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教育ICT

端末活用1年間で全校が「日常化」 隣の先進校を徹底的に「真似る」 春日井市教育委員会

2022年3月8日

春日井市教育委員会(愛知県)は「2022年度全日本教育工学研究協議会全国大会 愛知・春日井大会」(以下、JAET全国大会)開催地区として、新たなスタートを切っている。2月5日、本大会プレとして「教育の情報化」実践セミナーを開催し、授業公開校である6校はその経過を報告。そのうち3校の取組を紹介する。当日は約300名の教育関係者がオンラインで参加した。

JAET全国大会の授業公開校である6校のうち3校(春日井市立出川小学校、同高森台中学校、同藤山台小学校)は情報端末を先行して配備し、アドバイザー(高橋純准教授・東京学芸大学)の支援のもと、市内小中学校のICT活用をけん引。それに加えて勝川小学校、坂下中学校、藤山台中学校がアドバイザーの支援を受けながら準備を進めている。6校は愛知県教育委員会ICT活用教育推進事業の研究委嘱も受けている。市内どの学校でも、ICTを有効に活用した授業改善に向けて研究実践を進めている。

授業公開校になって良かった
【勝川小学校】

子供の姿が授業改善のきっかけになる
山田勝史校長

「かすがいスタンダード」(学習規律の徹底とICTの有効活用)の実践も十分ではなかった本校がJAET全国大会の授業公開校となった。社会の変化は一層進み、学校には未知の課題に対応できる力を子供に育むという責務がある。この1年、研究実践を進めていく中で、子供が変わる姿を見て、教員の授業改善の意欲が高まっている。

全教員が公開授業
木南秀雄教頭

日常的にICTを活用した授業改善が10年前から行われてきたものの、11台の情報端末活用については苦手意識を持つ教員がいる。児童も友達と関わり合いながら学ぼうとする気持ちが弱いと感じていた。そこで授業改善(研究推進)に向けて、いくつか仕掛けを準備した。

■研究組織の立ち上げ

学年部会、高学年教科担任制部会、研究推進部会(教務校務教頭部会長学年主任)、実務部会(ICT活用部会、資料部会、授業づくり部会)を設置。実務部会は全教員が所属。

研究主題は「学んだ知識・技能(習得)をはたらかせて、みんなで思考・判断・表現(活用)する勝川っ子の育成~ICT活用の推進と高学年教科担任制の実施を通して~」。JAET大会の研究主題「GIGAスクール環境の日常的な活用で実現する令和の学び」に活かしたいと考えた。

■業務にクラウド活用

本校でも2020年度から、教職員が日常的にクラウドを活用。すべての職員が便利さを実感し、便利なので授業にも使おうという雰囲気が生まれた。

■学習環境を整える

実務部会を中心として学習環境を整えた。学習環境が整うと児童も安心して授業に取り組み、それが端末の落ち着いた活用につながった。

■効果的な活用を検討

情報端末は設定された課題に対して必要な情報を収集する手段とし、収集した情報を整理・分析するために思考ツールを活用。次第に知識・技能を働かせて検討・表現できるようになった。現在は探究の支援にもつながるように配慮している。

■保護者・地域への理解を深めた

端末を持ち帰ったときの保護者の不安を解消するために対面セミナーで保護者もクラウド活用を体験。動画も配信したところ多くの視聴があった。学校評議員会でもクラウドの体験を行った。

■公開校内授業研究会で全員が研究授業

公開校内授業研究会は6月、10月、1月に実施。すべての教員が1回は研究授業を行った。指導の泰山裕准教授からは「児童が『深まり』に到達できるような学習過程を計画する/児童と学習過程を共有し、いずれは選択させる/整理分析の場面が増えるので、方法を指導支援選択させる」というアドバイスを得た。

今後は児童が自ら学び合う学習集団へとさらに高めるため、児童への支援の方法を検討する。

1年で大きく変革
鳴門教育大学 泰山裕准教授

アドバイザーとして勝川小学校を3回訪問。少しずつ変わっていく姿を見ることができた。先進校である出川小学校や藤山台小学校はこのように進んだのか、と思った。

教員が端末やクラウド活用に慣れるまで、まずは「使う」ことを最優先。そこから授業観の変換の循環が起こっていった。

初訪問の6月、学校長に「普通の学校である」と強調された。しかし、どの授業でも教員や児童が端末を活用し、Google Meetを使って資料等を配信したり共有したりしている。「普通」のレベルが違う、と感じた。

10月の訪問では、子供が端末を使う授業にほぼなっていた。1年生はログインで失敗しても、挙手して教員を呼ぶのではなく、再挑戦して成功していた。わからないことも、周囲の子供に聞いて解決しており、端末活用の基盤となる力が身についていた。

3回目の1月は「探究の過程に位置づけて学習を深めるためにどう使うか」という段階に進んでいた。

教員対象の調査では、「(端末活用で)授業が効果的になった、学びが深まった」について「とてもそう思う」「そう思う」が71%。何が深まったのかを聞くと「探究的な学びの手段が増えた」「できない、やらない児童が減った」という回答であった。

勝川小学校にとって何が普通なのか。

それは「ICTを皆が得意なわけではない」点であると考えているようだ。普通ではない点は、最先端の取組をしている学校が市内にあること、皆でチャレンジする風土がある点だ。「できるようになってから行う」のではなく、その都度学ぶようにしており、結果、児童の基礎スキルが高まっている。教員も失敗を恐れず授業公開にも積極的だ。他の学校も参考にしたい姿勢である。

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