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教育ICT

首長部局と連携を図る 行政系ネットワーク内に校務系も構築

2018年5月7日
特集:教育情報を守る仕組みを構築する

「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」(文部科学省)が昨年10月、示された。各教育委員会は、ガイドラインに示された「あるべき姿」と現状を照らし合わせ、どうすれば「あるべき姿」に、より近づくことができるのかを検証、各自のポリシーを策定して体制を整備することが求められる。情報セキュリティの専門家を学校に設置することは難しい。そこでシステムの導入やガイドライン策定、監査などあらゆる面において、経験値の高い「首長部局」との連携が求められている。さらに、現在設置が義務付けられている「総合教育会議」では、首長と教育委員会が十分な意思疎通を図って地域の教育課題に取り組むことを狙いとしている。

首長部局と連携している各教育委員会では、計画立案に首長部局が関わることで財政課の理解が得やすい例や、ネットワーク関連の運用は首長部局が担当している例が見られる。行政系システムの更新の際に教育情報ネットワークを構築する例もみられる。

■東京都・葛飾区

葛飾区は平成28年3月、葛飾区ICT推進計画2016(平成28年度~32年度)を策定した。これに基づき教育委員会では、学習者用端末を活用した教育活動の研究・検討・実施や学習者用端末の導入、一斉提示環境の整備などを進めており、今年度は、小学校の学習者用端末(タブレットPC)を導入するとともに、小・中学校の特別教室等への無線LAN環境整備を行う。

これまで、教員1人につき1台のPCを配置して区立小中学校の学校事務を効率的に執行する「学校教育総合(校務)システム」の構築や、仮想化技術を用いたサーバの構築、サーバ台数やラック数の集約、情報システムを区本庁舎からセキュリティレベルの高い民間のデータセンターに移行するなど「情報システムの全体最適化」に取り組んできた。

葛飾区では行政系と教育系のデータセンターは別であることから予算化等も別に行っていたが、平成32年度の区全体のデータセンター更新のタイミングで、教育系システム(校務系など)を区全体のシステム基盤の中に組み込む方向で検討を進めている。現在、首長部局と教育委員会の役割分担などについて随時調整を進めている。

さらに平成30年度は、教育の情報化を推進していくために、学校の授業におけるICT活用の推進やICT環境の最適化、情報セキュリティ対策などの現状や課題を抽出し、今後の方向性を具体的に定めた「(仮称)葛飾区教育情報化推進計画」を策定する。

本計画策定の際には情報化推進委員会(仮称)を立ち上げ、首長部局の参加も予定している。これまでも、学校ICT関連の大きな整備については首都部局に計画書を出して承認を得る仕組みがあったが、今回は、ビジョン及び計画策定の段階から首長部局と連携する予定。

今後、連携による一層の効果が期待されるところだ。

■東京都・東村山市

東村山市では「PC及びシステムの導入は、首長部局の情報政策課・情報化推進委員会との調整を経たうえで見積もる」こととしており、学校のICT環境について情報政策課が関わる。学校教育ネットワークの運用管理及び学校教育ネットワークの推進・充実に関すること、情報教育に関する研修に関することなどを情報政策課が担当。特に教育情報のセキュリティ強靭化対策についての企画立案・予算化・運用は、基本的には情報政策課が担当。必要に応じて、教育部と連携している。

■東京都・新宿区

新宿区教育委員会では首長部局の情報システム課と事前に調整・検討する場を定期的に設けている。目標とする教育ビジョンは教育委員会で決め、その実現に向けた整備計画の立案、どのような順番で進めるか、どこが何を担当するかなどを事前に首長部局の企画政策課や財政課とも協議しながら進めている。

平成29年度には、教育用ネットワークの無線環境の整備を情報システム課と連携して実施。運用を情報システム課が行っている(関連6面)。

■東京都・多摩市

「第五次多摩市総合計画・第2期基本計画」(平成27年度から概ね10年間)に基づき多摩市教育委員会では平成30年度、学校の個人情報に対する更なる安全性の確保を図るため、校務支援システムの強靭化対策、教職員の教務校務負担の軽減のため校務用PCを追加で配備。首長部局が強靭化対策で構築したネットワーク内に校務を行う学校向けネットワークを構築して教育情報の安全を図る。今年度着手の予定で既に予算化済。

