• 文教向けOS搭載タブレットPCの検証校・教委を募集
  • KKS 学校教材 学校教材をお求めの方
  • JBKジュニア防災検定
  • 教育旅行特集2019
  • 都道府県別教育旅行リンク集
教育ICT

印刷環境見直しで働き方改革 教室常設で“校務もできる”教室に

2019年10月14日
高橋純准教授

東京学芸大学
高橋純准教授

高橋純准教授(東京学芸大学)は、学習指導面と教員の業務改善の効果検証を目的に、ビジネスインクジェットLモデルA4カラー複合機(以下、カラー複合機)を「小中学校の普通教室に常設」することによる教育効果を検証しており(一部学校では廊下に設置)、「教室にカラー複合機が常設されると、教室での校務が可能になり、予想以上に教員の業務改善に役立つことがわかった」という。実践の成果を聞いた。

カラー複合機を普通教室に常設

昔ながらの印刷業務が
教員業務の負担に

技術革新の波は、プリンターにも到来している。本実証は、コンパクトなカラー複合機の新製品がきっかけで始まった。

高橋氏は「30年前と同様の学校の印刷環境と印刷業務が教員の負担になっている面がある。印刷補助員配置のような人的支援に加えて、教室で印刷できるようにして『ながら仕事』を可能にすることで、教員負担の一部を軽減でき、業務改善として役立つのではないか」と考えた。

そこでカラー複合機を小中学校に常設。昔ながらのインクジェットプリンターとは異なり、印刷は途切れず速く、インク交換の手間もかからない。複合機なので、スキャナーもコピーも活用できる。「1人1台端末環境やクラウド活用、ネットワーク活用など、『使ってみないとわからない』ことが今、大量に起きている。この便利さを口で伝えることは難しく、体験して感じるしかない。プリンターも同様で、機能的にもコスト的にも様々な進化が見られる。メールアドレスに送ると印刷できる、自宅から印刷指示して学校で回収できるなど、便利な機能が増えており、活用してみて初めて分かる便利さがある」

1人1台端末環境の効果
カラー印刷で一部を担う

高橋氏は「児童生徒1人1台端末環境にない学校にとっては、カラー印刷が手軽に教室でできることで、タブレット端末が果たす役割の一部を担うことができるようだ。情報の共有が進み、協働学習を円滑に進めるきっかけにもなる。スキャンしたデータを保存するときにクラウドを選ぶこともできるので、BYOD環境で児童生徒の端末が異なったとき、プリンターを使って共有する手段があると使いやすい」と話す。

1人1台端末環境は、自治体規模が大きいほど、実現に時間がかかる。そこで、教育現場に受け入れられやすいICT環境の1つとして、カラー複合機の活用に可能性を感じているという。

4~7月の活用状況を調査したところ、次の効果が明らかになった。

■すきま時間を有効に活用できる

「職員室に行かなくても教室で印刷できる」ことで、教室で、授業中や休憩時間などの隙間時間で臨機応変に印刷ができるようになる。児童生徒に印刷をさせることもできる。4~7月の間に「休み時間で印刷した」案件221件を仮に職員室で行ったとすると、往復5分間かかる場合、約18時間の時間短縮になる。

■授業関連で大量にカラー印刷

学校におけるカラー印刷ニーズの高さが明らかになった。特に授業関連の活用が多い。

最大でプリンター1台あたり1万2000枚(4か月間)印刷した学校もある(平均値約3700枚)。コピーの最大値は1台あたり約9700枚(平均値2000枚)、スキャナーの最大値は約2900枚(平均値約500枚)。

■児童生徒用端末があるとスキャナー活用が多い

児童生徒用端末が1人1台環境ではない教室の方がプリンターやコピーの活用が明らかに多い。1人1台端末が配備されている学校では、スキャナーの活用が多い傾向にある。

■学習効果が高い

「小テストや定期テストはモノクロ」が一般的だが、例えば「花こう岩」の図版の選択問題で正解できる生徒であっても、「実物の花こう岩」を見てもわからない、という実態がある。「花こう岩」の実物を撮影した写真を使った学習やテストを行うほうが、学習効果は高い。

■中学校でも活用

板書の印刷、ノートのコピー・スキャンなどで中学校でも予想以上に活用。情報共有が進み、議論の活性化やポイントのふり返りなどに活用されている。

■特別支援学級での活用頻度が高い

カラー複合機により、書くことに困難がある児童への対応方法が増えた。特別支援教育向けに様々な教材をすぐに作成できるようになった。

【報告】検証校活用事例

「カラー複合機」検証校からは続々と活用事例と効果の報告が届いている。

広島市立藤の木小学校

各教室に1台設置。

  • デジタル教科書のさし絵を「Snipping Tool」を使って印刷。掲示物準備を教室で簡単にできる。
  • デジタル教科書のエディタ機能を使って作成したワークシートを即印刷して、すぐに配布、授業で活用。
  • アサガオ観察では毎回写真に撮り、プリンターで印刷。すぐに教員がコメントを書き入れ、教室後方に掲示できた。
  • 板書をノートに書き写すことが難しい児童に、教員が書いたものをプリンターでコピーして渡す。児童は落ち着いて全部書くことができた。
  • 日々の児童の様子を写真に撮り、印刷して連絡帳に貼り、言葉を添えている。保護者からは、様子がよく分かると好評。
春日井市立出川小学校

