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第4次「食育推進基本計画」ピクトグラムで発信力高める~服部栄養専門学校服部幸應校長に聞く

2022年11月21日
服部幸應校長

服部幸應校長

2021年4月に農林水産省の第4次「食育推進基本計画」がスタートしてから1年半が経過した。食育の推進に当たって16の目標と24の具体的な目標値が設定されている。「食育推進会議」委員・「食育推進評価専門委員会」座長として計画策定に携わってきた服部栄養専門学校の服部幸應理事長・校長に今回の注目すべきポイントなどについて話を聞いた。

家庭への推進がポイントに

―第4次「食育推進基本計画」では、食育を推進するにあたり目標を設定して取り組んでいます。そのポイントは

食育推進基本計画では16の目標を設定しており、目標1「食育に関心を持っている国民を増やす」、5「学校給食における地場産物を活用した取組等を増やす」、6「栄養バランスに配慮した食生活を実践する国民を増やす」などがあります。さらにその16の目標を達成するための「具体的な目標値」として2025年度までに達成したい数値を24の項目で設定しています。前出の目標5であれば「栄養教諭による地場産物に係る食に関する指導の平均取組回数」を月12回以上、等です。

そこで食育の取組が大人から子供まで一目で分かるように、これまでは文章だけでしたが、第4次計画では新たにピクトグラムを作成しました。16の目標・24の目標値を、12のピクトグラムに割り振って表現し、食育を見える化したのです。

1964年の東京オリンピックで初めて使われたピクトグラムは、国連によるSDGsでも使われているので馴染みもあります。食育ピクトグラムを子供たちに見せたところ、すぐに何を意味するのか伝わりました。食育ピクトグラムを通じて食育の思いが多くの人に伝わればと思います。

―食育を推進するに当たり、どのような点に注意すべきでしょうか

食育で何が重要かを考えた場合、家庭教育ファーストとなります。子供の頃から食の大切さを理解し、それを広めていくことが大切です。家族と一緒に食事を取る回数は、一昔前は年800回だったのが、今では年300回にまで減り、しかも食べているものがバラバラというケースが増えています。家族が一つの食卓を囲んで同じものを食べることも食育には重要です。日本の食の最大の問題は家庭にあります。今こそ家庭で食育を進める必要があります。

―食を通じ親子の絆も深まりそうです

地球上には約6000種の哺乳類が母乳を与えて子供を育てます。例えばキリンの乳には首や足が長くなる成分が多く含まれています。他の動物も同様に母乳を通じて、その種に必要な成分を与えています。

そのため生後9か月までは母乳を与えることが世界の常識となっています。1955年にノーベル化学賞を受賞した生化学者のヴィンセント・デュ・ヴィニョーは、オキシトシン(授乳時等に分泌されるホルモン)が親子の相思相愛に関連していると発表しました。食育の原点である母乳を与えることの大切さも知ってください。

さらに、親には食育と同時に家事も積極的に手伝わせるように伝えています。しつけ教育をすべて学校に求めようとする親もいますが、大事なのはやはり家庭です。

掃除や食事の後片付けなど家の手伝いをしていた子供のグループと、家の手伝いを全くしなかった子供のグループが、それぞれ社会に出てからどうなったかについて9年間かけて調査しました。すると、家の手伝いをしていた子供のグループは、職場でも自ら進んで行動するようになったのに対し、家の手伝いをしなかったグループは周りの人が何を求めているかわからず、指示がないと動けなかったり、すぐに会社を辞めてしまうケースが目立ちました。

手伝いを子供の頃から行うことで、どんな作業にも対応できる大人になります。そのようにして社会でも対応できるように家庭教育を行うのが親の役目です。

現在、日刊工業新聞で「食育は世界を救う」というタイトルで連載をしています。SDGsが示される以前から、食育ではサステナビリティなどを訴えてきました。食育は世界のさまざまな課題に結びついています。家庭を起点に、すべての人が食への意識を高めていって頂きたい。

―ところで、新型コロナウイルスの感染拡大から3年になりますが、貴校ではどのような影響がありましたか

当然ながらコロナ禍においても、学生は単位を取得しないと卒業できません。本校ではオンライン授業も取り入れて学生をフォローしてきました。ただし調理実習は遠隔授業で行うことができないので、コロナ対策に万全の注意を払って臨んできたところです。

ただ、この3年は多くの学校行事が中止となり、海外研修なども体験することなく、学生たちが卒業していったことは残念で仕方ありません。学園祭は学生だけでなく地域の方を含めて多くの人が楽しみにしている行事でもあります。新型コロナ感染症の状況も見ながら、今年度内には再開できるように検討しています。

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年11月21日号掲載

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