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学校図書館

「新書」で広がるYAの学び (公財)図書館振興財団フォーラム開催<第21回図書館総合展REPORT2>

2020年1月5日

「第21回図書館総合展」が、11月12~14日、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催された。主催は図書館総合展運営委員会。会期中、90近くのフォーラム・セミナーが開催された。12日に行われた(公財)図書館振興財団によるフォーラムは「新書とYAがであう:ノンフィクションが読書と学びの扉を開く」。主体的な探究学習や知的好奇心のために、図書館が組織するノンフィクションとして、手軽で密度のある「新書」にスポットを当てた。パネリストは、岩波ジュニア新書・山本慎一編集長、埼玉県立浦和第一女子高等学校・木下通子担当部長兼主任司書、清教学園中・高等学校・片岡則夫探究科教諭、コーディネーターは著作家・奥野宣之氏。

学校図書館が出会いの場
質の高い内容を手軽に

学習を深め、寄り添う
YAにとっての「新書」

山本慎一氏

山本慎一氏

中学生・高校生向けに出版されている新書は、「岩波ジュニア新書」と「ちくまプリマー新書」だけ。その「作り手」の立場から登壇した山本氏は、今年創刊40周年を迎えた岩波ジュニア新書について紹介した。

1979年に創刊。巻末には『「学力の差」や、家庭環境などの「条件の違い」、または簡単に可能性を放棄しないでほしい』といった「発刊の言葉」が掲載されている。山本氏は「今も当時と同じ思いで(ジュニア新書を)作っている」と語る。

ジュニア新書の3つの柱は中高生の①学習をさらに深める(教科科目の学び)、②社会を知り、自分で考えるため(主体的な学び、探究的な学びを支える)、③悩みに寄り添う(進路・友人関係・価値環境などの不安と向き合う)。ロングセラーや話題作として、①では『砂糖の世界史』(川北稔/著)、②は『社会の真実の見つけ方』(堤未果/著)、③は『「空気」を読んでも従わない』(鴻上尚史/著)などを紹介した。特に②は教科の授業では捉えきれない幅広いテーマを扱っており、新書が注目されているという。

一方で高校生は、なかなか新書を手に取る機会がない。山本氏は「新書と出合う場として、学校図書館の役割は大きい」と語る。

木下通子氏

木下通子氏

子供と本をつなぐ「渡し手」として登壇したのは木下氏と片岡氏。木下氏は、埼玉県立高校の学校図書館を紹介。全日制には学校司書が全校配置され、高校図書館ネットワーク活動など、組織的に取り組んでいる。木下氏によると「自分がどんな本を読んだらいいのか、選べない生徒が増えた。ブラウジング(書架を眺めて興味を持ったり目的に沿った本を選ぶ)の習慣がない。目次、本文、索引といった本の構造を知らないため、目次を見て本を選べない」。

そこで本を選ぶ力をつけるために取り組んでいるのが新書の「点検読書」。4人1グループとなり、1つのテーブルに新書を10冊並べ、好きな本を各自選び、8分~10分の時間内に「はじめに」「おわりに」を要約させ、なぜその本を選んだかについてのレポートを書く。2回同じ取組をすると、生徒は本の構造を理解し、自分に必要な本を選べるようになる。

片岡則夫氏

片岡則夫氏

片岡氏の勤務する清教学園中・高等学校は、中学生の卒業論文の積極的な取組で知られている。これまでの12年間2439人のテーマを分析し、学校図書館における新書の需要について解説した。卒業論文に生徒が選ぶテーマは、上位から「犬」「睡眠」「自動車」「チョコレート」……と続き、ランキングで上位20位までは1学年(3~4クラス)に1人は確実に取り上げるテーマだ。さらに50位までで全体の24%。卒業研究で取り上げるテーマのランキング順に図書資料を購入すれば無駄がなくなる。422位までで全体の7割強をカバーでき、何でも学べる学校図書館に近づける。新書であれば質の高い内容で、価格も手頃だ。

片岡氏は通常中学1年生を対象に、本との出会いの機会として取り組んでいる実践「おためし読書」を、今回、新書を活用し中学2年生で実施し、人気のあった本のランキングも紹介。その結果①中学生をつかむ新書は結構ある、②「おためし読書」で「本との出会いの確率」が高まる、③子供をつかむ本棚を短時間・安価につくれる、等がわかった。

「読みたくなる」ために
本との多様な出会いを

生徒と新書の出会いを充実させるポイントは。山本氏は「YA世代は多様なことに関心がある。新書を企画する際は、少しでも面白いものは掘り下げるようにしている。“ジュニア新書”と銘打っているが、実際は小学生、大学生、社会人も読んでいる。その本のテーマに関心を持つ時期に手にとってもらえれば」。

木下氏は「子供一人ひとりに合わせて資料提供ができるのは学校司書ならでは。授業の目的に沿った本を提供することに加え、『これを読みなさい』ではなく『何を読みたい?』と生徒に問いかけることもできる」と話す。

片岡氏は「生徒は興味があれば読む。この本をもっと早く読めばよかった、といった経験を重ねることで『世の中には読まなければならない本がたくさんある』と気づくはず。本との多様な出会いの場を設けることで、生徒が読みたくなる本と出会う確率を上げたい」と語った。

教育家庭新聞 新春特別号 2020年1月1日号掲載

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