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教育ICT

【学習者用デジタル教科書】授業の進め方・学び方が変わる~たつの市立龍野西中学校

2021年9月7日

たつの市教育委員会では、文部科学省「学びの保障・充実のための学習者用デジタル教科書実証事業」に加え、市教委予算により、英語「NEW HORIZON」の学習者用デジタル教科書を、市内全5中学校の全学年に導入している。1人1台端末で学習者用デジタル教科書をどのように活用しており、授業はどう変わるのか。活用を始めて3か月余りのたつの市立龍野西中学校(日下博文校長)の授業を取材した。授業者は坂口万理教諭。

個別に英文をマスキングしてディクテーション 1つひとつマスクを外して各自で答え合わせ

授業冒頭、生徒は前時の学習の復習として、ヘッドフォンを使って各自の学習者用デジタル教科書(教材一体型)の本文をリスニング。続いて、音読練習を行った。スピードを変える機能を用い、各自の能力に応じて、リピーティングやシャドーイング、オーバーラッピングを行っていた。その後、各自で本文をマスキングし、英語を聞いてノートに書きとるディクテーションを行う。中にはほぼ全文を隠している生徒もいる。最後に、マスキングを11つ外し、各自で答え合わせをした。

各自で新出単語の意味や発音を確認した

各自で新出単語の意味や発音を確認した

坂口教諭は次に、指導者用デジタル教科書を使って、この日学習するユニットの動画を全員で視聴。ニュージーランドの実写映像を途中で何度か止めて質問をしたり、解説を加えたりして内容を確認。文法確認、リスニング問題やピクチャーカード、プリントについても全員で実施。その後、生徒は、新出単語の確認を個別に学習者用デジタル教科書で行った。

■短時間で繰り返し学習できる

坂口万理教諭

坂口万理教諭

坂口教諭に学習者用デジタル教科書の活用について聞いた。

導入当初、テキスト本文にマスクをかける、はずす、音声を聞く等、丁寧に説明し、1時間、自由に操作する時間を設けた。生徒は予想以上にすぐに慣れたという。

学習者用デジタル教科書では、簡単に音声を利用した学習ができるので、発音やリスニングの練習に熱心な生徒が増え、うまく英語が話せる、話したいと考える生徒が増えた。特に新出単語を自分の手元で自分のペースで学ぶことができる点を生徒は喜んだという。教科書もQRコードで多くのコンテンツを視聴できるが、学習者用デジタル教科書では一文ずつ再生できるため、短時間で効率的に学習できるようだ。

本文を白黒反転させて表示している生徒もいる。その方が集中しやすいようで、生徒はその設定を気に入って使っている。

学習者用デジタル教科書があることで、授業の進め方も変わった。個別で進めた方が良いものと一斉で進めるべき内容を整理。アクティビティやコミュニケーションにかける時間が増えた。フラッシュカードを提示して全員で発音する際、生徒全員のスピードに配慮する必要があったが、今は各自の力に合わせて進めることができる。

週に1回のALTの時間では、ALTと英語でコミュニケーションし、教科書のスモールトークを使ってパフォーマンステストをしている。自信をもって話せる生徒が増えてきた。今後、活用に慣れたら学習者用デジタル教科書に書き込みをして振り返りに役立てたいと考えている。

■使いたい時に使える教室環境に

20213月末、同校には生徒用端末とプロジェクター、実物投影機が全普通教室に配備された。生徒は毎朝、登校してすぐに端末を充電保管庫から取り出してログイン。その日の課題や連絡事項を確認している。連絡事項は職員朝礼後、担任がGoogleClassroomに掲載している。端末は帰宅するまで机の中にあり、授業ですぐに活用できるようにしている。この日は、生徒全員が端末を持ち帰り、自宅からアクセスを確認する予定だ。

1人1台端末の有効活用を模索

日下博文校長

日下博文校長

本校では、新学習指導要領開始に合わせて中間考査を廃止。単元テスト方式にした。ICT環境が一変し、評価も変わり、大変な新学期であったが、教員の頑張りで日常的な活用が始まった。端末活用に向け、各学年に情報担当を設置。3人が情報共有しながら各学年、同様の取組を進めるようにしている。

生徒に端末を一日中持たせておくべきか否かについては春休みに一日かけて議論した。トラブルが発生するという意見ももちろんあったが、その都度対応すればよい、活用を優先しなければ使えるようにはならないという意見が尊重された。方針を先に決めてからルールについて考え、各教室にルールを貼っている。

市が自宅で取り組めるデジタル教材も用意。端末について、生徒の興味関心は高い。望ましくない活用や悪戯もあると考えていたが、予想以上に生徒は学習目的できちんと使っている。自宅の端末でIDとパスワードでログインしてリスニング等の勉強をしている生徒も多いようだ。

特別支援教育でも有効に活用されている。また、欠席の生徒もGoogleMeetで家庭からクラスの様子がわかるので、話し合いに参加するようになった。

使い始め当初、動画が動きにくいこともあった。その際は指導者用デジタル教科書に切り替えて授業を進めていた。教育委員会が6月にサーバを増強して以後、学習者用デジタル教科書はストレスなく活用できている。今後は、すべての教員がICTを使った授業ができなければならないと考えている。

学習者用デジタル教科書の有効活用をめざして
たつの市教育委員会 学校教育課

今年度、中学校英語の学習者用デジタル教科書を、文部科学省の実証事業に市費を加え、市内の全生徒に整備した。

6月には、スムーズにデジタル教科書にアクセスできるように、ネットワークをローカルブレイクアウト形式に切り替える作業を行った。9月からは、タッチペンも導入し、端末操作や書き込み等を簡単に行えるようにしていく。

学習者用デジタル教科書については、音声での読み上げ機能や拡大機能等、生徒の学びに応じた使い方ができる利点がある。今後も個別最適な学びの実現に向けて、効果を検証しながら研修を深めていきたい。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年9月6日号掲載



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