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教育ICT

卒業生の成果物も共有キーワード検索で参照 教科の見方・考え方を働かせるICT活用<石川県立金沢錦丘中学校 教諭 田中祐介氏>

2023年11月6日
第101回教育委員会対象セミナー・金沢

教育委員会対象セミナーを10月3日に熊本市内で、10月13日に金沢市内で開催。堀田龍也教授・東北大学大学院・東京学芸大学大学院、大久保紀一朗講師・京都教育大学教職キャリア高度化センター、4つの教育委員会と3つの小学校、中学校、高等学校が登壇し、次のフェーズに向けたICT活用について報告した。


石川県立金沢錦丘中学校 教諭 田中祐介氏

石川県立金沢錦丘中学校 教諭 田中祐介氏

県立の中高一貫校である金沢錦丘中学校の田中教諭は、端末を活用し、教科の軸(各教科の見方・考え方)に基づいた授業改善の取組を報告。同校では充電器と端末の収納ケースを貸与しており、生徒は端末を自由に持ち帰っている。

…◇…◇…

本校では2021年度に11台端末(Chromebook)が配備され、全教員で「とにかく使ってみる」ところからスタート。その後、使用内容・場面が精選されてきた。

社会科ではリアルタイムでアンケートを集計できるMentimeter(メンチメーター)を利用し、生徒の振り返りをテキストマイニングにより分析。ねらいが達成できたかを確認している。

英語科では、石川県の魅力をALTに説明する学習を行う際、石川県を代表するものや景色の写真をプレゼンテーションソフトで順番に並べ、ペアで見せ合いながら即時的に英語で説明。あらかじめ作った文章を読み上げるのではなく、自分で言葉を組み立て主体的に発信していた。

国語科では、徒然草から得た教訓から1つを選び小学6年生にアドバイスを伝える学習を行う際、教訓ごとに色分けしたカードを端末で提出。教師は誰がどれを選んだのか一覧で把握でき、その後の授業展開に生かしていた。

数学科では、生徒が問題を解いたノートを写真で撮影して共有。他の生徒の考え方を参照し、自分に合ったヒントを見つけていた。理科の学習でも班ごとの実験結果を端末で共有し、結果を比較して考察を深めていた。

生徒主体の取組も始まっている。サッカー部ではGoogleClassroomを使って試合の振り返りを入力し共有したり、保護者が撮影した試合の動画をYouTubeで部員だけに限定公開し、いつでもプレーを振り返ったりするなど、生徒自らがICTを効果的に活用している姿が見られ、「やってみたら簡単にできた、役に立った」という事例が日々増えている。

ICTを効果的に活用し、教科のねらいに迫る

内容が精選されていく中で、「ICTの効果的な活用とは何か」の検討が改めて始まっている。今年度は、各教科の特質に応じた見方・考え方を働かせることにつながるICT活用を目指して研究に取り組んでいる。

例えば、理科の浮力の学習で実験結果に対し誤差の影響を減らす方法を生徒に考えさせたところ、スプレッドシートで平均を出せばよいのではないかと生徒自身が端末活用を選択。「量的」な見方、「規則性」「比較」という考え方を働かせて教科のねらいを達成していた。黄金比を扱う数学の授業では、生徒が美しいと感じる長方形の縦横比をスプレッドシートに記入してグラフで表示し、データの傾向を捉えるという数学的な見方につながった。

11台端末活用のメリットの1つは意見やデータを共有し共同編集ができる点だ。国語科の「本校でできる青少年赤十字(JRC)活動を考える」学習ではJamboardの付箋機能と思考ツールにより意見を整理。座標軸を用いて、横軸は実現性の高さ、縦軸は空欄として個人で考えてからグループごとに共同編集した。

総合的な学習の時間(2年生)では、コンビニエンスストアが抱える課題と改善策を考える課題解決学習において、ロイロノートを使って各自の考えを共有し、班ごとに整理した。

動きのあるものを簡単に提示できる点も端末の利点だ。

数学科では学習者用デジタル教科書を導入しており、アニメーション機能を利用して繰り返し見ることで、例えば、面積が変化するイメージも理解しやすくなる。教科書は、紙・デジタルのどちらを使用するかは生徒の判断に任せている。

国語科では、相手を尊重した討論を行うために必要なことを考える際、クラスの生徒を2グループに分け、討論の様子を観察し合っており、必要に応じて記録したり撮影したりしていた。説明する際には根拠を示すためにウェブサイトを提示している姿も見られた。

端末を使えば1つしかないものを同時に複数人で共有することもできる。

総合的な学習の時間(3年生)での「SDGs課題研究」は卒業研究の一環で取り組んでいる。課題研究はテーマを決めるのが難しい。そこでその一助として卒業生の論文やポスターセッション時の成果物をGoogleドライブで共有している。過去の学習成果をデジタルアーカイブ化することにより必要なときに、かつ複数人で見ることができる点がよい。また、キーワード検索も可能なため、自分の研究テーマに近い論文も簡単に調べることができる。

クラウド環境と端末により、生徒は多くの情報の中から自分に必要なものを選択できるようになった。生徒が選ぶ自律的な活用も進んできている。

【第101回教育委員会対象セミナー・金沢:2023年10月13日 】

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年11月6日号掲載

 

  1. 加賀市教育委員会 地域プロジェクトマネージャー 教育長補佐 小林湧氏
  2. 京都教育大学 教職キャリア高度化センター講師 大久保 紀一朗氏
  3. 舞鶴市教育委員会 学校教育課主査 宮前敬太氏
  4. 野々市市立富陽小学校 教諭 髙縁麻奈未氏
  5. 氷見市立上庄小学校 校長 坂田和彦氏
  6. 石川県立金沢錦丘中学校 教諭 田中祐介氏
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