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教育ICT

戸田市STEAM Labで創造性を育む~戸田東小学校・中学校に高性能PCや3Dプリンター等設

2022年3月7日

2021年4月、施設一体型小中一貫校として開校した戸田東小学校・中学校に「戸田市STEAM Lab」が誕生した。戸田市教育委員会は6月、インテルと「STEAM教育ならびに21世紀型スキル育成教育の推進に関する覚書」を締結し、最新テクノロジーを活用したSTEAM教育について共同研究を行っており、STEAM Lab設置と活用支援はその1つ。2月21日、「STEAM教育オンラインセミナー~戸田市STEAM Labで想像力育成~」が開催され、Lab設置のねらいと活用の様子を報告した。主催はリコージャパン。

STEAM LabにはハイスペックPC21台、3Dプリンター3台、ロボットカー10台、大型提示装置、3Dモデリングソフト、動画編集ソフト等を配備している

選択肢が増えると主体的に

高性能・超小型デスクトップPCを配備

STEAM Labには、ハイスペックPC21台、3Dプリンター3台、ロボットカー10台、大型提示装置、3Dモデリングソフト、動画編集ソフト等を配備。ハイスペックPCは、Intel NUC(11世代CPU登載Core i5-1135G7)。手のひらサイズの超ポータブルPCで、動画編集やグラフィックス等も高速で行うことができる。

既に子供たちは活発に活用している。その様子について清水享教諭(戸田東小学校教務主任)、佐藤尚子室長(戸田市教育委員会次長兼教育政策室)、竹元賢治部長(インテル教育事業推進担当部)が鼎談した。ファシリテータは山本朋宏教授(中村学園大学教育学部)

PBLの成果物が進化 清水享教諭

3Dプリンターの動きに興味津々

3Dプリンターの動きに興味津々

これまでもPBL型学習に力を入れてきたが、STEAM Labにより、PBLの成果物が変わった。ある児童は「手で持たなくてもさせる傘」を設計し、3Dプリンターで制作。これまでは手作り感あふれるものや紙の成果物が多かったが、3Dプリンターにより、図面から造形物を制作でき、ミリ単位での設計が可能になった。耐久性もあり、成果物の可能性が広がるとともに児童の創造性に良い刺激を与えている。

また、これまでは主にScratchで行っていたプログラミングだが、そのプログラムをロボットで試すことができ、試行錯誤しやすくなった。さらに次はもっとこうしたい、などの発想も刺激されている。

映像編集作業も活発になった。11台の情報端末(Chromebook)にはAdobeSparkが入っているが、STEAM Labではさらに高度なクリエイティブツールが使えることに児童は興味津々。秒単位で編集できること等に感動しており、教員の指導がなくても次第に使えるようになった。

選択肢が増えると主体性が増す。創造性を刺激し、協働にもつながる。

PBLという土台があるからこそSTEAM Labという選択肢がある、という設計が重要。STEAM Labでの学びを自ら選択して学ぶので、主体的な学びに自然につながっている。

■教員も変わる

本校のキーワードは「自走」である。PBL型学習が根付いており、子供の主体的な取組を応援する雰囲気がある。目指す児童生徒像と研修主題に向かって、各学年で取り組んでいる。

動画編集ソフトは子供よりむしろ教員の方がハードルが高かったかもしれない。しかし研修の翌日からSTEAM Labで授業動画の編集を行っていた。今年度のオンライン研究発表のためだ。すると、客観的に映像を見て編集することで、こんな質問が必要、こんな素材が欲しい等、授業を磨き上げるきっかけになり、授業に対する見方が変わっていった。

研修は様々な企業から提供を受けている。今後、社会がどう変わるかわからない中、企業の様々な知見は重要だ。

戸田市教育委員会 佐藤尚子室長

戸田市では、ICTを指導と管理による教具的活用ではなく、学びと愛用による文具的活用を目指している。戸田東小学校では休み時間も使いたいという子供の前向きな気持ちを受け止める風土があり、子供たちは安心して楽しみながら学ぶことができ、積極的に学びに向かうことができている。

インテル竹元賢治部長

STEAM Labは「自分が子供のとき、このような環境があれば良かった、うらやましい」と思われる環境を目指した。実社会における課題解決の手段としてSTEAMの視点は欠かせない。課題解決に先進テクノロジーを活用するスキルをもつ人材育成のためには本物を実体験できる場が必要だ。

ラボ環境を効果的に活用するためにはPBLのベースも必要。PBL型学習支援で「IntelTeachプログラム」を提供している。今後は「IntelSkills for Innovation」から日本向けカリキュラムを提供する。

STEAM Labは高度IT人材を育む「ゆりかご」

戸ヶ﨑勤教育長

戸ヶ﨑勤教育長

「努力は夢中に勝てず、義務は無邪気に勝てない」という言葉がある。戸田市では自己肯定感や、協調性、やり抜く力などの「非認知能力」を含む、AIでは代替できない力やAIを使いこなす力を育むことを柱とし、STEAM教育や戸田市型PBLに取り組んでいる。様々な興味関心を広げる際、GIGA端末のスペック上実現しにくいこともある。そこで、本物に触れ、夢中になれる空間を提供したいと考え、STEAM Labを設置した。テクノロジーは知の自転車であり、STEAM Labは、戸田市が目指す高度IT人材育成に大きく貢献する「ゆりかご」のような場所になると確信している。これが日本の小中学校のモデルになることを期待している。

戸田東小学校 小髙美惠子校長

STAM Labでは子供たちが主人公。子供が自分の意志で学びに向かい、本物の課題に取り組み、挑戦し、試行錯誤しながら教科の壁を越えて自分の思いを形にすることに没頭している。実社会のクリエイターと同様の表現ができる環境は子供の創造の翼を大きく広げ、無限の可能性を開いていくと感じている。

戸田東中学校 鈴木研二校長

全学年でSTEAM教育の視点に立ったPBLに取り組んでいる。STEAM LabICTの知の拠点。新しいチャレンジに子供はわくわくしながらクリエイティブな活動に没頭している。教員の手を借りず、動画編集やイラスト、造形、3Dモデリング等に取り組んでおり、部活動でもフル活用されている。日毎にできるようになる姿に驚かされている。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年3月7日号掲載

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