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教育ICT

“学び方”“働き方”改革で3者「多久市」「日本MS」「SBC&S」協定

2018年2月5日
特集:“2020年代の学び”実現に向けて

教務・校務でクラウド活用

児童生徒の学び方と教職員の働き方改革プロジェクト
左からソフトバンクC&SエデュケーションICT推進室古泉学室長、多久市横尾俊彦市長、日本MSパブリックセクター事業部佐藤知成本部長

教育情報セキュリティポリシーガイドラインにも対応して構築
佐賀県多久市、日本MS、ソフトバンクC&Sは1月26日、「児童生徒の学び方と教職員の働き方改革プロジェクト」において協定を締結した。多久市では、教育及び校務において活用するパブリッククラウドとして「Microsoft365 Education」を採用。セキュリティ認証基盤や教育クラウド運用サービス・ネットワークはソフトバンクC&Sが提供する。本プロジェクトは平成30年度末まで実施。

多久市の横尾市長は、「地域に根差したハイスキル人材の育成、生涯を通じて稼ぐ力を持ち生き抜く人材、世界初のオリジナルを創る人材の育成や多様性の理解を目指し、ICTを『I Create Tommorow』するためのものと位置付けて本プロジェクトに取り組む」と語った。

協働学習の実施目標は8割

田原教育長
田原教育長

教育クラウドを教務・校務双方で活用することについて、田原優子教育長は「実現したいことを予算内で行うため、学校の全システムをフルクラウド化し、予算削減・運用の合理化を図った。予算を縮小できた部分で新ソリューションやICT支援員などを増員することができた。児童生徒用端末や教員用端末、電子黒板も整備・更新、活用方法を見直して協働学習8割の実現を目指す」と語った。

教員用PCを全教職員に配備

本プロジェクトでは、多久市義務教育学校3校の全職員に対して計190台のWindows10搭載PCを配備。教員用PCは授業用・校務用を共用する運用だ。校務用PCとして活用する際にはリモートデスクトップの仕組みで対応する。これにより端末に情報が残らないため、緊急時などには自宅から校務支援システムにアクセスできる。自宅から職員会議に参加することも可能になる。

なお2月からはグループウェアの活用を開始、統合型校務支援システムの稼働は4月からを予定。統合型校務支援システム及びグループウェアはEDUCOMC4thを採用してクラウド上で運用する。
教育クラウドには、「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」に対応した仕組みを実装。校務系情報は認証基盤を別途設け、学習系・校務情報系と遮断する。校務系と校務情報系間でデータをやり取りする際には、申請されたPCにおいて一定期間情報のやりとりを可能にする仕組みで対応する考えだ。

授業活用の際には、情報端末からも電子黒板上からも提示画面に書き込みができる仕組みとし、既に導入済の指導者用デジタル教科書(国語、算数数学、理科、社会、英語)もクラウド上で運用したい考えで準備を進める。

児童生徒用端末100台を整備

傘を真上から見ると何角形か?デジタル教科書をタブレット端末で操作する
傘を真上から見ると何角形か?デジタル教科書をタブレット端末で操作する
ふりこの長さを変えると計測結果が変わる
ふりこの長さを変えると計測結果が変わる

公開授業を行ったのは、義務教育学校である東原庠舎中央校5年生3クラス。

1組の算数では教員用情報端末で指導者用デジタル教科書を操作して電子黒板に提示したり、教員が撮影した写真を提示したり、その上から書き込んだりしている。

2組の体育では、バスケットボールのゲーム中だ。相手チームの誰が何回パスを受けたかについて集計して、次のゲームの作戦に活用していた。

3組の理科の実験では、各班に2台の情報端末を使って、ふりこの長さを変えて1往復する実験の計測結果をエクセルに入力。その結果はリアルタイムに1枚のエクセルに反映できる仕組みを使って、各班の実験結果をひと目で一覧できるようにした。

この仕組みを作成したのは、ICT支援員兼教務補佐員の福島学氏。教育向けにカスタマイズしたシステムではなく、エクセルやワード、パワーポイント等でどのようなことができるのかについて、児童生徒が日常的に体験できる点は本仕組み活用のメリットと言えそうだ。

同校では児童生徒用情報端末約100台を5学年3クラスに配備して充電保管庫で管理。他学年が活用する際には縦割りで、例えば1年1組は5年1組に配備された情報端末を活用するという運用だ。

5年生では休み時間も自由に情報端末を活用。遊びながらプログラミングの基礎を学べる「マインクラフト」などを楽しんでいるという。

授業者の古川教諭は「教育クラウドの活用や協働学習へのシフトにより、電子黒板に提示する内容や時間配分が変わっている」と授業の変化について説明した。

今も昔も教育の里

東原庠舎中央校初等部の新しい校舎は木造を基調としており、明るいホールにある中央階段はオーケストラの演奏や読み聞かせなどの集会ができるように設置。孔子廟があることから、校内には日本語、英語、中国語の表記がいたるところに見られる。孔子廟は多久4代領主が「多久を治めるためには教育が必要」と考えて1699年に学問所(後の東原庠舎)として設置したもの。義務教育学校名の由来でもある。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年2月5日号掲載

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