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教育ICT

教員のマインドセットが生徒を伸ばす~STEAMライブラリー公開 経産省

2021年3月1日

2021年2月末、GIGAスクール構想による1人1台端末環境を活かすデジタルコンテンツライブラリー『STEAMライブラリー』が公開された。掲載教材を監修した広尾学園 木村健太氏に、STEAMを土台とした探究学習の効果と『STEAMライブラリー』活用のポイントについて本ライブラリーを構築した(株)StudyValleyの田中悠樹代表取締役が聞いた。

「STEAMライブラリー」を監修した広尾学園・木村健太教諭。医進・サイエンスコースを立ち上げ同校の知名度を一気に高めた

広尾学園の偏差値は一時、35以下でした。その後の学校改革で2018年以降、医進・サイエンスコースは一番上のランクに掲載されています。その結果この10年ですべての学力層の子を見てきました。そこで気付いたことは「この子の学力はこれくらいだから、きっとこういう教育が必要だろう」という大人の配慮が、彼らの可能性を抑えているということです。

医進・サイエンスコースでは学術研究に軸を置いています。一~二期生は偏差値50以下でしたが、彼らが学術的な研究成果に感動し、面白がり、先進的な研究テーマを見つけて学びを拡げる姿に「優秀とは何か」を改めて考えさせられました。

すべての力が平均以上であることを評価する仕組みが日本の学校で長く続いています。しかし実社会では、秀でた部分でチームに貢献できる人材が評価されます。そこで「チームに貢献できる力」を伸ばし、新たな価値を創造する場が必要であると考え、そこに貢献できるものとしてSTEAMライブラリーを構築しました。

■新しい価値を生み出すきっかけに

OECDの「2030年のラーニング・フレームワーク」では、ゴールを「Individual and Societal Well―Being」―自分の幸せとみんなの幸せ、としています。また、生徒のエイジェンシー3項目のうちの1つが「新しい価値を生み出す」ことですが、この部分が日本では際立って弱いのです。

一方で新しい価値を生み出すために必要な能力、Knowledge(知識)、Skills(技術)、Attitudes and Values(学ぶ姿勢)についての研究や実践、教材は豊富です。今後は、学校全体で「Individual and Societal Well―Being」というゴールを意識して「新しい価値を生み出す」ことが求められます。学校とは、今ある社会に生徒たちを適応させる場所ではありません。「生徒と共に未来を作る場所」です。新しい価値を生み出すことの重要性を学校教育で共通認識していなければなりません。

■個人の時間軸にある多様性に対応する

10年後は世の中も価値観も変わります。生徒の考えも時間軸の中で変わります。個人の中にも多様性があるのです。ここで学校にできることは、個人の成長に伴う変化にも対応できる多様な環境づくりであり、そこにSTEAMライブラリーが役立ちます。

STEAMライブラリーは、今までになかった形です。「アイデアとニーズ」「人」「機会(チャンス)」の出会いがコンセプトです。専門家それぞれの独自の世界や価値、本物に、1クリックで触れることができ、そのようなコンテンツが複数あって往還できるものです。「高校生だからこのくらいの情報の質で」「分かりやすく言うとこういうこと」では、今までと何も変わりません。STEAMライブラリーは各分野の専門家が本気で取り組んだ精いっぱいの学習者への問いかけであり、それに誰もがアクセスできることが重要です。そして単なるWebサイトのアーカイブにとどまらず、互いに繋がり新しい価値を創造する場となっていきます。

■探究は「知る」「創る」の循環型で

二期生で、老化とiPS細胞をテーマにした生徒がいます。インターネットで調べる中、不確かな情報もたくさんあります。彼女の「一番新しくて正しい情報はどこにあるのか」という問いに、世界で最も新しい研究は査読の通った論文という形で共有されていることを伝えました。すると彼女は山中伸弥教授の2006年の論文を探し出しました。山中教授がノーベル賞を受賞する前のことです。

論文はもちろん英語です。生徒は「自分のやりたいことのために英語が必要」であると気付いた時、英語の授業を受ける姿勢が変わってきます。教科間連携として、英語の授業では「論文のアブストラクト(概要)の一節を文法的に解釈してみよう」なども取り上げるようにお願いしています。このほか数学、生物、様々な教科で同様のことが起こります。「デマが拡散する時に訂正情報をどのタイミングで何回入れたらデマが収束するか」を数理モデルを用いて解析しようとしていた中1の生徒は「数学を学び始めたばかりだけど微分方程式を使いたい」と発展していきました。学びの姿勢が変わりますから、STEAMの活動は、これまでの積み上げ型の学習ではなく、「知る」と「創る」の循環型と言えます。必要な学びを1つひとつ身に付ける過程で「教科書」の緻密な構成に気付いた生徒もいました。

探究的な学びでは、本当にこの方法で、この発想でいいのか、とジレンマを抱えるものです。正解はないかもしれませんし方向も誤っているかもしれません。しかし、その過程で、学びに向かう力は確実に育まれていくのです。

教員自身のマインドセットは極めて重要です。「うちの生徒は偏差値が低いから無理」という方もいます。そのように扱われれば、生徒も「自分は何も成し遂げられない」と思ってしまいます。探究学習で一番大事なことは「彼らはそれができる」と私たち大人が本気で信じること。そのような環境でこそ、新しい価値観が創造されるのではないでしょうか。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年3月1日号掲載

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