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教育ICT

ICT環境が教育改革のスタートになった 教科書を使って探究する授業へ<名古屋経済大学市邨中学校教諭・矢田修氏>

2022年3月7日
第86回教育委員会対象セミナー・名古屋

第86回教育委員会対象セミナー「GIGAスクール構想ICT機器の整備・活用」を2月15日、名古屋会場とオンラインのハイブリッドで開催。


名古屋経済大学市邨中学校教諭・矢田修氏

名古屋経済大学市邨中学校教諭・矢田修氏

2018年以降、生徒募集が右肩上がりとなった市邨中学校。創立110周年を迎えた2016年から学校改革の一環でiPadの導入や授業内容の見直し等を行った。矢田教諭は「ICT環境の導入はゴールではなかった。それをきっかけに学校と学力を再定義し、教育改革が進むにつれ生徒数増につながった」と話す。

…・…・…

■学校改革が生徒募集に貢献

生徒数の激減に伴い、学校全体に危機感が生まれ、「どんな学校であるべきか」を真剣に考える雰囲気が生まれた。学校目標を「2040年を生きる力を身に付ける」こととし、社会が求める力、生涯にわたり学び続ける力を「学力」であると設定した。

この学校目標が、本校の教育改革の原動力になった。

市邨の考える学力を「主体性」「社会性」「コミュニケーション能力」「一般教養」「創造力」「想像力」「ICTスキル」「言語能力」の8つに整理。

これらを身に付けるためのステップを「到達目標の設定」「授業の改革と実践」「生徒主体の学校へ」の3段階で捉え、それぞれについて段階を踏んで取り組んだ。

■到達目標の設定

学びの到達目標を設定するため、学習到達ルーブリックを作成。各教科で何を評価するのかを明確にした。

また、ICTツールの活用目標を「企業と同等レベルのICT活用」とした。それぞれの評価項目は、教員や生徒に公表した。

これらを実行するための職員研修も年10本以上開催。職員室では「学習目標をどう設定していくか」について話し合う姿が多くみられるようになった。

■授業改革の実践

「教科書を教える」から「教科書を使って探究する」授業とするため、生徒はどう成長し、何ができるようになるのかを意識した授業デザインを重視している。

学習指導要領を図式化して参照し「何ができるようになるか」、そのために「どのように学ぶか」を意識。

あらゆる教科で「データをもとに考えを深める」「考えを伝える」「他者と関わって課題を解決する」ことを重視し、テーマは社会とのつながりを意識した。

本校のプラットフォームとしてMicrosoft365を配備。学内情報のデジタル化も進めた。

■生徒主体の学校へ

生徒主体の学びとするため、カリキュラムを見直した。週6時間、学校設定科目として探究型学習「未来」を行っている。

「未来」には、ランゲージアーツ、Miraiゼミ、プロジェクト学習、プロフェッショナル講座、日本文化などを設定している。

ランゲージアーツは欧米型国語教育だ。伝えることをテーマに論理的な文章の構成などを学ぶ。中12学期は、200字作文に取り組み、伝えたい情報を200字でまとめることを繰り返す。

市邨ゼミでは、Minecraft上でPythonを使用して建築に取り組んだ。

プロジェクト学習は、1学期は弁論大会、2学期は未来プロジェクト(探究)3学期は1年間の成長を振り返るため、成果を報告する。

Miraiゼミは2か月間のプロジェクト学習で、期末テスト後3日間は終日活動日としており、活動内容や場所はすべて生徒自身で決定。すべてのグループの報告を特設サイトに掲載している。

今年度2学期の未来プロジェクトでは、全グループが英語でも報告を作成。あるグループは、アメリカの起業家にオンラインプレゼンテーションを行った。

■挑戦の数を評価

この5年間で、生徒自らゴールに向かってそれぞれの学びを設定し、能動的な意見交換をするなど、期待以上の成果が表れている。評価は、正解の数ではなく挑戦の数を評価している。新しい成果を創造し、未来を探究していける学校でありたいと考えて進めている。

今、GIGAスクール構想により全国の小中学校に情報端末が配備されている。これから各校で教育改革が始まり、全国に広がっていくだろう。学びを楽しめる学校、自らの成長を実感できる学校が、学校の意味であると考えている。【講師】名古屋経済大学市邨中学校教諭・矢田修氏

【第86回教育委員会対象セミナー・名古屋:2022年2月15日】

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年3月7日号掲載

 

  1. 京都精華大学 教授・鹿野利春氏
  2. 岡崎市教育委員会 教育政策課GIGAスクール戦略係 係長・川本祐二氏
  3. 名古屋経済大学市邨中学校 教諭・矢田修氏
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