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教育ICT

次の施策につながる「チームいわすた」の実践 GIGAトラブル解決チームを設置<岩沼市教育委員会副参事兼指導主事・加藤琢也氏>

2021年12月6日
第83回教育委員会対象セミナー・仙台

10月19日、仙台市内で第83回教育委員会対象セミナー「GIGAスクール構想ICT機器の整備・活用」を開催。宮城県内及び近郊から教育委員会や小中高等学校教員が参集し、熱心に聴講した。


岩沼市教育委員会副参事兼指導主事・加藤琢也氏

昨年度の本セミナーでは教頭として学校の取組を報告した加藤琢也氏は今回、指導主事として岩沼市教育委員会(小学校4校・中学校4校)の11台端末整備後の進捗と計画について報告した。

◇・◇・◇

■授業用端末は全教員に必須

児童生徒11台端末活用のためには、授業で活用できる端末が全教員に必須。本市では2012年度から実現しており、配備当時は「教員全員が使わざるを得ない」工夫を考えて進めた。現在は毎日のように活用している。ただしこれまでの授業観の延長で捉えている教員もいる。教員主体の一斉授業の授業観ではなく、子供主体の学習観にステップアップしていくための取組を進めている。

■情報共有しやすい仕組みを工夫

本市では教育長のリーダーシップの下、首長部局のデジタル化推進室と教育委員会が連携し「まなびiスクール構想~Iwanuma×ICT×Interest」を進めている。各校の情報化推進リーダーと有志で構成した「まなびiスクール」推進チーム、通称「チームいわすた」を立ち上げ、毎月最終水曜日に集まり、情報共有や実技研修を行い、内容をWebサイト上で市内全教職員に公開している。

GIGAトラブル解決チームも設置。こんなトラブルが起きた、こういう設定にしてほしい等様々な情報をGoogleチャットでやり取りしており、教育委員会から整備事業者に迅速に対応を依頼することができる。これまで、各校のトラブルは教員→教頭→教育委員会→整備事業者という流れで時間がかかっていたが、改善された。

管理職対象の研修では、今後のビジョンの理解を図った。これは今後の学校運営に欠かせない。

■毎日端末持ち帰りが原則

児童生徒用情報端末(iPad)は購入により約4000台導入し、児童生徒は原則毎日持ち帰って活用。担任裁量で調整できることとした。予備機として全体の5%分を購入しているが、1年間運用するなかで壊れたのは約025%の10台程度。教員が学校で重ねて持ち運んだ際に落として故障に至ることもあり、児童生徒の持ち帰り運用による故障はわずかであった。

情報端末持ち帰りの際の家庭でのルールや同意書には「破損・故障の際は予備機を渡すが故意の場合は弁償してもらうことがある」旨を記載。故障が怖いから持ち帰りはさせない、という家庭はなかった。アクセスログの記録についても同意を得、「就寝1時間前は使用しない」こととした。ただしログを確認すると夜中にアクセスしている児童生徒はいる。

アカウントとパスワードは個人管理が基本。当初は「忘れた場合はどうするのか」等の不安も届いたことから、初期は連番でパスワードを設定し、慣れ次第、個別に変更することを推奨した。

■中学校PC室をメディアルームに

中学校PC室の更新時期にあたり、ヒアリングを行ったところ、同じ性能のPC40台がある必要はない、という声が多く、大型ディスプレイ複数台やグリーンスクリーン、机一体型の椅子の設置を検討中。協働的な学習やオンライン配信ができるようにしたり、児童生徒が自由に活用したりできるようにする計画だ。このタイミングで中学校普通教室の大型提示装置も可動式から固定式の超短焦点プロジェクターに変更した。

現在、中学校技術科用に3Dプリンターや双方向性のあるプログラミング教材、小学校用のプログラミング教材やデジタル採点システムなどを経産省EdTech補助金により試験運用しており、次年度の導入を検討中だ。予算確保に必要なのは、首長部局に対する説得力あるプレゼンテーション。それを支えるのが「チームいわすた」の実践だ。

■ネットワーク環境 改善に向けて試行錯誤中

日々の活用が進むとネットワーク環境が重要になる。

児童生徒用GIGA端末を市役所サーバ集約型のネットワークにすると遅くなることから、ローカルブレイクアウト構成で小学校4校・中学校4校分計8回線を契約。児童生徒のログ取得ができるクラウド経由のフィルタリングも導入し、市内平均で30Mbps程度の速度で接続できるようになった。

しかし1校だけ速度が出ないという問題が発生。フィルタリングを経由しなければ250Mbps出る計算だが実際には4Mbps程度の速度しか出ない。そこでフィルタリングサーバを増強して解決を図った。

次に、これまで問題なく活用できていた校務用ネットワークが、朝8時~8時半につながらない問題が起きた。Windows10のアップデートやMicrosoft365iCloudのリクエストが立ち上げ時に集中的に起こっていることが原因であるとログから判明し、「校務端末はスリープ状態で帰宅する」、「ほぼ使用していない教員はiCloudの設定をオフにする」、「Windows10の更新を毎月第二水曜日のみに設定する」「Microsoft365の更新をMDMで制御して分散化する」ことで対応。改善が見られたがまだ重たく、さらに改善を検討中だ。

クラウド活用が始まると、どこの自治体でも何等かの問題が起こる。様々な解決法を共有していく必要がある。情報通信技術支援員の配備による授業支援と共に、環境支援は必須であると感じている。【講師】岩沼市教育委員会副参事兼指導主事・加藤琢也氏

【第83回教育委員会対象セミナー・仙台:2021年10月19日】

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年12月6日号掲載

  1. 宮城教育大学 教授・安藤明伸氏
  2. 岩沼市教育委員会 指導主事・加藤琢也氏
  3. 文部科学省 初等中等教育局 修学支援・教材課 GIGAスクール推進チーム チームリーダー(情報教育振興室長)   水間玲氏
  4. 仙台市立錦ケ丘小学校 校長・菅原弘一氏
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