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教育ICT

明確な目的と手立ての工夫で低学年も自己調整 “部分的に委ねる授業”共通認識に<加賀市教育委員会 地域プロジェクトマネージャー 教育長補佐 小林湧氏>

2023年11月6日
第101回教育委員会対象セミナー・金沢

教育委員会対象セミナーを10月3日に熊本市内で、10月13日に金沢市内で開催。堀田龍也教授・東北大学大学院・東京学芸大学大学院、大久保紀一朗講師・京都教育大学教職キャリア高度化センター、4つの教育委員会と3つの小学校、中学校、高等学校が登壇し、次のフェーズに向けたICT活用について報告した。


加賀市教育委員会 地域プロジェクトマネージャー 教育長補佐 小林湧氏

加賀市教育委員会 地域プロジェクトマネージャー 教育長補佐 小林湧氏

加賀市教育委員会(小学校17校・中学校6)2023年度から3年間の教育ビジョン「BE THE PLAYER」を掲げ、「学びを変える」「誰1人取り残さない」「未来は自分で創る(STEAM教育)」「地域と一緒に」の4プロジェクトのもと、学びの変革に取り組んでいる。

…◇…◇…

16歳の子供の半数は107歳まで生きると言われている。義務教育のその先もいかに学んでいくかが問われる。どのような学び 方が自分に合っているかを義務教育段階で知ってほしいという願いが加賀市の学びの転換の基本構造だ。そもそも子供はみんな違っており教室には多様な子がいる。普通の子の概念も難しく、認知スタイルは人それぞれ。よって自分の学び方を知ることが重要だ。

教育目標「BE THE PLAYER」には、学びについても自分で考え動いていくプレイヤーになろうという意味を込めた。

■研修の転換

スローガンを掲げてすぐに全校の取組が進むわけではない。そこで研修の転換を図ることとし、文科省「教員研修の高度化に資するモデル開発事業」(2022年度補正予算)の採択を受け、研修についての課題を次の3つに整理した。個別最適な教員研修 子供の学びの変容に活かす研修の効果測定 子供たちの主体的に学びに向かう力や人間性を測定する客観的な指標の設定

これらに産官学で連携して取り組んでいる。例えば、AIに関する会社と連携して子供の視線や表情から授業への集中度や活動量の測定を目指したり 、福井大学教職大学院とは定性的なデータの測り方を協議。教育委員会内の組織体制も4つのプロジェクトに合わせて人員を配置した。

■子供に委ねる時間を増やす

子供の自己調整力を育むためには子供に委ねる時間を増やす必要があるが、教員によって子供に育みたい力や授業で大切にしたい部分は異なる。そこで、市として1つの方向に決めるのでなく、子供たち全員が同じことを同じペースでやっている時間、教員がコントロールしている部分を減らすことを共通の認識とした。

若手から再任用、低学年から中学生まで幅広い教員がチャレンジしたのは授業の中で部分的に委ねることだ。課題設定、知識・技能の伝達、自力解決やグループワーク、考えの共有・まとめ、ふり返りという流れの中で徐々に委ねる部分を増やしている。教員は1人ひとりの状況を確認しつつ見守りに徹し、子供はオンライン上で常に他の子供や教員と情報を共有。こうした授業を積み重ねていくと、子供に委ねる部分が増えていく。

できる子が進み、苦手な子が取り残されて差が開くのではないかとい声もあったが、授業が苦手と考えていた子からは「聞きたいタイミングで友達に聞ける」「問題に使いたい時間を使える」と好評だ。

 

■単元で捉えて部分的に委ねる

子供に委ねるためには、目的を共有することが重要だ。

そこで「0時間目」を設けて狙いを共有したり、学校全体で「学び集会」を開いて学びのポイントを話し合ったりするなど「自律した学び手」に育てるための方法を考えて進めている。

単元の中で子供が学ぶ順番を入れ替えながら進める場合は、単元計画表を子供と共有し、見通しを持ちやすいガイドを用意したり、人と関わらせるためのミッションを設定したり、ヒントカードを準備したりして子供が学びを進める手立てを工夫している。1年生であっても目的ややることが明確であれば子供は自己調整して学びに向かっていく。

順番だけではなく、進度まで委ねていくと自由進度学習になっていく。学びの場をたくさん準備する分、教員の負担感が大きく、学校や学年全体で取り組む必要がある。

授業中の教員の役割は見取りだ。個々の状況を把握し、良い考えには価値づけしていく。目標に到達していない児童には、良い考えの児童を参照する「明るいカンニング」を促して気づきを支援している。

「協働」の質も変わった。「やらされる協働」に苦しさを感じていた子供も、自分の判断で協働する必要がある場合に行うことで学びに向かう力につながっている。

■自己調整する力

委ねる部分が増えると、子供たちのアウトプットも変わる。スライド、4コマ漫画、劇、スクラッチなど様々だ。

これが進むと、何かを生み出したり作り出したりしていくSTEAMの学びにつながっていく。小学校高学年から中学校段階では、理数やテクノロジーの学びだけでなく、分野の枠にとらわれずに問いを立てて課題解決をするSTEAMの学びを進めている。

市役所の観光課にヒアリングをしながら動画を作成して地域の課題を解決した中学校や市役所のスマートシティ課と連携してアイデアワークシートを作成し課題解決を図った例もある。

学びを自己調整する力を9年間でつけていきたいと考えている。

【第101回教育委員会対象セミナー・金沢:2023年10月13日 】

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年11月6日号掲載

 

  1. 加賀市教育委員会 地域プロジェクトマネージャー 教育長補佐 小林湧氏
  2. 京都教育大学 教職キャリア高度化センター講師 大久保 紀一朗氏
  3. 舞鶴市教育委員会 学校教育課主査 宮前敬太氏
  4. 野々市市立富陽小学校 教諭 髙縁麻奈未氏
  5. 氷見市立上庄小学校 校長 坂田和彦氏
  6. 石川県立金沢錦丘中学校 教諭 田中祐介氏
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