コグニティは、徳島県立城ノ内中等教 育学校が推進する「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」の 一環として、1時間半の特別講義を実施した。
本講義では、「定性情報の定量化」をテーマに、生徒の自己PRトークを実際にAIで分析。感覚的に評価されがちな“話し方”や“伝え方”を、構造データとして可視化するプロセスを体験した。

講義では、事前に提出された生徒3人の自己PR動画をもとに、同社のAI検定サービス「COG-PRESEN 」により詳細な分析を実施。まず提示したのは、話速を示す比較グラフ。1分あたりの文字数を算出し、一般的なアナウンサー平均と照合することで、情報量が過剰になっているケースがあることを可視化した。速く話すことが必ずしも伝達力の向上につながらないことを、数値と図で示した。
次に、フィラー(不要語句)の検出結果をグラフで提示。自己PRではフィラー がほとんど検出されず、練習の成果が客観的に裏付けられる結果となった。一方で、指示語(これ・それ・あれ等)の検出回数を千文字あたりで算出したところ、抽象度の高い表現が一定数存在することが明らかに。具体性を高める改善余地が、数値として可視化された。
さらに、文字種比率(漢字・ひらがな・カタカナ)も提示し、語彙の選択が与える印象の違いについても解説した。話し方の“雰囲気”ではなく、構成要素として分解することで、改善可能なポイントが明確になることを示した。
また講義では、衆議院選挙演説データとの比較分析を実施。話量・話速・指示語頻度・ 問いかけ回数を横並びに示すグラフを提示し、「伝わる構造」の違いを明示した。
特に問いかけ技法については、演説では意図的にOPEN質問が挿入され、聴衆に思考の余地を与えていることが可視化された。この結果を踏まえ、生徒自身が問いを設計するワークを実施した。単に「質問を入れましょう」という助言ではなく、構造を理解したうえで設計することの重要性を体験的に学ぶ時間となった。
本講義では、分析結果を提示するだけでなく、生徒自身が構造を“使ってみる”時間を設けた。まず各自が自己PRや自分の強みをテーマに設定し、「最も伝えたい主張は何か」 「その主張を聞き手に自分ごととして考えてもらうには、どのような問いを投げかければよいか」を個別に整理する時間を取った。その後、OPEN質問とCLOSED質問の違いを踏まえ、問いを言い換える演習を実施。さらに、前置きを加えることで思考を促す構造に変換するワークにも取り組んだ。続いてペアワークを行い、互いの問いと構造を共有しながらフィードバックを実施。最後には数人が全体の前で発表し、問いの設計意図や工夫点を言語化した。
AIによる分析結果を“受け取る”だけでなく、自ら問いを設計し、他者の視点を取り入れ、 全体に向けて再構築するというプロセスを通じて、構造理解が知識ではなく実践スキルとして定着する設計とした。
今回の講義で使用した技術は、知識工学・認知科学を基盤とする独自アルゴリズムによるもの 。生成AIのように文章を大量生成するのではなく、文脈の構造を抽出し、話題間の関係3性を数値化することに特化している。LLMとは異なるレイヤーのAI技術であり、少量データでも個人の思考傾向を分析できる点が特徴となっている。