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5歳児から小学校1年の「架け橋期」の教育の質の保障に向けた方策を公開~中央教育審議会

2023年3月11日

中教審の初等中等教育分科会「幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会」は「学びや生活の基盤をつくる幼児教育と小学校教育の接続について~幼保小の協働による架け橋期の教育の充実~」を取りまとめて2月27日に公開した。幼児教育と小学校教育を円滑に接続するため、5歳児から小学校1年生の2年間を「架け橋期」として、全ての子供が格差なく質の高い学びへと接続できるよう幼児期及び架け橋期の教育の質を保障するため、以下の方策を推進することが示された。

 


【1.架け橋期の教育の充実】

幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携認定こども園教育・保育要領(以下、3要領・指針)および小学校学習指導要領に基づき、幼児教育と小学校教育の円滑な接続に向けて、子供の資質・能力や学びの連続性を確保し、幼保小接続期の教育を充実する。


①子供の発達の段階を見通した架け橋期の教育の充実

幼児教育と小学校教育においては、各教科等の区別の有無や内容・時間の設定など様々な違いを有することから「架け橋期」は幼保小が意識的に協働して子供の発達や学びをつなぐことで、生涯にわたる学びや生活の基盤をつくることが重要となる。

幼児教育施設においては、小学校教育を見通して「主体的・対話的で深い学び」等に向けた資質・能力を育み、小学校においては幼児教育施設で育まれた資質・能力を踏まえて教育活動を実施する。特に、小学校入学当初は幼児期に育まれた資質・能力が低学年の各教科等における学習に円滑に接続するよう教育活動を実施する。

 


②架け橋期のカリキュラムの作成及び評価の工夫によるPDCAサイクルの確立

幼保小が協働し、共通の視点を持って教育課程や指導計画等を具体化できるよう、架け橋期のカリキュラムを作成することが重要。3要領・指針において幼児期の資質・能力が具体的に現れる姿として定められている「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」等を手掛かりとしながら、架け橋期のカリキュラムを作成する。

また、架け橋期の継続的なPDCAサイクルを構築するためには、幼保小の合同会議等をオンラインも適宜活用しながら定期的に開催するなど、幼児教育施設と小学校の継続的な対話を確保するとともに、コミュニティ・スクール等を活用し、保護者や地域住民の参画を得る仕組みづくりが求められる。

 


【2. 幼児教育の特性に関する社会や小学校等との認識の共有】

幼保小が保護者や地域住民などの参画を得ながら、架け橋期の教育の充実を図るためには、幼児期に育まれた資質・能力が小学校教育にどのようにつながっているか、関係者がイメージを共有し、実践する必要がある。また、学びや生活の基盤を育むため、幼児教育施設がどのような工夫をしているかについて理解を広げる。


①幼児教育の特性に関する認識の共有

遊びを通して学ぶという幼児教育の特性について、様々な研究や実践の成果に基づく知見を活用して幅広く伝えながら、社会や小学校等と共通認識を図っていくことが重要。子供の体験の幅を広げ、質を深めるための関わりや環境の構成に取り組むことが求められる。なお、幼児教育施設においてICTを活用することで、より深い学びに向う教育活動を実施することも可能とされる。

 


②ICTの活用による教育実践や子供の学びの見える化

幼児教育施設においてはICTを活用したドキュメンテーションやポートフォリオといった子供主体の遊びを通した学びの記録により、日々の教育実践や子供の学びを「見える化」する。これにより教員の教育の意図などを併せて伝えることで、幼児教育の特性や教育方針等について、保護者や地域住民の理解を促進させる。

幼児教育施設におけるICTを活用した幼児教育のプロセスと子供の学びの「見える化」と「見える化」による保護者や地域住民との連携の好事例等を収集し発信することで、幼児教育の特性について社会の認識を高めていく。

 


【3.特別な配慮を必要とする子供や家庭への支援】

障害のある子供や外国籍の子供など、幼児教育施設や小学校・特別支援学校において特別な配慮を必要とする子供や家庭への適切な支援が求められる。


①特別な配慮を必要とする子供と家庭のための幼保小の接続

特別な配慮を必要とする子供の対応が増加しており、医療情報連携ネットワークとの連携を進めるなど、幼児教育施設や小学校は、母子保健、医療、福祉等の関係機関との連携強化を図り、切れ目ない支援を実施する。

国や地方自治体において、障害のある子供などの受入れに当たっての体制整備の在り方や指導上の留意事項等に関する検討を進めるとともに、研修プログラムを開発し、研修に活用できる資料や教材を作成する。

また、幼児教育施設は日々の行動観察において発達障害等を早期発見し、一人ひとりに応じた指導を重視する幼児教育のよさを生かしながら障害の状態等に応じた支援を実施。小学校・特別支援学校においても必要な支援が受けられるようにすることが求められる。

 


②好事例の収集

幼児教育の成果を小学校教育につなげるため、幼保小における好事例等を収集・蓄積して活用。また、家庭とも共有し、これらの取組の評価・検証による支援策の改善につなげる。

 


【4.全ての子供に格差なく学びや生活の基盤を育むための支援】

核家族化による子育て支援者の不足や、地域とのつながりの希薄さなど、家庭や地域の教育力が低下している昨今、子供にとって幼児教育施設が安全・安心な居場所であるとともに、子供の学びや成長を保障する幼児教育施設の役割の重要性が一層増している。


