東京国立博物館(東博)は、本館の体験型展示「日本美術のとびら」をリニューアル。幅14メートルの巨大スクリーンによる体験型展示「とーはくワンダーウォール〈一期一会〉」を構築し、6月30日より公開する。リニューアルコンテンツの空間構築は内田洋行が担当している。
展示のコンセプトは「一期一会」。約12万件に及ぶ収蔵品の中から、来館者の操作に応じてインタラクティブにおすすめの一点を提示し、“文化財との新しい出会い”へと導く体験空間として設計されている。

東京国立博物館は、国宝・重要文化財をはじめとする日本美術の中核を担う文化財を多数所蔵し、日本の文化継承と歴史的アイデンティティを体現する、日本を代表する文化の中心的存在だ。一方で、収蔵品が膨大であることに加え、展示館が複数あることや、展示替えも定期的に行われることから、来館者にとっては“どこで何を見るべきか分からない”という声もある。
「とーはくワンダーウォール」は、その壮大な展示世界への“入口”として、来館者の好奇心を喚起し、鑑賞体験をより主体的で豊かなものへと導く。東博のWEB情報や収蔵品データベース「ColBase」を活用し、“その日展示されている文化財と出会う”体験を起点に、多様な興味関心に応じて文化財を提示する仕組みを構築することで、新たな展示導入のあり方を提案する。
本コンテンツは、本館1階の右手奥に位置するB室「日本美術のとびら」に常設される。映像とインタラクティブ体験、さらに音楽演出を融合させることで、来館者の興味・関心に応じた文化財との出会いを創出する。
デジタル技術と空間設計を融合させた本コンテンツの制作は内田洋行が担当した。同社制作チームは、2013年の東京国立博物館「書聖 王羲之」展、2019年の東京国立博物館「顔真卿」展における書跡の再現映像制作に加え、2025年九州国立博物館「九州の国宝 きゅーはくのたから」において、「蘭亭図巻(永楽本)」を題材とした3D映像の制作・提供を行うなど、文化財の魅力を映像で再構築している。
来館者が東博の全体像をつかむ“入口”として、約2分間のスペシャル映像を制作。本映像は、実際の展示では必ずしも出会えるとは限らない名品に対し、“確実に名品に出会える場”としての役割も担い、博物館体験の導入として機能する。
1872年の湯島聖堂博覧会にはじまり、2022年の創立150周年に至るまでの歩みを軸に、日本美術およびアジアの文化財が持つダイナミックな広がりを、映像と音楽による演出で表現している。
映像には、「松林図屛風」や「片輪車蒔絵螺鈿手箱」「古今和歌集(元永本)」「十二神将立像」「色絵月梅図茶壺」「老猿」「伎楽面」「摩耶夫人および天人像」「遮光器土偶」など、東博を代表する名品が登場し、時代やジャンルを超えた多彩なコレクションの魅力を体感的に伝える。また、それぞれの名品が持つ背景や魅力が自然に伝わるよう、見どころのポイントを映像の中に織り込み、文字情報に頼らずとも、国宝や重要文化財といった名品が歩んできた物語や、その奥にある価値に触れ、来館者が愛着をもって感じられる構成となっている。

長谷川等伯筆 国宝「松林図屏風」の世界に包まれる、風を感じる演出

約12万件の収蔵品の中から厳選された名品が、映像として現れる
来館者の興味関心に応じて東博のコレクションとの出会いを創出するコンテンツを展開。映像の前に立つと体験が始まり、当日展示されている約3,000件の作品情報と連動しながら、6種類の切り口の中からランダムに選ばれた4種類のコンテンツがリアルタイムに生成・表示される。

モーションセンサーにより、体の動きに合わせてリズミカルに操作を楽しめる仕掛けを導入
コンテンツには、研究員が専門的知見をもって選び抜いた名品を紹介する「研究員の推しと出会う!」コーナーをはじめ、ガラポンのようにくじを回し“何が当たるかはその日のお楽しみ”として文化財と出会う仕掛け、「東博をめぐってお宝と出会う!」として法隆寺宝物館・黒田記念館などの少し離れた展示館の名品へと誘うコンテンツなど、常に新しい多様な切り口を用意している。
オープン日 6月30日(火)
※5月18日(月)~6月29日(月)までリニューアル工事のため閉室
会 場 東京国立博物館 本館1階B室 (台東区上野公園13-9)
開館時間 9:30~17:00(入館は閉館30分前まで)
※毎週金曜日と土曜日は夜20:00まで開館
※東博コレクション展の開館時間に準じる
休館日 月曜日
※月曜日が祝日または休日の場合は開館し、翌平日に休館、年末年始、その他臨時休館あり
観覧料(東博コレクション展)一般1,000円、大学生500円、高校生以下無料
※東博コレクション展観覧料または開催中の特別展観覧料(観覧当日に限る)で観覧可能