千は、全国の小学校を対象に「小学校における卒業アルバム制作の実態調査」を実施。その結果、公立小学校における卒業アルバム制作の業務負担に対し、教員の6割以上が国・自治体によるガイドライン策定を望んでいることがわかった。
ガイドラインに求める要望のトップは「学校の作業負担を減らすための基準」であり、教員業務の抜本的な改善には行政の積極的な介入が不可欠であることが明らかに。背景には、最も負担に感じる作業が「生徒の登場回数カウント」という公平性確保のための内向きな作業に教員が労力を割いている構造的課題があるという。

学校の負担を減らすために、国や自治体が「卒業アルバム制作に関するガイドライン」を定めることについて、将来的にそのような議論が始まった場合の参考質問として聞いたところ、賛成寄り(賛成38.2%+どちらかというと賛成23.1%)が61.3%となり、ガイドライン(ルール化)のニーズは強い。

仮に国・自治体がガイドラインを策定する場合に求める項目は、「学校の作業負担を減らすための基準」(65.1%)がトップで、教員負担の解消が最優先課題であるという認識が明確になりました。次いで「個人情報保護対策」(60.8%)「アルバム代金の適正価格や費用基準」(60.8%)と続く。「個人情報保護対策」は近年個人情報に対する社会的な注目度が高まる情勢を背景に、高いニーズを示していると推察される。

卒業アルバム制作において、小学校が対応している作業の中で最も負担に感じる作業は「生徒の登場回数カウント」(70.7%)が最も多く、公平性確保のための多大な労力が明らかになった。次いで「写真の選定・レイアウト」(57.6%)「入稿前の最終確認」(46.2%)と制作の根幹業務が負担になっている様子。

卒業アルバム代金の回収担当は、学校が約7割を占めており、学校側の金銭管理・未払い対応に関する業務負担が大きいことが推察される。この代金回収業務は、教員や事務職員の日常業務とは別に発生する「隠れた負担」となり、多忙な学校現場を圧迫しているようだ。

業者選定時の重視点では、「前任者・前年度からの継続利用のしやすさ」(53.2%)がトップ。本来のニーズである「負担軽減」(27.0%)などよりも「選定の手間もしくは変更によるリスクを避けたい」という心理が優先されているようだ。また、業者の認知のきっかけは「慣例を踏襲」(69.4%)「前任者からの引き継ぎ」(35.1%)がほとんど。約7割が受動的な認知経路であり、業者選定の重視点とともに、新たな選定の手間や業者変更に伴うリスクを極力避けたいという学校側の心理が表れている様子がうかがえる。


調査を実施した千は、小学校卒業アルバム制作が教員にとって大きな負担となっている構造的課題が明確になったとし、作業負担を減らすための基準を最優先とした、国や自治体による公的なルール化と積極的な行政介入の必要性を指摘している。
<調査概要>
調査手法:インターネット調査
調査実施日:9月11日~17日
調査対象者:全国の小学校
回答数 190