国立大学法人福井大学は8月26日、㈱内田洋行と包括連携協定を締結した。福井大学教育学部附属義務教育学校で締結式を行い、同校の理科室の一つであるプロジェクトルーム「暁」で同校7年生の理科の授業を公開した。
福井大学は、教員養成フラッグシップ大学の一つとして教員養成の在り方を変革するけん引役を担っている。内田洋行は、福井大学附属義務教育学校の学習や対話をつなげる3つのプロジェクトルームの整備や教員同士の働き方に変革を起こす新たな空間づくりを担っており、人的支援も行っている。

福井大学附属義務教育学校の探究的・協働的な学びを支えるプロジェクトルーム
プロジェクトルーム「暁」では、義務教育学校7年生の理科の授業を公開。担当教員は松本拓也教諭。
これまで生徒たちは給食の食材を探究しており、この日は食材の細胞を顕微鏡で観察。その違いを発見する内容だ。

デジタル顕微鏡の撮像は端末ですぐに共有できる
各グループにつき1つのデジタル顕微鏡が端末と接続されている。前方には松本教諭が用意した「アスパラ」「バナナの皮」などの植物系、「鶏の手羽先」「レバー」「サバ」などの動物系の食材と、ピンセットやカミソリ、家庭科室から借りてきたピーラーが置いてある。
生徒はそれらを使って食材をなるべく薄く削り、デジタル顕微鏡の倍率を変えながら、それぞれの細胞を観察した。デジタル顕微鏡の撮像は端末に表示・記録され、即時共有でき、話し合いもスムーズに進む。
さらにこの端末画面は前方の提示装置に8画面で一斉提示されている。
生徒たちは、観察した細胞の撮像から一種類を選択。前方に提示された画面に気付いたことを書き込んでいった。アスパラの細胞画面には「水分が動いている」「ところどころ緑色」「気孔?」など、サバの細胞画面には「てかてかしている」「動いているものがある」「筋?」など多数のコメントが書き込まれている。

各グループの撮像画面に気付いたことを書き込んで共有した
本授業を見学していた教育実習生は「デジタル顕微鏡が端末の画面を通して皆で見ることができるのが良いと思った」「前方のホワイトボードに全グループの顕微鏡観察画面を一度に提示できることに驚いた」と話した。

前列左より澁谷副学長、内木学長、大久保社長、伊藤所長。後列左より水野校長、山田副学部長、橋本学部長、保木事業部長、佐藤部長、中西部長
今回の連携協定により、義務教育学校をフィールドとして、次世代の学習空間の構築と検証、CBTやAIも利用した教育データと教育アセスメントを活用した新たな教育評価の実現を目指す。
同校では2023年度の後期課程校舎の全面改修において「探究的・協働的な学びを支えるプロジェクトルーム」を整備。旧理科室を改修した「楪(ゆずりは)」を整備した。
楪には9台のラウンドテーブル型実験台と複数のマルチスクリーンを配置。グループ実験や発表を行いやすい設計としている。
このほか、これまでに「暁(あかつき)」、「畷(なわて)」も整備されている。
暁は、水道や電気などの実験設備を壁面に集約した理科室。中央部を自由に使えるフレキシブルな空間で、最大100人を収容可。可動式の机と椅子は組み替えることで多様な学習形態に対応でき、マルチスクリーンは2画面投影できる。
畷は、可動式の机や椅子、ホワイトボードとプロジェクターを備えたプロジェクトルームだ。
また、前期課程と後期課程の校舎をつなぐ中央棟に、1~9年の教職員が集う合同職員室を整備。座席を固定しないフリーアドレス制とした。さらに福井大学総合教職開発本部において、STEAM教室を整備。次期学習指導要領を見据えてデジタル工作機器を各種導入し、教職員研修や教員養成に役立てている。
内田洋行は、これらの環境整備のデザインと整備を支援。同社社員がICT環境の活用やSTEAM教育を支援するなどクロスアポイントメント制度による人的交流を進めており、本協定によりさらに発展させる。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年9月28日号掲載