全国ICT教育首長協議会では定期的に「GIGAスクール対応オンライン研修会」を開催している。1月20日の第4回研修会ではスペシャルゲストとして、医療ロボット「ダビンチ」の第一人者である東京女子医科大学病院副院長・泌尿器科教授・基幹分野長・医学博士の高木敏男氏が登壇。「最先端のロボット手術の現状と未来の医療について」をテーマに講演した。
ロボット支援技術とはロボットが手術を行うのではなく、術者がロボットを操作する手術である。通信環境が整っていれば理論的には遠隔地の手術も可能だがタイムラグなどもあり、実際には同一建物内で行っている。
ロボット手術の良い点は3D画像によりしっかり患部を確認できる点、ロボットアームは4本利用でき、人の手では不可能な動きもできるため思い通りの手術ができ、手振れが生じない点である。
患者のQOLも上がる。入院期間も短く回復が早い。世界初のロボットによる手術は前立腺肥大症の治療であった。現在、前立腺がん手術は世界で最もロボット手術が多い領域だ。ロボット手術の場合は視野が広がり、神経や組織を温存できる可能性が高くなる。前立腺は骨盤の奥深くにあり、周囲には神経が密集している。腹腔鏡手術では可動域が限られ、神経を損傷する危険もあるためだ。
問題点もある。長時間同じ姿勢が必要であるなど術者の負担が軽くなる技術というわけではない。
機材コストや維持コスト、術者に求められる技術が高いにもかかわらず、保険点数上、ほとんどの手術で開腹手術と同じ保険請求額となる点も課題だ。しかも、全摘手術よりも請求額が低くなるということも起こる。年間100件以下の手術件数ではコスト的に難しい。
また、ロボットによる手術が増えるに従い、若手医師の開腹手術の経験値が低くなるためロボットが故障した際の対応が難しくなるという可能性もある。安全性についても課題があり、学会として技術認定制度の導入を提唱、公表しているところだ。
東京女子医科大学病院では手術支援ロボットとしてダビンチ(da Vinci)3台とヒノトリ(hinotori)1台を所有。腎臓の部分切除や前立腺がん手術などで年間700~800件行っている。最新のダビンチ5も導入を検討中だ。
手術終了後はAIによりスマートフォンですぐにフィードバックができる。手術教育にも有効であると感じている。
全自動手術についても前立腺肥大症に関しては限りなく近い方法が始まっている。どこからどこまで切除すべきかを術者がセッティングし、ボタンを押すとロボットが切除。その後、術者が後処理を行う。全自動とはいえ人の手が不要になるわけではない。
技術の進展を鑑みながら今後も洗練された医療を目指していきたい。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年2月16日号掲載