先ごろ文部科学省が公表した「避難所となる公立学校施設の防災機能に関する調査」(2024年11月現在)の結果によると、通信設備、冷暖房機器、飲料水の確保対策などは8割以上の整備が進んでいる反面、入浴・洗濯等生活用水の確保は4割に満たないなどの状況が明らかになった。多くの公立学校施設で中心となる体育館の空調について、文科省は2024年度補正予算を組むなどして各自治体に整備促進を呼び掛けている。
災害時の地域の避難所として指定されている公立学校施設は全体で2万9529校(小中学校2万6166校、高等学校2783校、特別支援学校580校)。そのうち非常用発電機等は2万2806校(77.2%)が整備しており、前回調査時(2022年12月)より4㌽増加した。さらに飲料水の確保等が83・4%(2.6㌽増)、冷房機器5.5%(20.6㌽増)、暖房機器86,3%(7㌽増)、ガス設備78.2%(4.9㌽増)、通信設備85.3%(2.4㌽増)、入浴・洗濯等生活用水が36.7%、断水時のトイレ対策は75.1%(1.5㌽増)。整備されている施設の比率は、すべての項目で前回調査時より増加した。
特に冷房機器の設置は前回より20㌽以上と大きく向上し、85.5%で9割に近づく数値。これは災害時に避難者が滞在することを想定している部屋等(体育館のほか、会議室や教室等を含む)のうち1部屋以上に利用可能な冷房機器(スポットクーラー、扇風機等の移動可能なものを含む)を保有している部屋があれば保有しているものと取り扱っているため。内訳ではスポットクーラー等の保有が57.2%、扇風機等の保有が70.0%、近隣の公共施設等と優先利用の協定により確保している学校が21.7%だった。
しかし文科省の公立学校の体育館等における空調(冷房)設備の設置状況に係る調査では、2025年5月1日現在の公立小中学校における体育館等への設置は約2割に留まっている。政府は避難所となる全国の学校体育館(武道場を含む)への空調整備のペースの倍増を目指す方針を決め、文科省は2024年度補正予算で、新たに「空調設備整備臨時特例交付金」を創設し、補助率の引上げ(1/2)、補助単価の増額改定(下限400万円、上限7000万円)、補助要件となる断熱性確保に係る運用の柔軟化を図るなど、整備支援を加速。今後2035年度までの10年間で体育館等の冷房設置率95%を目標としている。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年7月21日号掲載