教材費等の学校徴収金に関する管理・業務について文部科学省は教職員の負担軽減や現金管理リスクの解消等のため「学校が現金を扱わない仕組み」を構築することを求めている。しかし「現金を扱わない」仕組みとしただけでは事務負担軽減につながりにくい場合がある。学校教材費等を銀行振り込みで徴収していた船橋市立湊町小学校(千葉県)では、事務負担の軽減等を目的に2024年度より学校徴収金システム「学校モール」(サンワ)を導入した。三浦義正教頭と事務職員の永田恭子氏に導入前の課題と経緯、導入後の効果を聞いた。

三浦義正教頭と事務職員の永田恭子氏
本校では教材費等の徴収のため、全家庭にゆうちょ銀行で口座を開設していただき、引き落としを行っていました。しかし口座を「学校代表」「学年」「学級」「特別支援学級」に分けて管理する必要があり、20冊ほどある通帳の管理は煩雑でした。保護者の口座から引き落とされたお金は学校の代表口座に入金されるため、校内の担当者が学年教材費や学級費などに振り分けて、それぞれの口座に入金して、教頭が各業者に支払っていました。そのため、事務処理には時間と手間がかかっていました。
また、ゆうちょ銀行を普段使いしていない保護者もおり、残高不足が生じやすいという課題もありました。引き落としができなかった場合、保護者はゆうちょ銀行に「振込」を行う必要があります。これを「自分が開設した口座への入金」と誤解する保護者もおり、事務職員が個別に電話をかけて説明していました。
さらに本校では、日本スポーツ振興センターや給食費(教育委員会が統括)それぞれに保護者が口座を登録する必要もあり、現金管理リスクは解消されているとはいえ保護者にとっても負担減を感じにくい状況でした。
これらの課題を何とかしたいと考えていた2023年度、船橋市の教頭会で、学校徴収金をテーマにした部会に本校も参加して研究を進めていました。様々な学校徴収金システムを整理し、業者を招いたヒアリングも行うなか、隣接学区である船橋市立宮本小学校が学校独自で学校徴収金システム「学校モール」を導入したことを知りました。早速事例や使い勝手を事務職員同士で共有し、本校の課題を解決できる可能性を感じました。
当時の学校長も前向きで、PTA役員にも相談し、導入メリットを伝えた手紙を全家庭に配布し説明を行いました。
これまでよりも手数料の負担が若干増えますが、普段使いの銀行口座が使えることにメリットを感じていただけたようで、スムーズに導入することができました。
本校は古くから保護者を始め地域の方と関わりが深く、教職員の負担減についても協力的に捉えていただけたようです。
実際に学校徴収金システムを活用し始めたのは2024年度からです。年2回の徴収では、学年教材費、学級費、PTA会費を徴収しています。
学校を介さずに徴収・支払いを完結できるようになったことが、最も大きなメリットです。
学級担任は年度末の多忙な時期に会計関連の仕事が大きく減りました。保護者の利便性が上がったため未納金も大きく減り、教頭や事務職員が催促する負担も軽減しました。
約20冊の通帳管理や支払いのための業者とのやりとりも不要になったことで、管理職の負担も軽減しています。
本校では、学校教材に関する費用は年度始めに集約し、2回に分けて徴収し、年度途中に各学級で追加購入したものについては学級費で対応しています。
ただし学級費についてもシステムでやりとりができるように、教材会社を決めて購入しています。かつてのように100円ショップの製品を自費で購入して領収書で精算することはなくなりました。
さらに2025年度からは二次元コードによる決済も可能になり、利便性が高まりました。
口座から引き落としができなかった際も、保護者は二次元コードで支払うことができるため、さらに未納金は減りました。
今年度第一回の徴収では未納金はゼロになっています。
学校徴収金システム導入により、確実に業務負担が減ることを実感しています。管理がスムーズでシンプルになることは、万が一の不祥事やミスを防ぐことにもつながります。
本校が短期間で導入を決め、スムーズに稼働できたのは、近隣学区に事例があった点も大きいと感じています。常に情報交換をしながら進めることができ、安心して学校全体で同じ方向を見ながら進めることができました。
船橋市では現状、学校徴収金システムを各校の判断で導入しています。今後も市内の導入校と情報交換を継続し、学校徴収金の在り方について検討を続けることが重要だと考えています。市内全体が同じ仕組みが導入され、異動先でも同じ環境で業務が行えるようになることを期待しています。
かつては現金を封筒で収集することが当たり前でしたが、日常生活において現金のやりとりは確実に減っています。学校もそのような進化に合わせることが自然です。本校で導入した学校モールも、バージョンアップを継続しており、使い勝手が向上しています。システム導入に迷っているのであれば、ぜひ挑戦してほしいと考えています。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年2月16日号掲載