また、分かりやすい授業に向け、教員用の教育用PCの整備及び計画的な児童用端末も更新。

児童・生徒の基礎的・基本的学力や学習習慣の定着を図る取組の1つとして、地域の協力を得、タブレット端末を活用した授業時間以外での学習支援「地域未来塾」も本格実施。小中学校の英語教育についても、首長部局が企業と連携してオンライン英会話などを実施。4技能の向上を目指す。

■埼玉県・戸田市

戸田市教育委員会では教育環境整備に関する予算を獲得する際、教育委員会が掲出した案を首長部局の情報政策統計課が「査定する」仕組みがある。情報政策統計課は、専門家の知見を持って教育委員会案について査定。過大すぎないか、もしくは過小すぎないかなどの見直しやアドバイス、より良い仕組みの提案も行い、整備内容や予算案を練ったうえで財政課に提出。戸田市全体の教育環境向上につなげている。

 


 

熊本市・日本MS

パブリッククラウドでAI活用
市職員整備と合わせて教員も働き方改革推進

日本MS・平野社長と熊本・大西市長

日本MS・平野社長と熊本・大西市長

熊本市と日本マイクロソフト(日本MS)は同市職員約8千名と教職員約4500名の働き方改革の推進を目指して連携し、4月3日から「クラウドソリューションを活用した働き方改革基盤構築プロジェクト」を開始した。

平成31年4月までに、日本MSのクラウドベースの統合ソリューション「Microsoft365」を活用した基盤を構築することで、職員間の情報交換を活性化し、迅速な意思決定を加速。市が推進する「多彩なライフサイクルに合わせた行政サービスの向上」を実現する。

クラウドベースの校務システム活用

教職員向けには「Microsoft365 Education」を活用。全136校の市立小学校・中学校・高等学校の教職員でWindows10のデバイスを配備。クラウドベースの校務・教務支援システムを活用することで、文書のデジタル化、印刷文書とコストの削減、授業コンテンツの共有、テレワークの運用等に取り組み、校務の効率化や時間外労働の削減を目指す。

同日都内で開いた会見で大西一史市長は、「教職員は繁雑な業務が多く、働きすぎている。クラウド化や仕事の状況を可視化して分析することで、業務の効率化に大きな効果が生まれる。教職員のストレスを減らし、質の高い教育を目指す」と語った。

市民の問い合わせオンラインで対応

市職員向けでは、Microsoft365の活用で、時間や場所にとらわれない市民サービスの提供や、市民協働を推進するための環境整備を目指す。
配備済みのタブレット端末約600台で、市民からの問い合わせ対応などに「Skype for Business」 で本庁とオンラインで接続してサポートする等、市民向けサービスにおける活用シナリオを検証する。

AIが日々の働き方を分析して助言する生産性分析ツール「MIcrosoft MyAnalytics」を使用し、働き方の可視化や、AIによる助言をもとに非効率的な会議を削減するなどの業務改善を行う他、職員の働き方に関する客観性の高い基礎データを働き方改革の進捗確認に活用する。
非常時の対策として、平常時の情報インフラを非常時の連携手段の情報基盤としても転用できるように整備するほか、非常時に庁内情報基盤を活用することで、必要な人材、物資、資金等のリソースの割り当てを最適化できるようにする。NPOと連携して「地域情報ネットワーク(みんなの縁側)」を立ち上げ、ノウハウを共有することで官民連携の強化を図る。

日本MSの平野拓也社長は「熊本市の取組は全国でも類を見ない、地方自治体では最大規模のパブリッククラウドとAIを活用した行政・教育同時のICT環境の整備だ。今回の経験を他の自治体にも紹介し、自治体全体の働き方改革等の推進を目指す」と話した。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年5月7日号掲載

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