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教育ICT

共同調達、各設置者で工夫も――全国都道府県教育長協議会調査

2025年7月21日

全国都道府県教育長協議会は11台端末の共同調達や校務系・学習系ネットワークの統合について47都道府県を対象に調査。その調査結果「一人一台端末の共同調達を含めたICT環境整備の推進について」を20253月に公表するとともに国に対して提言した。調査内容は次(回収率100%。調査時20248月)。

  • 義務教育段階における11台端末の共同調達
  • 県立学校における校務系・学習系ネットワークの統合
  • 都道府県教育委員会事務局のICT推進体制

共同調達の成果・工夫・課題

予備機を含む調達時期については2025年度に集中。OSChrome383%、iPad294%、Windows131%、OS混合193%と、ChromeiPadで全体の約7割を占めた。

出典:研究報告書「一人一台端末の共同調達を含めたICT環境整備の推進について」

共同調達にあたり独自に工夫した点の主な内容は次。

  • オプション(仕様の一部を市町村が選択できる)を含む一般競争入札とした
  • 10社による端末の体験会を開催
  • 共同調達会議構成員用チャットルームで連絡・資料共有
  • 県独自QA集の作成
  • 県の推奨仕様を示し、市町村がOS選定を行うフェーズを設定。市町村が選択したOSに関する部会ごとに共通仕様書を検討
  • 補助基準額55万円の「標準パッケージ」としてではなく、本体および付属品毎に価格の提示を求めた
  • 協議会で共通仕様書を協議・作成。それを踏まえ、文部科学省の調達ガイドラインの範囲において、各市町村が追加で独自の仕様書を作成・調達

共同調達の運営業務の一部を外部委託している自治体は17県。主な委託内容は次。

  • 共同調達における標準仕様書の策定に関する支援
  • 事業者の選定に関する支援
  • 補助金業務手続等の支援
  • 共同調達会議の運営支援

共同調達のメリットについては「仕様の検討及び公告から入札までの事務手続きが不要となり市町村の調達事務が軽減される」点を挙げる県が多い。そのほか次のような意見がある。

  • 県全域で共同調達を行うことで、自治体ごとのノウハウを共有できる
  • 活用方針、整備計画等について県と市町村間で協議の場を設けることができる
  • 県で統一したデータ利活用のシステムの導入・利用ができる

課題について多かったのが「各市町村の意見を共通仕様書に反映させることに困難さがある」38県、次いで「契約台数が膨大となり応札業者が限定される」30県、「各市町村で端末更新予定時期が異なり調整が困難」25県。

このほか「都道府県教委の事務負担が非常に大きい」「共同調達を実施してもスケールメリットが少ない」「調達数が極少数で共同調達の方が事務負担が大きい」「端末の処分方法が不明確」「県全体で共通仕様とするため各市町村教育委員会の細かい要望に応えられない」など。

なおオプトアウトを行った市区町村教育委員会のうち主な理由は「2024年度中の調達が必要」が最多の28県。次いで「共通仕様書に定めるよりも高スペック端末の導入」13県。

校務系・学習系ネットワークの統合

校務系と学習系の両ネットワークを既に統合済みと回答したのは2県。校務系ネットワークと学習系ネットワークの統合予定時期については「未定」が18県と最多。続いて「2027年度以降」10県。

「未定」を除く29県に校務系ネットワークと学習系ネットワークの統合後の構成予定を聞いたところ、「通信の安全性の確保」(24県)、「ロケーションフリーの校務実施」(23県)、「校務系端末と学習系(指導者用)端末の1台化」(23県)を構成に含める県が特に多い。

統合に要する費用の概算は、構築費用が約1億7千万円から約18億円余、統合後5年間に見込まれる運用費用の合計が2億円から56億円余と自治体規模により大きな差が見られた。

【提言】

今回の調査結果から、共同調達を契機とした新たな端末の利活用等の検討に ついては、「検討中」といった回答が多くみられたほか、ICT機器等の調達 を担当する教育委員会においては、調達に関する情報やノウハウを有する人材 が不足していること、教育用のICT機器等としてどのような機器等を調達し、どのような設定をすべきか等の情報が不足しているといった課題も指摘された。

このため、国においては、共同調達に係る好事例の共有(他都道府県の状況や共通仕様書等の共有)や、情報交換が容易に行うことができるプラットフォー ム等のサポート体制を速やかに整備するとともに、端末の更新やネットワークの充実に対する継続的で手厚い財政措置を講じることが不可欠だと考える。

また、学校における働き方改革は待ったなしの状況である。ICT環境を活用した校務効率化の取り組みを推進することにより、教師の授業の質を高め、 ワークライフバランスや教職人生を豊かにするためにも校務系ネットワークと学習系ネットワークの早期の統合は欠かせず、こちらも国における財政支援 や更なる校務DX推進に向けた積極的関与が必要である。

個別最適な学びや協働的な学びの実現に向けて鍵を握っているのは「ICT」である。

学習指導要領で求められているICTの特性・強みを生かした主体的・対話的で深い学び等の機会を確実に確保するためにも、学校におけるICT環境整備を加速化させることが必要である。

これらの状況を踏まえ、国においては、各都道府県で教育格差が生じること のないよう、より一層の人材確保・育成支援のほか、専門知識を共有できるプ ラットフォームの設置、安定した財源の確保等を引き続きお願いしたい。

詳細

研究報告書「一人一台端末の共同調達を含めたICT環境整備の推進について」:こちら

教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年7月21日号

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