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第62回 【教職員のメンタルヘルス】発達に課題持つ教員への対応

2019年10月28日
連載

注意をするとその場では「わかりました」と返事をするが、次の日には忘れている。提出書類の期限が守れない。複数の仕事を同時並行でこなせない。相手に暴言や失礼なことを平気で言う。仕事の予定が変更になるとパニックを起こす等々、あなたの職場にそのような「ちょっと困った人」はいませんか?

もしあなたが、そのような職場の管理職だったら、どのような対応をするでしょうか?以下の①~③を参考にしてみてください。

①本人に医療機関の受診を勧める際には、心理の専門家から伝えてもらうことがポイント。

管理職が医療機関を紹介する場合、「あなたは精神疾患の疑いがあるから」とか「先生はアスペルガーじゃないの?」など、本人を病人扱いすると、パワハラとして受け取られる危険性があります。医療機関に繋ぐ際は、日常の業務における「本人の困り感」を十分に聞きとり、「今後も仕事を続けていくために一度専門家に現状を明らかにしてもらっては?」と前向きな方向で医療機関への受診を勧めることがポイントです。

このようなメンタル面のアドバイスは本来、管理職ではなく、心の専門家が行うべき事案です。今の学校現場にメンタルの専門家が不在なことが課題の一つになっています。

②医療機関を受診の際、初診には可能な限り管理職が付き添いましょう。

最近では、管理職に相談もないまま本人の独断で医療機関を受診して診断書をもらい、「今日から休ませてください」というケースが増えています。診断書が出てからでは、医師の指示に従うほかありません。

医療機関からの診断書は、初診ではなく2回目の受診の際に出るのが一般的です。医師が本人の言い分だけを聞いて診断書を書いてしまうのは問題です。学校現場や教職に精通している医師ならば、本人の訴えと学校側の報告とを聞いた上で診断書を出して頂けます(そのような医療機関を確保することも大切)。

そのためにも、(本人の了解を得た上で)初診の際にはできるだけ管理職が医療機関へ同行し、学校における勤務の実態や管理職としての今後の見通しを医師に伝えてください。

③職場の同僚教師への説明の“コツ”。

発達特性を有する人の場合は、冒頭のような言動がまとまった症候群として極端な形で繰り返し現れることがあり、仕事や人間関係に支障が出るのも当然。職場の同僚からは「いい加減」「だらしない」「自分勝手」などと周囲の見る目も厳しくなります。管理職による説明の仕方がポイントになります。

発達特性は脳機能の発達のアンバランスが原因であり、心の病気ではありません。本人のプライバシーや人権に配慮する観点からも、具体的な疾患名を持ち出すのではなく、(A先生は)「メンタル面での不調で」とか、「心身のバランスが崩れているため」等、あえて抽象的な表現で説明する方が望ましいでしょう。

またサポートをする際には、A先生に周囲と同じことを要求するよりも、周囲の人間がA先生を理解してあげることの方が現実的です(あくまでも程度問題ですが)。その際の管理職側のポイントとしては、命令や指示をするのではなく、「皆さん。お願いします。A先生は○○が得意ですが、○○が苦手で困っています」と周囲に対して「お願い」することです。A先生が自分の得意分野を活かしながら、どのようにして学校組織に貢献できるかを一緒に考えることが大切です。

いかに協力体制を整えても、同僚に様々な形で負担を強いることになる場合があります。その際に管理職がその現状把握と今後の見通しを誤ると、職場から休職者の連鎖が発生するので充分な注意が必要です。


筆者=土井一博(どい・かずひろ)順天堂大学国際教養学部教職課程客員教授、教職員メンタルサポートネットワーク協会代表、埼玉県川口市教育委員会教職員メンタルヘルスチーフカウンセラー

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2019年10月28日号掲載

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