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学校施設

予防の一首!! 学校の感染症【第9回】ジカウイルス感染症

2019年8月20日
連載
ジカウイルス ヒトスジシマカも 運びます 妊婦の感染 赤ちゃんに障害も
(『感染症カルタ』より)

蚊による媒介に注意

絵=オカダマキ

絵=オカダマキ

1947年、アフリカ・ウガンダ共和国のジカ森で、黄熱病の研究の中で偶然に発見されたのがジカウイルスです。人は主にジカウイルスを持った蚊に吸血されることで感染します。その後、人々の移動や交流で世界各地にウイルスが拡散し、2015年からはブラジルで大流行が起こりました。

ジカウイルス感染症には、「ジカウイルス病」と「先天性ジカウイルス感染症」があります。ジカウイルスに感染すると軽い発熱、頭痛、発疹などが現れることがあり(感染しても8割の人は症状が出ません)、これがジカウイルス病で、軽症で「ジカ熱」とも呼ばれます。

ブラジルで急増している
「小頭症」による発達障害

一方、15年11月頃から、ジカウイルスが大流行しているブラジルでは「小頭症」の新生児が急増していることが報告され、重大な問題となりました。

小頭症とは胎児期から乳幼児期に脳が十分に発達せず、頭蓋骨の成長も不十分であるために脳の機能の発達が妨げられ、知能障害や運動障害、けいれんなどが起こる、生まれながらの重度の障害です。これが「先天性ジカウイルス感染症」で、妊婦がジカウイルスに感染すると胎児にも感染がおよび、生まれた赤ちゃんが小頭症などの重大な障害を引き起こすことがあるのです。この先天性ジカウイルス感染症がジカウイルスの最大の問題であり、本質です。

ジカウイルスは人の移動に伴って15年以降も世界各国へ拡がり、17年には日本と交流の盛んな近隣アジア諸国でも感染の拡大が見られています。タイではすでに2例の小頭症の赤ちゃんが報告されました。

進むグローバル化
蚊による国内媒介に注意

ほとんどの感染者に症状が出ないため、日本の空港などの検疫でもジカウイルスの侵入は防げません。この不顕性感染の人を日本の蚊が吸血すると、国内の蚊は体内にジカウイルスを持つようになります。もしも日本で発生するようになれば、デングウイルスと同様にヒトスジシマカが媒介することになります。

ジカウイルス感染症のワクチンは未だ開発されておらず、このウイルスを殺すような特効薬もありません。蚊に刺されないようにするという消極的な予防対策しかありません。

観光客が激増し、急速に国際化・グローバル化の進む日本でも、今後は同じく蚊が媒介するデング熱と共にジカウイルス感染症も大きな問題となる可能性があります。

岡田晴恵(白鷗大学教育学部教授)

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2019年8月19日号掲載

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