11台を設置して学年ごとに1台を共有。

  • 児童のプリントや作品をスキャナーで取り込み、ポートフォリオ化。作品原紙をすぐに子供に返却できるので、作品を教員が保管・管理する必要がなくなった。
  • 子供たちが作成したアンケートなどを教室で印刷・コピー。不足枚数もすぐにコピーできる。
  • 見本となるノートや図工作品の写真、教科書図版を入れたワークシートなどをカラーで印刷。そのコピーを掲示したり、実物投影機で拡大提示したりしている。
  • 緊急で保護者に連絡する文書を作った際、印刷室で印刷して配布する時間がなかったため、校長室からすべてのプリンターに出力指示をして児童に配布。時間短縮に役立った。
静岡市立長田西小学校

プリンター4台を6年生が各教室で活用。

  • 板書をタブレット端末(iPad)で撮影、すぐに印刷して児童に配布。授業改善にも役立った。
  • 児童が自ら印刷できるため、苦手な箇所克服のためのプリント学習に意欲的になった。
  • 毎週配布している研修だよりや学級通信をカラーで印刷。給食時間や休み時間に作成・印刷できるようになった。児童の良いところに気付いたときにすぐに記録・編集・印刷でき、学級改善に役立った。

板書を撮影してダイレクトプリントで印刷(静岡市立長田西小学校)

板書を撮影してダイレクトプリントで印刷(静岡市立長田西小学校)

自主的にプリントをコピーして学習(静岡市立長田西小学校)

自主的にプリントをコピーして学習(静岡市立長田西小学校)

札幌市立琴似中央小学校
帳合い、ページ合わせなしで修学旅行用パンフレットをカラー印刷(札幌市立琴似中央小学校)

帳合い、ページ合わせなしで修学旅行用パンフレットをカラー印刷(札幌市立琴似中央小学校)

これまで担任が休日出勤して印刷していた宿泊学習や修学旅行のしおり作りでは、原版を印刷してまとめてスキャンし、A5用紙に一気に両面印刷できた。ページ合わせも帳合いも不要で時間短縮につながった。集合時間など特に重要な部分を色付けしてカラー印刷できたので、わかりやすく指導もしやすかった。

東京学芸大学附属小金井中学校

理科のプリント提出をデジタルのみとした。ワークシートやディスカッション資料、プレゼン資料を作成するためにコピーやスキャナー機能を活用している。プリンタードライバーもカスタマイズ。「コピー、スキャン(クラウド・両面カラー)、スキャン(NAS・両面カラー)などを選択できるようにした。

EpsonConnectのメールプリントを利用。関係者のみプリントできるようにした。

逗子市立沼間小学校
  • カラーで様々な教材を作成(逗子市立沼間小学校)

    カラーで様々な教材を作成(逗子市立沼間小学校)

    通級指導教室に通う児童への教材作りに活用。工作や調理実習の手順もカラーだとわかりやすい。子供はカラーに慣れているので、白黒から想像するよりも、実物に近い色であった方がよりイメージしやすく親近感が持てるようだ。

  • 児童は取り組んでみようという意欲に、教員は教材を作ろうというモチベーションにつながった。コピーが速いので仕事の効率も上がった。
渋谷区立広尾小学校

プリンターを教室後方に設置。

  • これまで白黒印刷だった「新聞づくり」をカラー印刷。その後の取組姿勢に意欲がみられた。
  • 児童は、調べたいことをすぐにコピーしたり印刷して成果物の制作や調べ学習に取り組んでいる。
さいたま市立北浦和小学校
  • 国語「紹介ポスターを作ろう」では、「伝わりやすい写真」をテーマに、休み時間などに写真を撮影し、必要な写真を選択して印刷。児童が主体的に取り組んだ。
  • 担任がいない時にもプリンターを使えるようにするため、プリンター活用時の記録用紙を導入。教員がいない時間も児童同士で教え合って活用していた。
  • 欠席児童に、隣の席の児童がノートをコピー。連絡カードに、授業内容に加えてそのコピーも渡している。保護者からは、家庭での指導がしやすいと好評。
iPadからダイレクトに印刷(京都教育大学附属桃山小学校)

iPadからダイレクトに印刷(京都教育大学附属桃山小学校)


■使用機種・環境 ∥「PX-M886FL」A4サイズ・カラー1枚2円、モノクロ1枚0・8円、印刷速度24枚/分。印刷、コピー、スキャン、ファクス、ADFができる。大量印刷可能なインクパックを標準装備。(1校のみA3印刷可能な「EW-M5071FT」を活用。印刷速度18枚/分)

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年10月14日号掲載

関連記事

  • イーキューブスクール勤怠管理システム
    イーキューブスクール勤怠管理システム
  • 文教向けOS搭載タブレットPCの検証校・教委を募集
  • KKS 学校教材 学校教材をお求めの方
  • JBKジュニア防災検定
  • 教育旅行特集2019
  • 都道府県別教育旅行リンク集
最新号見本2019年11月05日更新
最新号見本
新聞購入は1部からネット決済ができます
教育家庭新聞 Facebookページ
教育家庭新聞 Twitter

PAGE TOP