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教育ICT

教育・保育・福祉・医療データ連携でプッシュ型支援

2023年7月4日

昨年1月デジタル庁が策定した「教育データ利活用ロードマップ」では、各自治体において教育・保育・福祉・医療等のデータを分野横断的に連携させ、真に支援が必要な子供の発見やニーズに応じたプッシュ型支援に活用する考えを示している。切れ目のない支援を目指して子供に関するデータの連携・活用に取り組んでいる千葉県柏市と神奈川県開成町、2自治体の取組を支援する内田洋行が本取組について報告した。

管轄が異なる相談情報を共有
「こども総合相談システム」と校務支援システムを連携

柏市教育委員会 学校教育部児童生徒課心理相談員・北村大明氏

千葉県柏市(小学校42校・中学校21校)では教職員の要請に基づき指導主事を派遣するパーソナルサポート事業を展開。昨年度まで指導主事として年間200回学校に訪問し、今年度からは心理相談員として担任や保護者の相談を受け、児童生徒の支援内容や方法を助言する学校巡回相談を行っている。

◇・◇・◇

学齢期の相談の一番のポイントは子供本人と保護者、担任(支援者)の孤立をいかに防ぐかにある。多忙で余裕がなく相談できる相手がおらず校内で孤立している担任や、周囲に頼れず自分を追い詰めてしまう保護者は多い。孤立すると、コミュニケーションの相違や情報不足が起きやすく、大人同士の不安と不満がぶつかり合って子供が置き去りになることもある。学齢期の相談ニーズは子供1人ひとりで異なり、そもそもどこに相談すればよいのかわからないという声も多い。

そこで、保護者にも学校にも積極的に働きかけ(アウトリーチ)、相談後も継続的に見守る(モニタリング)相談体制が重要と考えている。大人も安心して人に依存し、共に学び育つ関係の構築が孤立の解消につながる。困った時に頼れる依存先を増やすことを目指して支援を行っている。

情報共有の1歩目

切れ目のない支援の実現には人をつなぐ相談体制とあわせて、子供に関する情報を共有するシステムも欠かせない。教育委員会内の情報共有の1歩目として、管轄が異なる各分野の相談情報を共有する「こども総合相談システム」と校務支援システムの連携を目指している。

こども総合相談システムには指導主事、SSWSCなど教育委員会内の各種相談情報(発達相談・子育て相談・教育相談等)を集約。システムの連携には一意のキーとして宛名コードを利用する。今後、不登校相談を取り扱う教育支援センターや就学相談窓口など教育委員会の関連機関との連携も図りたいと考えている。

相談は当事者との共同作業であり、本人や保護者が具体的にどうなりたいか、そのために何ができるかという当事者性を取り入れた相談体制やシステムの在り方も考えていく必要がある。当事者が困難を乗り越え人に与えることができるまで寄り添い続ける相談体制を目指して取組を進める。

こども家庭庁「こどもデータ連携実証事業」に参画
(仮称)開成町こども見守りシステムを準備

神奈川県開成町 子育て健康課高島大明主幹

開成町(小学校2校・中学校1)は子育て支援策を重点的に実施しており、神奈川県で最も小さい町ながら人口増加率および年少人口割合は県内1位だ。2020年に母子保健と児童福祉を統合し子育て健康課を新設し、24年度に「こども家庭センター」設置も予定。妊娠期から18歳まで切れ目のない支援の実現に向け取り組んでいる。

◇・◇・◇

人口増・問題の複雑化で要支援の発見が課題に

転入世帯の増加により家庭環境の背景がわからない家庭や要保護・要支援家庭が増え問題の複雑化が進み、支援に際し連携が必要な関係機関も増えた。職員の業務負荷とともに質の確保が課題となっており、職員の個の能力に頼る要支援家庭の発見には限界があった。

加えて、子供に関するデータは各部署や機関が個別に保有し、システムや機能ごとに分断されて管理されている。支援が必要な子供の情報収集は人力で行われており、データ連携にも課題があった。

こうした背景からこども家庭庁の「こどもデータ連携実証事業」に参画し、町内の子供に関するデータを連携することで家庭の要支援リスクを判定、分析・可視化する「(仮称)開成町こども見守りシステム」の24年度の本稼働に向け開発を進めている。

職員の現場で培われた感覚も大切にしながらその後押しとしてデータを活用することで、今まで見過ごされてきた潜在的に支援が必要な家庭の早期発見とプッシュ型の支援につなげたい。個の状況や課題に応じた支援やサービスの提案、データを蓄積すれば政策立案の効果検証にも活用できると期待している。

22年度は既存システム及びデータの状況を調査し、それらを連携する目的、目標、手段、期待される効果を整理。紙やエクセルで管理しているシステム外の情報も含め、支援家庭の発見に有用と思われるデータ項目を洗い出した。

今年度は調査内容に基づきシステム構築及び開発を予定。データの可視化、検証モデルとアラート条件の設計を行う。予測分析をするため、公的サービス等の支援を十分に受けていない家庭の中からアラート条件に該当する可能性のある対象を予測する等の検証モデルを検討する。

リスク判定は情報の1

システムによるリスク判定で即座に支援を開始するのではなく、情報の1つと捉え、カンファレンスを行い必要に応じて支援につなげる想定だ。システム稼働後の子供家庭相談の流れとしては、リスク判定から抽出された支援対象の候補リストを児童相談の1つとして受理し、子ども家庭センターを中心に調査等を行いながら支援対象者および具体的な支援策を決定。就学後のアプローチについては教育委員会も交えて検討する。

個人情報の取扱いや連携するデータ項目の選定、紙ベースの情報のデジタル化が今後の課題。本町の規模ではデータ数が不足するため、他自治体との横連携も必要だ。長期的な展望として、近隣の自治体で同様の取組が行われれば、転入出後も自治体間でデータの引き継ぎができ、より切れ目のない支援体制が構築できると考えている。

◇・◇・◇

内田洋行はこども家庭庁「こどもデータ連携実証事業」の採択団体である開成町を始め自治体の「こどもデータ連携」に向けたシステム構築を支援。開成町と取り組んでいる「こども見守りシステム」の機能は大きく3つ。▽データを集約して活用しやすい形にまとめる共有データベース機能 ▽データを連携・可視化して一元管理できるダッシュボード機能 ▽データを組み合わせて課題を発見するリスク判定・データ分析機能

ダッシュボードは自治体全体を把握するもの、貧困やヤングケアラーなどグループ単位のもの、子供個人の状況を可視化するものを用意する予定。相談記録等のテキストデータを分析するソリューションを研究中。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年7月3日号掲載


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