の回答はほぼ同水準。

優先すべきメンタルヘルス対策について、行政・教職員ともに「教職員がSOSを出しやすい環境づくり」が最も多い回答となった。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント マーケティング部 部長/株式会社Mediplat 遅沢修平氏
本調査結果を受け、調査を実施したMediplatの遅沢修平氏は次のように分析する。
「本調査で特に注目すべきは、行政側は対策の有効性を61.2%が実感している一方、教職員側では36.0%にとどまっている点です。この25.2ポイントの差は、メンタルヘルス施策が「実施されている」ことと、現場で「役立っている」と感じられることの間に大きな隔たりがあることを示しています。
また、相談しやすい環境についても、教職員側は32.0%にとどまり、相談をためらう理由では「相談しても解決につながらないと思うこと」が59.0%で最多となりました。つまり、課題は相談窓口の有無だけではなく、相談後に具体的な支援や改善につながる実効性への不安にあると考えられます。
さらに、教職員の62.0%が過去1年以内にメンタル不調を経験し、22.0%は業務に支障が出るレベルと回答しています。メンタルヘルスの問題が離職・休職に影響しているという認識も教職員側71.0%、行政側69.0%とほぼ一致しており、対策の必要性そのものは双方で共有されています。
今後は、行政・教育委員会・学校現場が、施策を「整備したか」ではなく、教職員が実際にSOSを出しやすく、相談後に専門的支援へつながる状態になっているかを基準に、支援体制を見直していくことが求められます」。
▶︎全調査項目を含んだレポートはこちらから申し込むことでダウンロードできる
<調査概要>
調査手法:インターネット調査
実施時期:2026年4月27日~5月7日
調査対象者:教職員、行政の教職員メンタルヘルス施策担当者
回答数 203(教職員100、行政担当者103)