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教育ICT

1人1台PC配備前の準備を提案 教職員1人1アカウントで情報共有を体験<岩沼市立岩沼西小学校教頭・加藤琢也氏>

2020年11月2日
第72回教育委員会対象セミナー・仙台

第71回教育委員会対象セミナーを10月6日札幌市内で、72回教育委員会対象セミナーを10月9日仙台市内で開催し、札幌会場は約200名、仙台会場は約100名の教員と教育委員会担当者が参集した。


岩沼市立岩沼西小学校教頭・加藤琢也氏

岩沼市立岩沼西小学校教頭・加藤琢也氏

7年前、岩沼市の小学校教員としてAndroid端末で児童11台活用をスタート。加藤教諭の実践はその後、市内全校に広がった。現在は管理職として、11台配備直前の教職員の準備と体制つくりに取り組んでいる。岩沼市は11iPad配備を年内に予定している。

◇…◇…◇

Android端末を11台で活用し始めた当時、端末上で動く適当なアプリがなく、宮城教育大学に協力を依頼して作成したものが電子黒板アプリ「iTouch(イタッチ)」だ。2本指で拡大、1本指で書き込みができるというもので、とても役立った。全世界で10DLがあると聞いている。これは、宮城県の教科指導におけるICT活用「MIYAGI Style」(みやぎスタイル)につながった。

MIYAGI StyleVer.1は一斉指導における教員主導の活用、Ver2はグループでの活用、Ver311台活用だ。多くの市町村がVer1にとどまっており、使っていない教員も何割かいる。しかしGIGAスクール構想で、11台環境が間もなく始まる。そのためにどんな準備が必要かを考えて取り組んでいる。

■教職員11台で情報共有を体験する

教員全員が「使わざるを得ない」工夫を考え、先ずGoogleハングアウトの活用をスタート。毎日大量に当たり前のようにある伝達事項のプリントや付せんによるメモ、口頭伝達を止め、Googleハングアウトでするようにした。

これは写真やテキスト、ビデオ通話でグループごとにコミュニケーションができ、相手が接続していなくてもメッセージを送ることができる。グループLINEのようなイメージだ。落とし物の写真をここに投稿すると、各教員はクラスの提示画面に映して落とし主を探すので、紛失物が見つかりやすくなった。職員会議や学年会議など打ち合わせの資料も印刷せずにPDFにしてPC上で共有するようにした。これらが習慣化すると、授業で大型提示装置等を使用していなかった教員も、様々な情報共有のためにPCを日常的に使うようになり、ICTは「情報共有のツールであり、様々なことに活用できるもの」という経験値が蓄積していった。

これをチャンスと考え、次に導入したのがGoogleカレンダーだ。常に最新情報を閲覧でき、個人のスマートフォンでも閲覧できるため、予定変更や追加の度の印刷し直しという作業がなくなった。

ICT活用に前向きではなかった教員も、日常的な情報共有で使ううちに便利さを実感でき、こんなこともできる、やってみよう、これは止めても良いのではないか、と新しいアイデアが出るようになり、現在は教育計画や学習指導要領もPDF化して保存。検索で必要な個所を探すなどデジタル化のメリットを実感している。

■ログインを当たり前にできるようにする

日常的な活用で身についた最も重要なことの1つが「ログイン作業」だ。多くの教員はスマートフォンを持っているが、予想以上に「ログイン」不要の活用にとどまっていた。電話とLINEのみという教員も少なくない。様々な情報を共有するためには「ログイン」が必要で、PW管理がより重要になる。Googleカレンダーの活用はその意識を育むきっかけになった。

その後、Googleフォームの活用をスタート。フォームの活用で特に評価が高かったのは、保護者からの遅刻欠席連絡を学校HPからリンクしてWeb上で報告・確認できるようになったこと。朝の電話の数が激減した。連絡内容は各教職員のPCから表として閲覧できるため、伝達漏れによる家庭への連絡もなくなり、教員の働き方改革にも寄与した。保護者からは行事の感想もすぐに届くようになり、画面上でグラフ化。行事の記憶が新しいタイミングで意見を集約できるようになった。これらの活用を半年ほど継続することで、ICT活用以前の仕事のやり方には戻れないほどクラウドサービスの利便性を理解できるようになった。さらにSiliの機能で指導案の頭書きなどを話してテキスト化する教員が増えるなど、新しい活用も生まれている。

こういった素地が教員にない場合、児童用PCが届いてすぐにすることは、撮影、提示、調べるにとどまる可能性が高く、共有ツールのイメージを伝えるのに時間がかかるのではないかと考えている。「共有」は、深い学びにつながる対話つくりに欠かせない要素だ。本校の教職員は、児童用PCが届いた際の情報共有を活かした授業アイデアを今からふくらませている。

2学期が始まった時点でGIGAスクール構想環境が既に整備されている自治体は、まだ多くはない。教員が11アカウントで情報を日常的に共有することは、児童生徒11PCを新たな学びにつなげるために重要な要素だ。学校をまたいでグループを作成すれば、市教育研究会などのオンライン開催や諸連絡が可能になる。

個人情報保護法については現在、ポリシーを策定しているところ。管理職としての立場で教育委員会と情報交換・連携しながら事例を共有しつつ児童生徒11PC環境の準備を進めている。【講師】岩沼市立岩沼西小学校教頭・加藤琢也氏

【第72回教育委員会対象セミナー・仙台:2020年10月9日】

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年11月2日号掲載

  1. 東北学院大学教授・学長補佐・稲垣忠氏
  2. 岩沼市教育委員会 学校教育課 課長 矢口 晃氏
  3. 文部科学省情報教育外国語教育課・情報教育振興室長・水間玲氏
  4. 岩沼市立岩沼西小学校 教頭 加藤 琢也氏
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