名古屋市教育委員会は今年度、市立全小・中学校を対象とした不登校児童生徒の学習支援ツールとして、AI活用型アダプティブ教材「すらら」(提供元:すららネット)を導入した。
本導入は、名古屋市が推進する不登校支援の取り組みにおいて、ICTを活用した学習機会の保障を目的としており、教室で授業を受けることが難しい児童生徒に対しても、継続的な学びの環境を提供するものとなる。

名古屋市は、不登校児童生徒数の増加を背景に、従来の「学校復帰」を前提とした支援から、 「社会的自立」を最上位に据えた支援へと転換を進めている。
市内の小・中学校の不登校児童 生徒数は2025年度に6,000人を超え、過去5年間で大きく増加。こうした状況を踏まえ、市教委は2025年3月に「なごやハートプラン」を策定し、校内の教室以外の居場所づくりや教育支援センターの機能拡充、メタバースを活用したオンライン支援、民間団体(施設)との連携など、多様な学びを支える体制の充実を図っている。 また、児童生徒一人ひとりの状況に応じて学びの選択肢を広げ、学校に行く・行かないにかかわらず、「誰一人取り残されない学びの保障」に向けた支援を行っている。
今回導入された「すらら」は、AIによる個別最適化とレクチャー機能を備えたICT教材であり、学習者一人ひとりの理解度に応じて内容や難易度を調整しながら学習を進めることができる。自宅や校内の教室以外の居場所など、児童生徒の状況に応じた場所で学習を継続できる点が特徴だ。
また、学習履歴や進捗データを蓄積することで、学校や教委が児童生徒の学習状況を把握できる仕組みを備えている。これらのデータは、自宅等でのICT学習の出席扱いを検討する際の参考資料とするなど、児童生徒の努力を評価し、将来の社会的自立に向けた支援に生かされる。
市が進める不登校支援は、児童生徒の状態や意思に応じて学びの環境を整える包摂型の支援へと進化している。本教材はその中で、場所に依存しない学びを支える基盤として活用が期待される。