①幼児教育施設の教育機能と場の提供

0歳から5歳の未就園児も含め、様々な体験の機会が得られるよう幼児教育施設が有する幼児教育に関する専門的な知見を地域に提供し、様々な家庭や年齢層の子供が学びの場に参加できるようにする。

幼児教育施設において保護者の幼児教育に対する理解を深めるとともに、保護者が子育ての喜びや生きがいを実感できるよう、親子登園や相談事業、一時預かり事業などの子育て支援を充実する。

 


②全ての子供のウェルビーイングを保障するカリキュラムの実現

幼保小においては、カリキュラム・マネジメントの充実を図り、全ての子供のウェルビーイングを高める観点から、教育課程編成・指導計画作成、実施や評価、改善などを通じて、組織的かつ計画的に教育活動の質の向上を図る。

 


【5.教育の質を保障するために必要な体制等】

幼児教育の現場において、設置者や施設類型を問わず、幼児教育の質の向上や幼保小の接続等の取組を一体的に推進するため、地方自治体において必要な体制を構築することが必要。また、多忙な勤務環境が幼児教育施設での勤務を志望する者の減少や離職者の増大に大きく影響を与えていることから、外部専門職などの積極的活用やICT環境の整備をはじめ、勤務環境の改善を図ることが急務とされる。


①地方自治体における推進体制の構築

地方自治体において幼児教育の質の向上や幼保小の接続等の取組を一体的に推進するため、幼保小の担当部局の連携・協働や幼保の担当部局の一元化、幼児教育センターの設置・活用、幼児教育アドバイザーなどの配置を推進する。

 


②架け橋期の教育の質保障のために必要な人材育成等

幼保小に対して専門的な指導・助言等を行う架け橋期のコーディネーターや幼児教育アドバイザーの育成が急務。特に幼児教育と小学校教育の双方に精通する人材が必要。地方自治体においては、幼保小における人事交流や私立を含む幼児教育施設に小学校の教員を1年程度派遣する研修、幼児教育施設と小学校の教員のペアをつくり相互の職場で保育・授業体験などを行いながら共に架け橋期のカリキュラムを作成する研修等が行われている。教育委員会においては幼保小接続や生活科を担当する指導主事の配置・指導力の向上が求められる。

また、架け橋期の教育を充実するためには、その意義や具体的な方法について、幼児教育施設の園長等や教員、小学校の校長等や教員を対象にした研修を実施することが重要とされる。こうした架け橋期のカリキュラムや研修を開発・実施するには「幼保小の架け橋プログラム」を推進することが求められる。

 


③幼児期の教育の質保障のために必要な人材確保・定着等

国においては処遇改善等の必要な施策を引き続き実施する。地方自治体においては幼児教育関係団体や養成校と連携し、新規採用の促進、離職防止・定着促進、離職者の再就職の促進といった総合的な人材確保策を推進する。

幼児教育施設では管理職等のマネジメント能力やリーダーシップの向上を図るための研修が重要。また、心理や福祉、障害等について専門的な知見を有する者を積極的に活用し、幼児教育施設の取組内容の充実を図る。

事務作業の負担軽減や働き方改革を推進するため、幼児教育施設におけるICT環境の整備を図ることも重要。また、子供の安全を確保するための環境整備では、事故の要因や危険を早期に発見し、速やかに除去するとともに、事故等が発生した場合に適切な応急手当や安全措置ができるよう体制を確立する。

 


【6.教育の質を保障するために必要な調査研究等】

質の高い教育を保障していくためには、方法論的に正当な調査・研究から得られた実証データの分析によるエビデンスに基づきながら、政策形成に取り組むことが求められる。また、幼児教育の質保障の方策としては、幼児教育の質や子供の発達と成果のより客観的な評価に向けて、具体的な評価指標を開発し活用する。


①幼保小接続期の教育に関する調査研究

幼保小の協働による架け橋期のカリキュラムに基づく評価に関しては、小学校と幼児教育施設においては制度上の違いがあり、このような違いを越えた評価の在り方については参考となる情報も少ないことから、国において調査研究を進めることが重要。国においては、諸外国において子供の多様性がいかに捉えられ、幼保小の接続期にどのような具体的支援や体制の構築がなされているかについて調査研究を推進する。

 


②幼児期の教育に関する調査研究

国立教育政策研究所幼児教育研究センター、大学、地方自治体、幼児教育関係団体、民間研究機関からなる国内外の研究ネットワークを構築する。また、ネットワークの構築に当たっては、幼児教育の関連領域だけでなく、周辺領域の各学会や研究機関まで範囲を広げて取り組むことが重要とされる。

また、質の高い幼児教育とは何かを明らかにするため、0歳から18歳の学びの連続性を踏まえつつ、国のプロジェクトとして大規模な長期銃弾調査を実施することが求められる。これにより、幼児期に育みたい資質・能力やその育成方法、幼児教育の質がその後の子供の成長に与える影響等に関するデータやエビデンスを収集する。さらに、幼児教育施設における実証や国内外の研究者からの意見等を踏まえながら、日本独自の質評価指標の開発や園内研修等において活用しやすい質評価指標の開発を進めていく。

 

学びや生活の基盤をつくる幼児教育と小学校教育の接続について~幼保小の協働による架け橋期の教育の充実~(審議まとめ)

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